Weekly Newsletter #162
HPE(Hewlett Packard Enterprise)がジュニパーネットワークスを現金140億ドルで買収へ / Google, Amazon, Meta他で大規模レイオフ / OpenAIが来週「GPTストア」をローンチか / OpenAI、ニューヨーク・タイムズの著作権侵害訴訟を「理由がない」と反論
久しぶりの更新となりました。2024年も、このニュースレターをよろしくお願いいたします。皆様にとり2024年が良い年となることを祈念します。
HPE(Hewlett Packard Enterprise)がジュニパーネットワークスを現金140億ドルで買収へ
HPEが140億ドルでジュニパーネットワークスを買収
データセンターとAI分野への対応強化が期待
HPEは競争力を強化し、ネットワーキング業界に大きな影響を与える可能性
HPE(Hewlett Packard Enterprise)がジュニパーネットワークスを現金140億ドルで買収することが発表されました。市場からは、この買収は「データセンターやAI分野におけるネットワークの重要性増大に対するHPEのタイムリーな対応」と受け止めらているようです。この買収により、HPEのネットワーク事業は倍増することとなるでしょう。買収後は、ジュニパーネットワークスのCEOであるラミ・ラヒム氏がHPEの複合ネットワーキング事業を率いることになるとのことです。(ただし、この取引は規制当局と株主の承認を条件としており、2025年初頭までに完了する予定です。)
また、この買収は単なるテクノロジーの統合だけでなく、人材の結集と言う点でも注目されています。ジュニパーCEOであるラミ・ラヒム氏やミスト創設者であるボブ・フライデー氏など、著名な人材がHPEに参加することで、HPEは大きな恩恵を受けることが期待されます。
買収が成功すれば、ネットワーキング業界の力学を大きく変える可能性もありそうです。HPEはCiscoや他の業界大手に対する強力な競争相手となり、ネットワーキング市場での存在感を一層強化することが見込まれます。
Google, Amazon, Meta他で大規模レイオフ
2024年に入り、大手テクノロジー企業で相次いで大規模なレイオフが発生しています。主な企業とその状況を以下にまとめます。
Google
1,000人以上の従業員を解雇すると発表。主な削減対象はエンジニアリング、ハードウェア、およびGoogleアシスタントを含む複数の部門で、数百人が影響を受ける。(Googleの従業員総数は世界中で約182,000名)
Amazon
数百人の従業員を解雇。具体的には、Audibleオーディオブック部門のスタッフの5%が解雇、エンターテインメント事業部門(Prime Video、Twitch)では少なくとも800人が解雇。これは、2022年11月に始まった2万7000人の大規模解雇に続くもの。
Meta (旧Facebook)
Instagramで大規模な人事異動がありマネージャーの役割が削減、多数のテクニカルプログラムマネージャーに解雇通知が行われた。金曜に発効する組織変更は、Instagramのクリエイターの仕事の方向性を変更し、10代のエンゲージメントを高めることを目的としいる。
Discord
スタッフの17%にあたる170人を解雇することを発表。
これらの企業での大規模レイオフは、各社のパンデミック期間中に大量雇用した反動や市場の変化に対応している模様です。
OpenAIが来週「GPTストア」をローンチか
OpenAIが「GPTストア」を開始、AIモデルを共有・販売するプラットフォーム
MicrosoftとOpenAIの関係が注目を集め、EU規制当局が調査を開始
Googleも「Bard Advanced」を開発し、2024年のAI競争が激化
OpenAIが来週、「GPTストア」をローンチする模様です。このプラットフォームでは、AIモデル開発者が様々な目的にカスタマイズされたチャットボットを共有・販売することが可能となります。教師の授業計画など、様々な用途に利用されることが期待されています。また、この新しいストアは、同様サービスを提供する他スタートアップにとって競争上の脅威となるでしょう。
一方で、MicrosoftとOpenAIの関係が注目を集めています。Microsoftの幹部がOpenAI取締役会のオブザーバーとして出席し始めたこともあり、EU規制当局がMicrosoftとOpenAIの関係について調査を開始したと報じられました。(EU委員会は、MicrosoftのOpenAIへの投資を合併とみなし、欧州の合併規制の対象とすべきかを検討しているようです。米国のFTCも同様の調査を開始しています。)MicrosoftはOpenAIに130億ドル以上を投資し、契約によりOpenAIの将来利益の49%を受け取る権利を有しているため、両社の関係が規制当局の注目を浴びることとなったのは当然かもしれません。
また、Googleも動きを見せており、ChatGPTのライバルであるBardの高度な有料バージョン「Bard Advanced」を開発します。このバージョンはGemini Ultraを搭載しており、2024年も両社のAI競争は激しくなるようです。
OpenAI、ニューヨーク・タイムズの著作権侵害訴訟を「理由がない」と反論
ニューヨーク・タイムズの著作権侵害訴訟、OpenAIは「フェアユース」で合法と主張
コンデナストCEOもAI企業の素材盗用を公聴会で非難、告発へ
一部メディア企業はライセンス料に懸念示し、AI素材データに関する議論が活発化
ニューヨーク・タイムズがOpenAIとMicrosoftに著作権侵害で訴訟を起こした件について、OpenAIは著作権で保護された素材を使用してモデルをトレーニングすることは、「フェアユース」の下で合法であると主張しました。出版社はプロセス(素材に対して対価を支払う)からオプトアウトすることも認められており、タイムズはこれを2023年8月に行ったとし、訴訟に対してOpenAIは「理由がない」と反論しています。
また同様の動きとして、水曜日の上院司法公聴会で、VogueやThe New Yorkerなどを所有する複合メディア企業コンデナストのCEOであるロジャー・リンチ氏が、AI企業が商業ビジネスを構築するためにコンテンツを盗用しているとして告発する予定を表明しました。リンチ氏は商用の生成AIツール開発における著作権で保護された素材の使用は「フェアユース」に該当しないと主張しています。同氏は「フェアユースは、批評、パロディ、学問、研究、ニュース報道を許可するものであり、市場に悪影響を与える場合はフェアユースではない」とコメントしています。
OpenAIは既にポリティコやビジネス・インサイダー、AP通信など報道機関とライセンス契約を結んでいますが、一部のメディア企業は提案された料金に難色を示しており、今後、AIに必要な素材データに関する議論が深まる可能性があります。