2021年もあっという間に1ヶ月が過ぎました。そして、Joe Bidenが大統領に就任してから1週間が経ちました。この1週間の間にJoe Biden大統領は、異常な数の大統領令を発行しています。その数なんと30。ちなみに、これまでの就任1週間の大統領令を比較すると以下のようになります。
William Clinton=2
G.W. Bush=2
Barack Obama=5
Donald Trump=4
Joseph Biden=30
さて、そのような異例ともいうべきBiden大統領の大統領令ですが、その中から新型コロナウイルスワクチンの「デジタル国際予防接種証明書」に関する大統領令をピックアップしたいと思います。
ざっくりと内容をご紹介しますと、前段に『アメリカ合衆国の憲法および法律により大統領として与えられた権限から、ここに次のように命ずる』とあり、そのあと6つのセクションに分けて記載されています。そして、セクション5 (e) で、『ワクチン接種または予防の国際証明書。 適用される法律に従い、国務長官、HHS長官、国土安全保障省長官(TSA長官を含む)は、関連する国際機関と協力して、COVID-19ワクチン接種を国際予防接種証明書(ICVP)にリンクさせ、ICVPの電子版を作成することの実現可能性を評価するものとします。』と発令しています。
これによって、先日発表された「VCI」(Vaccination Creditable Initiative)が、急速に進むと期待しています。「VCI」はMicrosoft、Salesforce、Oracle、MAYO(メイヨー・クリニック)といった12の企業および団体による共同プロジェクトです。
「VCI」では、マイクロソフトのヘルスケア部門が提唱したオープンソースの自己集権型のヘルス記録フレームワーク「SMART Health Cards」をベースにしています。そして、これは非営利団体World Wide Web Consortium(W3C)によって認可されたVerifiable Credentials(オンライン検証可能なデジタル個人情報)を基盤に作られており、自分自身の新型コロナウイルスに関する情報を、スマホアプリやQRコードなど様々なデジタル形式に変換することが可能です。このような柔軟性を設けることによって、政府や航空会社などが新型コロナウイルスに関連する情報のみにアクセスできる仕組みを提供し、デジタル・パスポートの国際的なスタンダードを目指しています。
一方、予防接種記録に関しては「VCI」が初めての取り組みではありません。もっとも有名なのがWHOが発行している「「国際予防接種証明書」、通称 “イエローカード”と呼ばれるものです。ところが、「予防接種証明書」の中では一番メジャーでありながら、実は明確な国際的なスタンダードが確立されていないという問題点を抱えていました。
そのため、個人的にはこの「VCI」の取り組みによって新たなデジタルパスポートが発行され、海外への渡航がもっとスムーズに、そして安全なものになってほしいと期待を膨らませています。残念ながら「VCI」についてまだ明確なタイムラインは発表されていませんが、今回のBiden大統領の大統領令により開発が進み、安心して国際間の移動ができるようになってほしいと強く望んでいます。