Weekly Newsletter #156
ハリウッド俳優組合、ストライキ終結に向けスタジオと暫定合意/Humane、初のAI専用ハードウェア「AI Pin」を発表/アマゾン、新たなAIソフトウェア「Olympus」の開発に着手/Microsoft、Nvidia GPU サーバーアクセスを提供し、スタートアップ支援を強化
今週のベイエリアは、、といつものようにお伝えしたかったのですが、今週は出張で日本に来ていまして、日本よりこのニュースレターをお伝えしています。久しぶりの日本で感動するのは、食事の美味しさ、コスパの良さ、店員さんの感じの良さ、卵かけご飯、その他諸々です。日本を満喫していますw
ハリウッド俳優組合、ストライキ終結に向けスタジオと暫定合意
ハリウッド俳優労働組合が主要スタジオとの交渉で合意、ストライキが終結へ
ストリーミング成功時の利益分配改善やAI使用に関する条件が交渉され、詳細は未発表
クリエイティブな分野におけるAI利用のモデルケースとなる可能性あり
ハリウッド俳優労働組合がハリウッドの主要スタジオとの労使交渉で一時的な合意に達し、数か月にわたったストライキを終結させることが発表されました。この労働組合は、映画テレビプロデューサー同盟に代表される大手スタジオオーナー(ネットフリックス、ディズニー、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーなど)に対して抗議のためにストライキを実施していました。
労働組合は、新しい契約において、複数の点で交渉を行っていました。まず、映画やテレビ番組がストリーミングサービスで成功を収めた際の利益の分配に関する条件を改善すること、また脚本や制作においてAIの使用に制限を設けることを求め、これによってクリエイターの役割を守るという立場を強調していました。
AI の使用条件の設定は、出演者への追加のストリーミング報酬の提供と同様に、組合とスタジオの交渉担当者の間で大きな争点となったようです。合意の詳細はまだ明らかにされていないのですが、このハリウッドでの合意は、クリエイティブな分野における生成AI利用の、1つのモデルケースとなるのかもしれません。いずれにしても、クリエイターの方々にとり良い条件であり、楽しい映画を多く作れる環境であると良いですね。
Humane、初のAI専用ハードウェア「AI Pin」を発表
Humane社が音声対話可能な小型ウェアラブルデバイスAI Pinを発表
T-Mobile MVMOにて接続、月額24ドル、テキストメッセージや通訳機能搭載
AIを日常に統合し、人間性損なわず能力強化がビジョン。
Humane社は、Microsoft、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏、タイガー・グローバル氏などの著名投資家から支援を受け、AI専用の初のハードウェアである「AI Pin」を発表しました。同デバイスの注文は11月16日から受け付け開始される予定とのことです。
AI Pinは、ユーザーが音声コマンド、タッチパッド、またはジェスチャーを使用して対話できる小型ウェアラブルデバイスであり、RGBカメラ、マイク、深度センサー、モーションセンサーが搭載され、デバイスが収集したデータがバイス内で直接処理されるのが特徴です。AI Pinは、T-MobileにリンクされているHumaneのMVNO(月額24ドル)を通じてネットワーク接続します。機能は複数あるのですが、テキストメッセージや通話の概要を提供したり、リアルタイムで通訳を行う、といったことが動画にて説明されていました。
同社の創設者は「AI Pinは、AIを日常生活の構造に統合し、私たちの人間性を損なうことなく、私たちの能力を強化するという私たちのビジョンを具体化したものです」と言っており、モニターを使わないインターフェイスもこの思想からきているようです。
アマゾン、新たなAIソフトウェア「Olympus」の開発に着手
アマゾンが新AI「Olympus」開発で、法人向けソフトウェア競争強化。
2兆パラメータの大規模モデルでAWSやAlexaを強化
AI分野の巻き返しを目指す
アマゾンは、法人顧客向けのソフトウェア販売で競合他社に追いつくため、OpenAIやマイクロソフトといった企業と肩を並べる新しい会話型AIソフトウェアの開発を進めています。この新しい大規模言語モデルは、アマゾンオンラインストアや音声アシスタントのAlexa、AWS部門の新機能を強化することが期待されているようです。コードネーム「Olympus」と呼ばれるこのLLMは2兆のパラメータを持ち(GPT-4は1兆、しかし専門家はパラメータが多いからといって必ずしも能力が高いとは限らないと警告)、これまでに構築された最大のAIモデルの1つとなる可能性もあるとのことです。
この動きは、アマゾンのAI競争への参入表明と捉えられています。現在、AWSがクラウド顧客に販売している自社製LLMは「Titan」ですが、このTitanは技術的な問題と自社製品より遥かにに優れていると幹部が感じたChatGPTの発売のため、発売を延期したと言われています。それ以来、アマゾンは急速にその差を縮めようと努めてきました。 同社はオンラインストア向けに「Project Nile」として知られる「会話型ショッピングエージェント」を開発しており、9月には生成AIをAlexaスマートスピーカーに統合すると発表しています。
アマゾンのAI分野の巻き返しに期待です。
Microsoft、Nvidia GPU サーバーアクセスを提供し、スタートアップ支援を強化
MicrosoftがY Combinatorと協力し、スタートアップに無料でNvidia GPUサーバーアクセス提供
スタートアップの生成AI開発を支援し、Microsoftは成長する企業に有料サービス提供を期待
VCも独自に同様の取り組みを目指しており、AIディール競争が拡大
Microsoftは火曜日、Y CombinatorとMicrosoftのベンチャー部門の支援を受けるスタートアップに対し、Nvidia製GPUサーバーへのアクセス(期間限定の無料)を提供すると発表しました。
近年、生成AIに不可欠なNvidia GPUは特にスタートアップにとって入手が難しくなっています。しかしこの取り組みにより、スタートアップはChatGPTのような高度な生成AIシステムのプロトタイプを作成することもでき、且つ、インフラコストの負担を軽減できます。
この取り組みはMicrosoftのインセンティブプログラムの一環であり、エリートアクセラレータを超え、あらゆる技術有望なスタートアップ企業に専用のAIインフラへのアクセスを提供し、優れたアイデアを実現できるようにすること、が同社の目的とのことです。また、MS社としては、スタートアップ企業が成長するにつれて優良顧客になることを期待しているようです。
AI分野の投資家たちも、Microsoftなどのクラウドプロバイダーとの連携をアピールしており、新興企業がGPUに容易にアクセスできるようにサポートできる可能性を示唆しています。一部のベンチャーキャピタリスト企業は、自社のポートフォリオ企業が必要とする場合に、GPUへのアクセスを購入するなど、AI取引を巡る競争が熱を帯びています。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
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5分程度なので、聞いてみてください。