Weekly Newsletter #120
イーロン・マスクが新たなChatGPTを作る? / バイデン政権のサイバーセキュリティ戦略とは?/ 米国でTikTok排除が加速か!? / メタバースへの規制
3月に入りベイアリアの日中も少しつづ長くなってきました。相変わらずまだ寒い日が続いていますが、また雨降りの日も多いのですが、少しつづ春に近づいていると感じます。そういえば、昨日、Google 本社オフィスの近くを通ったのですが、早咲きの桜が咲いていました。スーパーでアメリカンチェリーも出始めてきました。今年もチェリー狩りに行くのが楽しみですw
イーロン・マスクが新たなChatGPTを作る?
イーロン・マスクがChatGPTに変わるAIの作成に動いた模様
現在のChatGPTが特定の思想に偏っている(左寄りの思想)と感じたため
人間からのフィードバックがAIモデルを汚染している、それを取り除いたAIを作りたい
イーロン・マスクがChatGPTに代わる新たAIを作るべく、最近Apphabet(Google)のDeepMide(AI部門)を退社した著名なエンジニアにコンタクトしました。新たなAIを作ろうとしている理由は、現在のChatGPTが特定の思想に制限されている、と感じているからだそうです。同氏はChatGPTを「Woke AI(目覚めたAI)」と呼び、特定の思想に偏向するようトレーニングされている、つまり嘘をつくようにトレーニングされており大変危険だ、とTwitterで述べています。
実際、ChatGPTを作ったOpenAIは「人間からのフィードバックを基にした強化学習」のアプローチで有名であり、ChatGPTもユーザーが不快に感じる文章を作らないようなセーフガードが採用されていると言われています。それでもってAIモデルが人種差別などを持たないようにしているのですが、イーロン・マスクは、このアプローチ自体が開発者の偏見を反映していまう危険なもの、と捉えているようです。
バイデン政権のサイバーセキュリティ戦略とは?
バイデン政権の国家サイバーセキュリティー戦略が発表される
ソフトウェア企業のバグ責任、クラウド事業者との「責任共有モデル」にも言及
ソフトウェア企業とクラウド事業者のビジネスモデルにも影響するため、今後の推移が注目される
今週、バイデン政権の国家サイバーセキュリティー戦略が発表されたのですが、この戦略が、クラウド事業者とソフトウェア企業に大きな影響を与える可能性がありそうです。というのも、ソフトウェア企業が自製品のバグへの責任に言及しているためです。これまで、この種の規制は、ソフトウェア企業が訴訟リスクを最小限にすべく製品機能の縮小を呼びおこしてしまう、スタートアップが革新的な製品への挑戦を躊躇してしまうとして、見送られてきました。また、クラウド事業者に関しては「責任共有モデル」を言及しています。現在、クラウド サービスを支えるハードウェアとソフトウェアのセキュリティが事業者の責任であり、アプリとデータ保護はユーザー側の責任範疇ですが、この「責任共有モデル」が実現されると、クラウド事業者もユーザーの設定ミスからユーザーを守るべく、多くのことを検討する必要に迫られます。
クラウドがこれだけ普及したので、こういった議論も出てきているのですね。
米国でTikTok排除が加速か!?
院委員会にて、バイデン大統領にTikTok禁止の権限を与える法案が24対16で承認
「アメリカ人の言論の自由を侵害する」として、反対の声も聞こえるよう
この法案が ‘Xenophobia’ 「外国人排斥」なのか、安全保障問題なのか、難しい判断を迫られる
米国下院委員会にて、バイデン大統領にTikTok禁止の権限を与える法案が24対16で承認されました。米国でのTikTok排除が加速した形となりましたが、この法案が有効となるには、上院・下院双方の本会議で可決される必要があり、未だどう決着が付くかはわかりません。
中国政府による米国ユーザーデータへの不正アクセス懸念から、TikTokは米国ユーザーデータは米国内のOracleクラウドにホストするなどと対応を進めてきました。しかし、AppleとGoogleはサードパーティによるソフトウェアアップデートの代替を禁止しているため、ここも問題となるかも言われ始めています。一方、最近、このTikTok規制への動きに対して反対を表明する人達が出てきたことも注目です。「アメリカ人の言論の自由を侵害する」として、民主党の有力者や、米国の公民権擁護団体のAmerican Civil Liberties Unionがこの法案に反対を表明しました。
TikTokのCOOは、この法案が ‘Xenophobia’ 「外国人排斥」であると非難しました。色々な意味で、アメリカのスタンスが問われているのでしょうね。
メタバースへの規制
Metaが計画する若者向けHorizonのリリースを中止するよう、民主党議員が要請
子供が見知らぬ人とやり取りする、いじめや犯罪に巻き込まれることを懸念
Metaのこれまでの失敗(子供に酒やタバコの広告が流れてしまった)も槍玉に
Metaが計画している10代の若者向けのHorizon(VRアプリ:ユーザーがアバターで仮想世界を体験できる)を取り下げるよう、民主党議員がマーク・ザッカーバーグに要請しました。議員はメタバースにより「子供が見知らぬ人とやり取り出来てしまう、いじめや犯罪に巻き込まれる可能性もある」と考え、またメタバースにある潜在的な脅威(吐き気や眼精疲労などの生理的な損傷、いじめや暴力の助長、性的コンテンツ)も上げて、リリース中止を求めています。また議員は、たばこ、アルコール、摂食障害の広告が 10 代の若者をターゲットにするのを阻止出来なかったMetaの過去事例も上げて、「あなたの会社が子供と十代の若者を保護できなかったという記録と、メタバースの若いユーザーへの脅威を示す証拠が増えていることを考慮して、計画を進めるべきではない」と述べています。
「以前に失敗しているからもうするな」という主張は、なんだかアメリカらしくない気もしますが、子供を守る施策は確かに必要ですね。
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。