Weekly Newsletter #118
ChatGPTに対抗すべく、Googleが「すべきこと、すべきでないこと」のリストを作成 / Appleがレイオフしない理由 / Uber - システムの多くをクラウドへ / Tesla従業員、労働組合結成の表明後にレイオフ
今年の2月20日(月)はプレジデントデーで休日です。3連休となり、且つ学校も1週間の冬休みに入るので、多くの人が旅行を楽しんだりします。一応、この休日は初代大統領であるジョージ・ワシントンの誕生日(2月22日)を由来とするものなのですが、アメリカの休日は大雑把で、2月の第3月曜日をプレジデントデーとして定義しています。ですので今年は2日早いお祝いとなりましたw
ChatGPTに対抗すべく、Googleが「すべきこと、すべきでないこと」のリストを作成
ChatGPTのライバルとなるべくGoogleがリリース準備を進めているBardですが、今週、CEOのピチャイ氏が、Bardの改善のためのテストに2時間から4時時間を費やすようにと、従業員に依頼しました。この依頼メールには「テスト時にすべきこと、すべきでないこと」がリストされいたとのことです。
すべきこと:
「礼儀正しく、カジュアルで、親しみやすい」回答を心がける
応答は「一人称」
意見のない中立的な口調」を維持する
すべきで無いこと:
固定観念を持たない。「人種、国籍、性別、年齢、宗教、性的指向、政治的イデオロギー、場所、または類似のカテゴリーに基づく推測」を避ける
感情をほのめかしたり、人間のような経験をしたと主張しない
「法的、医療的、財政的アドバイス」を提供しない
嫌悪感を与える回答や虐待的な回答をしない
これらのリストを見ると、GoogleのBardが目指す方向性が垣間見えますね。
Appleがレイオフしない理由
大手Tech企業のレイオフが続く中、Appleはレイオフを実施していない
理由は同社経営陣の「パンデミック中の未来予測」の正確さ
他Tech企業がこぞって採用していた時に、冷静に必要な分だけを採用していた
AmazonやMicrosoft、Google、Metaなどの大手Tech企業が大規模なレイオフを実施するなか、Appleは未だレイオフには至っていません。この記事では、何故Appleだけが大規模なレイオフをせずに済んでいるかを分析しています。Appleと他大手Techを分つ最も大きな要素はパンデミック中の未来予測にあったようで、他Tech企業は巣篭もり需要が続くと読み、採用を拡大しました。2019年から2022年で、Amazon(93%増)とMeta(92%増)は従業員が倍増しており、またGoogle(60%増)とMicrosoft(53%増)も大きく増やしています。しかしAppleは20%しか増やしていません。また、従業員一人当たりの収益を見ると、Google(1.18M->1.25M)とAmazon(0.79M->0.83M)が微増、Microsoft(1.14M->1.06M)が微減、Meta(0.96M->0.79M)と収益性が悪化していますが、一方のAppleは$1.17Mから$2.51Mと大きく収益性を伸ばしています。
流石はAppleといったところですね。同社は業界初のCPO(chief people officer:最高人材責任者)を採用して人的資源を強化する計画も打ち出しており、同社は引き続き、シリコンバレーのお手本企業であり続けています。
Uber - システムの多くをクラウドへ
Uberが独自データセンターからPublicクラウドへの移行を決断
Covid19によるサプライチェーン問題(HW納期が12ヶ月)が後押しした形となった
データセンター管理業務からエンジニアを解き放ち、AIなどの差別化領域に特化させるとのこと
Uberが自社データセンターから撤退し、GoogleとOracleのデータセンターへの移行を決断しました。Uberは2009年の創業以来、クラウドではなく自社データセンターで独自のハードウェアサーバーをホストしてサービス展開していました。現在、同社のITの95%がこの自社データセンターでホストされています。しかし、コロナによるサプライチェーン問題でITハードウェアの納期が12ヶ月と延び、同社の独自ハードウェア依存が問題として顕在化していました。今回のPublicクラウドへの移行により納期問題はクリアされ、且つ、クラウドへの移行でデータセンター運用のコスト削減が見込めるとのことです。また、エンジニアをデータセンター管理業務から解き放つことで、AIなどのUberサービスの差別化につながる技術領域にエンジニアをアサイン出来るようになることも期待しているようです。
クラウドへの移行やクラウドからオンプレミスへの回帰など、今後はビジネス状況に応じた選択が必要になるのでしょうね。
Tesla従業員、労働組合結成の表明後にレイオフ
Teslaの従業員が組合結成を決意表明するが、その翌日に解雇されてしまう
会社からの監視が原因で、トイレに行くことする躊躇う従業員も
AmazonやStarbuksのように結成まで行き着くのか注目
今週火曜、New York州にあるギガファクトリーに努めるTesla従業員数名が、労働組合の結成意向をメールでイーロン・マスクCEOに表明しました。Teslaにて初の労働組合かと騒がれたのですが、その翌日、十数名が解雇されてしまったようです。彼らは、より良い賃金、雇用の安定、職場環境の改善を求めていました。記事によると、Teslaが従業員のキー・ストロークを監視することでアクティブな労働時間を追跡しているため、一部の従業員はトイレに行くことを避けるようになっていたと言います。このような背景もあり、組合の結成を進めていたのですが、敢え無く会社側の報復となりました。
昨年のAmazonとStarbucksでの組合結成時は、多くのメディアが会社側からの不当圧力を報じることで、その結成を後押ししていました。Teslaで組合が結成されるか否かは引き続き注目です。
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。