Weekly Newsletter #115
TikTok - 秘密のヒートボタンで誰でもバズれる? / Amazon - 処方箋サービスを開始 / 脳インプラント - ALS患者が会話能力を取り戻す / シリコンバレーのレジェンド、ジョン・チェンバースが語る
大雨の影響でハイウェイが水浸しとなったり大きな穴が出来たりと、年末年始は慣れない雨降りで混乱したベイエリアですが、ようやく元通りとなってきました。クローズしていたハイウェイも復旧したので、先ほど、ハーフムーンベイにカニを買いに行ってきました。港の漁師さんは皆陽気で、カニだけでなく元気もおそそわけしてもらえました。今日はこれから、アメフトで49ersの試合があります。スーパーボウルまであと一つ!、カニを食べながら応援ですw
TikTok - 秘密のヒートボタンで誰でもバズれる?
TikTokにて任意の動画をバズらせる「Heat(加熱)」と呼ばれる秘密ボタンの存在が明らかに
本来はコンテンツのダイバーシティ拡大が目的であったが、TikTokスタッフが個人的に利用している形跡もみられる
中国政府のプロパガンダ・影響力行使なども懸念される
TikTokは「For Your Page」にて独自のアルゴリズムをベースとしたユーザー毎のお勧め動画フィードを提供していますが、この記事によると、TikTokスタッフが特定動画を自身で選択してその動画をバズらせる、「Heat(加熱)」と呼ばれる秘密のボタンの存在をレポートしています。この「Heat」はインフルエンサーやブランドの取り込み、またはダイバーシティ・多様性を広げる目的で開発されたようなのですが、TikTokスタッフが自身や配偶者のアカウントをバスらせるような悪用も確認されています。近年、中国政府のByteDanceへの影響力行使が懸念されている事もあり、政治的プロパガンダへの利用も懸念されています。また、最近追加された、何故この動画が選択されたのかを説明する「Why This Video」という新機能では、「Heat」がされていたのか否かは分からない仕様のようです。
機能はいいとしても、透明性は必要ですよね。
Amazon - 処方箋サービスを開始
アマゾンがプライム会員向けの処方箋サービスを開始
月額5ドルで処方箋対象の医薬品を送料無料で入手可能となる
One Medicalの買収もオレゴン州で承認され、同社のヘルスケア分野への取り組みが加速か
アマゾンが米国のプライム会員向けに新たな処方箋サービス「RxPass」を発表しました。月額5ドルで、高血圧や糖尿病など、80を超える一般的な慢性疾患の治療に必要となる薬を、50種類のジェネリック薬品のリストから配送料無料で入手出来るようになります。アマゾンはヘルスケア分野への取り組みを強化しており、2018 年のPillPackを買収し2020年に独自のオンライン薬局を立ち上げています。鳴り物入りでスタートした遠隔医療サービスのAmazon Careが2022年末に停止される事もありましたが、今年に入りプライマリ・ケアのOne Medicaの買収がオレゴン州で承認され、同社のヘルスケア分野への取り組みは加速しています。
RxPassはインスリンや特殊薬剤をカバーしておらず、またMedicaid・Medicareなどの国が提供する医療補助に加入している人は対象外となるのですが、それでも便利なサービスとなりそうです。
脳インプラント - ALS患者が会話能力を取り戻す
脳インプラントにて、ALS患者の会話能力が大きく向上(一分間に62語、従来の3倍)
会話時の口・舌・声帯の動きのイメージを脳波として読み取る方式
単語予測など、AIを用いることでも速度が向上
脳インプラントにて、ALS患者が1分間に62語でフレーズを伝えることが出来るようになりました。これは従来の3倍の速度であり、研究室から一般利用へと向かう上での「大きなブレイクスルー」となったようです。この研究は、脳の中で運動に関連する領域に電極を入れ、その領域内の電気的な動き・ニューロンを読み取ることがベース技術です。そのため従来は、ALS患者が手の動きを想像して仮想キーボードを入力するよう求められていました。しかし今回の研究では、患者が話そうとした時、口や舌、声帯をどのように動かそうとしたかを、脳インプランドで読み取る事で、患者の言わんとする事を理解する方式をとったようです。また、次に来る単語を予測する(「I」の後は「am」が来ることが多い、など)AIも利用されており、今後はGPT3のような大規模言語モデルへの接続も検討されているとのことです。
夢のある素晴らしい研究ですね。
シリコンバレーのレジェンド、ジョン・チェンバースが語る
シリコンバレーのレジェンドであり、かつてCiscoのCEOでもあったジョン・チェンバースのインタビュー記事がありましたので、ご紹介します。この記事では、同氏が昨今のテック業界で続くレイオフや、イーロン・マスクのTwitter買収、グローバリゼーション終焉などについて、示唆に富んだコメントをしています。
レイオフについての見解:
「それをするのであれば従業員の5%以下であってはならない。何故なら、5%以下では十分とならず2回目のレイオフに繋がってしまう。」
イーロン・マスクのTwitter買収:
「会社を買収するときは、最高の人材を確保することに集中すべき。また変更を加えるのであれば、人々が理解出来る方法で行い、且つ敬意を持って接するべきであるが、イーロン・マスクの手法は私の手法と明らかに異なるものであった。」
グローバリゼーションの終焉:
「国家の安全保障への姿勢、半導体部品が産業全体を停止してしまう可能性など、様々な要因から脱グローバル化が進んだ。サプライチェーンは自身が信頼できる国や企業で構成されるようになる。」
「Great Resignation」から「Great Recommit」:
景気の悪化から、スタートアップでのメンタリティー(次々と職を変えて、その度に給料の増加や肩書きを上げていく)は、もはや通用しない。離職後に新たな職を得ることは難しくなり、そこでの評価も厳しくなるので、「会社へのコミット(Great Recommit)」が増加するであろう。
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。
訂正:
ジョン チェンバースはFounderではなく、3代目のCisco CEOでありましたので、記事を一部修正しております。(大先輩よりご指摘頂きました、ありがとうございました!)