Weekly Newsletter #119
AmazonによるOne Medica買収が成立へ、今後の規制当局の動きは・・ / プラットフォーマーの掲載コンテンツへの責任の行方は? / テスラがカリフォルニアに戻ってくる! / 針なしで血糖値が測れるApple Wach?
今週のベイエリアはとても寒く、珍しく雪も降ったようで、私のアパートから山間に雪が積もっているのが見えました。なんでも132年ぶりの寒さの更新だったそうでして、慣れない寒さにベイエリアの人々は震えています。早く春が、と言いますか夏が来て欲しいですw
AmazonによるOne Medica買収が成立へ、今後の規制当局の動きは・・
AmazonのOne Medical買収、FTCが異議申し立てせず成立へ
Big tech規制の急先鋒で反トラスト委員会議長でもあった議員が引退
後釜には、リバタリアンでありTech規制には慎重な議員が任命、Tech規制の流れが変わるか
Amazonによる、総額$3.5 billionのOne Medical買収是非に対するFTCのスタンスが注目されていましたが、最終的にはFTCが買収阻止に動かなかったため、先週、買収が成立しました。この買収はAmazonにとり最大のメディカル分野への投資となり、既存の医療サービス(遠隔医療サービスのAmazon Clinic、オンライン薬局のPillPack、月額5ドルの処方箋サービスであるAmazon Pharmacy、など)との統合が期待されています。
このようなBig techへの規制は毎度注目されますが、その急先鋒で反トラスト委員会の元議長でもあり、2020年度のJeff Bezos, Mark Zuckerberg, Tim Cook, Sundar Pichaiなどの各Big Tech CEOへの公聴会もリードしたDavid Cicilline民主党議員が、先週、引退を表明しました。同氏はGoogleやAmazonが自身のPlatform上で自社ブランドを推すことを禁止するAmerican Innovation and Choice Online Act(最終的に採択されずに終わる)も推進していました。同氏の後に議長となった共和党のThomas Massieはリバタリアン:自由主義であり、独占禁止法への支持には積極的ではないと見られているので、Big Techへの規制は、少し流れが変わるかもしれませんね。
プラットフォーマーの掲載コンテンツへの責任の行方は?
プラットフォーマーへのコンテンツ責任を問う裁判が2件続く
最高裁判所の通信品位法230条への見解を問う物で注目される
裁判官の230条の原則を尊重する考えが漏れ伝わる
今週、プラットフォーマーに対する掲載コンテンツへの責任を問う裁判が、2件、最高裁判所にて行われました。所謂、Section 230(プラットフォーマーは掲載されるコンテンツに責任を負わないとする通信品位法230条)に関連することから、米国で注目を集めています。1つはGoogleに対するもので、テロリストの犠牲となった家族より、テロリストのコンテンツをホストしたGoogleに対して起こされた訴訟です。もう一つはTwitterに対するものであり、同様にテロリストのコンテンツを存続させることでテロ活動を支援・助長している、という訴訟です。記事によると、Googleへの訴訟にて、裁判官は原告家族の弁護士の「アルゴリズムがテロリストコンテンツを推奨したことへGoogleは責任を負うべき」との主張に対し、懐疑的な立場を示している(何故、GoogleがSection 230の保護対象にならないのか分からない)、つまり230条の原則を尊重する考えを示したようです。
どちらの訴訟も6月下旬には判決が下される予定ですので、引き続き注目です。
参考:インターネットを形作った26文字とは(Section 230とは?)
テスラがカリフォルニアに戻ってくる!
テスラの技術系HQがカリフォルニア州パロアルトに戻ってくる
ヒューレッド・パッカードのオフィス後に入る予定
「これは、シリコンバレーを作った会社からテスラへの詩的な移行である」、イーロン・マスク
テスラがカリフォルニアに戻ってくるようです。同社は2021年のパンデミック中、アラメダ郡から工場を閉じるようにと言われた後、高い税金・住宅コスト・長い通勤などの長年の不満を表明して、カリフォルニアからテキサス州オースティンに本社機能を移転していました。今週にあった発表では、同社でAI本部とグローバルエンジニアリング本部(HQ)をカリフォルニア州パルアルトに移す、スタンフォード大学近くのヒューレット・パッカード・エンタープライズのオフィスを引き継ぐ形で移動させるとのことです。カリフォルニア州には55のゼロ・エミッションの車両製造関連会社があり、今回のテスラの技術部門の移設により、同州は引き続きこのEV市場を引っ張っていくこととなるでしょう。
また、イーロン・マスクはこの移行を「これは、シリコンバレーを作った会社(ヒューレット・パッカード)からテスラへの詩的な移行である」と表明していました。こういった表現がさらっと出てくるのも、なんともイーロン・マスクらしいですね。
針なしで血糖値が測れるApple Wach?
Appleは、針なしで血糖値を計測できるApple Watchを開発しているのかもしれません。記事によると、Apple社内には、血糖値検出のためのシリコンフォトニクスや光吸収分光法をベースとする血糖値の監視システムのプロジェクトが存在し、そこには過去に買収した関連スタートアップの技術も採用されているとのことです。疾病管理・予防センターによると、アメリカには糖尿病患者が約3730万人、糖尿病予備軍が9600万人がいるとされています。現在のApple Watchには、睡眠、活動、心拍数、血液酸素、温度などの健康関連の情報を取得できますが、ここに血糖値情報もとれるようになるとなると、これは大きな事柄ですね。
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。