Weekly Newsletter #103
Starlink衛星がGPSの代替に? / チップ供給が改善し、今度は供給過多に?? / デジタル・ナンバープレートは何が嬉しい? / Snapchat、サンフランシスコから撤退へ
今週はカンファレンス参加のため、半年ぶりのニューヨークでした。カンファレンスはオンサイトとバーチャルのハイブリット開催だったのですが、対面コミュニケーションに飢えていた多くの人が、オンサイトでカンファレンスを楽しんでいるように見えました。私もその一人でして、対面でコミュニケーションを取れるのは素晴らしいなぁ、人の目を見て話が出来るのはいいなぁ、と感じました。人が持つ熱量はオンラインだと半減してしまうものなのかもですね。
Starlink衛星がGPSの代替に?
The current Starlink satellite network (Credit: satellitemap.space)
GPSの代替システムにStarlinkの低軌道衛星を使う研究が進められている
イーロン・マスクからの協力が得られず、研究者達はリバース・エンジニアリングにてシステムを構築
低軌道衛星故の電波強度(GPSの10倍)から、更なる技術革新が期待される
テキサス大学の研究者達が、Starlinkの低軌道衛星からの信号をGPSの代替(バックアップ)として利用しようと研究を進めています。現在の米国GPSは地球上空12500マイルを31個の衛星で提供されてるのですが、この測位システムのバックアップを確保することは軍事的にも重要であることから、米陸軍がテキサス大学の本研究を資金提供しているようです。しかし、Starlink CEOのイーロン・マスクは、テキサス大学からの研究協力を「会社のフォーカス分野から意識を削がれる」との理由で断ったと記事にはあります。そのため、技術者たちはStarling衛星からの信号をリバース・エンジニアリングの手法で研究したとあります。そして、精度は現GPSには及びませんが約30メートルの精度での測位に成功したとのことです。また、低軌道衛星である故の電波強度(現GPSの10倍)に、研究者達は更なるブレイクスルーを期待しているようです。
リバース・エンジニアリングでここまで出来るのが凄いですね、でも逆に他国も出来るのでは無いかと思ってしまったりもします。
チップ供給が改善し、今度は供給過多に??
チップ供給に改善の兆し(リードタイムが短縮してきている)
一方でチップメーカーは供給過多に陥るのではと懸念
実際、PC需要は下がっており、IntelやAMDは人員削減も検討
多くの企業を悩ましていたチップ供給不足ですが、改善の兆しが見えてきているようです。8月時点でのリードタイム(チップが注文されてから配達されるまでの時間)は平均約27週であったのですが、9月では26.3週へと短縮されています。この短縮はこれまでチップ不足に苦しめられてきた自動車メーカー達にとっては嬉しいニュースですが、一方、チップメーカー達は新たな問題、つまりチップの在庫が増えるであろう状況を懸念し始めているようです。実際、PCなどの市場では販売減速が見えてきており、IntelやAMDの需要は予測を下回っています。(Intelは人員削減も予定)
一度崩れてしまった需要と供給のバランスを再度整えるのは、もう少し時間がかかるのかもしれませんね。
デジタル・ナンバープレートは何が嬉しい?
カリフォルニア州にてデジタル・ナンバープレートが合法化
様々な情報を動的に表示可能となり、車両盗難や緊急事態(幼児誘拐など)時の利用も想定される
法律にはプライバシー用件なども含まれている
カリフォルニア州でデジタル・ナンバープレートが合法化されました。このデジタル・ナンバープレートは法律的には「代替デバイス」として定義されるのですが、従来の金属ナンバープレートよりも多くの情報を動的に表示出来るので、様々なシチュエーションでも用途が期待されているようです。例としては、車両が盗難にあった時にそれを示すメッセージを入れたり(スマホアプリでプログラム可能となる)、またアンバー・アラートと呼ばれる児童誘拐が発生した時の緊急メッセージなどにも利用が想定されているとのことです。またこの法律には、デバイスの誤作動を違反とみなしたり、ナンバープレートの変更・偽造・ハッキングを重罪とみなす等、デジタル・ナンバープレートの利用に際しての様々な要件が盛り込まれているようです。プライバシー用件もあり、他人の追跡にデジタルプレートを使用することは禁止されています。(商用車は許されており、GPSを組み込んだデジタルプレートでの監視は可能となるとのこと)
ナンバープレートにもデジタル化の波が押し寄せて来るのですね。
Snapchat、サンフランシスコから撤退へ
SnapchatのSnap社がサンフランシスコ市内のオフィスを閉鎖
広告収入の低下に苦しむ同社のコスト削減施策の1つか
サンフランシスコは犯罪率の高さから小売店の撤退も多い
Snapchatを運営するSnap社がサンフランシスコにあるオフィスを閉め、同市から撤退するようです。この撤退は広告収入減少に苦しむ同社のコスト削減が最大の理由ではありますが、他テック企業によるサンフランシスコの高価なオフィスからの撤退も進んでいます。実際、Snapの他に、Meta・Twitter・Salesforce等の企業がリモートワークを採用し、市内の賃貸契約を早期に解除しました。
ニューヨークやロサンゼルスではコロナの収束後はオフィススペースの専有率が40%を超えるまでに回復したのに対し、多くのテック企業を抱えるサンフランシスコでは3分の2近くのオフィスが空いたままとなっています。このオフィスバックの停滞は、犯罪率の高さから多くの小売店がサンフランシスコから立ち去っている状況を更に加速してしまうかもしれません。
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