Weekly Newsletter #122
GTP4がリリースへ:MS・Google・スタートアップの動き / シリコンバレー銀行が消滅する事の意味 / TikTok CEO - TikTok売却をめぐり公聴会出席へ / Amazon - 衛星インターネットサービス提供へ
先週日曜からサマー・タイムが始まり、ベイエリアの日中が更に長くなりました。夕方7時過ぎでもまだ明るいくらいです。夏になるともっと日が長くなるのですが、夏到来前に終わってしまうアイス・ホッケーを、昨日久しぶりに見てきました。残念ながら地元チームのSan Jose sharksはリーグ最下位なのですが、それでも会場はほぼ満員で盛り上がっていました。
GTP4がリリースへ:MS・Google・スタートアップの動き
GPT4リリースへ - O365に早速組み込まれる
GoogleもPaLMをリリース - GmailとGoogle Docに投入される見込み
生成型AIは活況であるが、OpenAIのチーフサイエンティストがオープン化が間違いだったたとコメント
OpenAIが開発者向けのGTP-4のアクセス販売を開始しました。GPT-4はより多くのコンピューティング能力・データでトレーニングされており、文章を正確に要約したり事実に基づく回答が可能となりました。既にStripeやDuolingoが、不正検出やチャットボット機能に使用しているようです。またOpenAIと近い関係性にあるマイクロソフトはO365への投入を発表しており、この新機能により、簡単な指示に基づいて文章を生成・要約、ドキュメントやビデオ会議に関する質問に回答、またWordからパワポのスライド作成や生データからExcelでピボットデーブルの作成などが可能となるとのことです。一方、Googleはマイクロソフトの発表に先立つ形で、自社言語モデルのPaLMのGmailとGoogle Docへの導入を発表しています。(メールを自動的に作成したりドキュメントの要約を生成したりする新しいAI機能)
この生成型AI分野は非常に活況であり、スタートアップのAdept(OpenAIとGoogleの元リーダーによって 2021 年に設立)は直近の資金獲得で評価額が10億ドルを突破しました。これに関連するかは解りませんが、OpenAIの共同設立者・チーフサイエンティストが同社の技術を「オープンソース ソフトウェアとして共有してきたことは間違いであった」と述べており、このコメントも大きく注目されています。
シリコンバレー銀行が消滅する事の意味
米国規制当局がSVB預金者の全額保護を発表
同行はテック企業の約半数に銀行サービスを提供していた
SVB消滅はスタートアップ達のイージーマネー時代の終焉も意味する
米国政府は日曜の夜、経営破綻したシリコンバレー銀行の預金者を全額保護すると発表しました。スタートアップ達が給料支払いが出来なくなる、のような事態は避けられたのですが、この銀行が無くなる事の影響度は未だ皆が決め兼ねている状況のようです。シリコンバレー銀行は1983年「VCが支援する企業を支援する」ことを目的に設立され、シスコ・システムズなどの新進気鋭のテック企業へ銀行サービスを提供してきました。事業規模はJP モルガン チェースといった大手銀行と比べる小さいですが、Etsy、Roblox、Rokuなどの家庭でも名の通った企業を含む、米国の全テクノロジー・スタートアップのほぼ半分に銀行サービスを提供していたと言います。同行はスタートアップがVCから資金を獲得する能力に基づいて融資を提供し、また企業が融資条件に違反したとしても柔軟に対応するなど、大手銀行とはことなるサービスを提供してきた事でも有名です。そういった意味でも同行はスタートアップのエコシステムに深く根ざしていたのですが、SVBの消滅でスタートアップ達が簡単に銀行ローンを確保できた時代は終わった、とも言えるのかもしれません。
シリコンバレーがどう変わり得るのか、しっかりと見ていきたいと思います。
TikTok CEO - TikTok売却をめぐり公聴会出席へ
バイデン政権がByteDanceにTikTok売却を要求、従わない場合は禁止をほのめかす
TikTok CEOのChew氏が公聴会に参加へ
他テックにも影響する統一ルールに言及するか、注目される
バイデン政権がTikTokの売却をByteDanceに要求し、それに従わない場合は米国内でアプリが完全に禁止される可能性をほのめかしたと報じられました。同様のTikTok排除はトランプ政権時にもあり、同時は共和党が主導したのですが最終的には裁判所により阻止され、バイデン政権で正式に破棄されていました。しかし今回は超党派での試みである点で、大きな事柄となりそうです。一方のTikTok側は、CEOのChew氏が3月23日の公聴会に立ち、同社のこれまでの取り組み(米国ユーザデータの保護への取り組みなど)を説明すると予想されます。またTikTokが米国の複数議員と進めていると言われる「プライバシー法」で明確なルールを作り、Metaのようなライバルを含む業界全体での遵守しようとする取り組みにも言及があるかもしれません。この取り組みは大手テック企業の力を削ごうとして何度も失敗した議会に対しては、悪いアプローチではなさそうです。
いずれにしても、3月23日の公聴会でのChew氏の発言に注目です。
Amazon - 衛星インターネットサービス提供へ
Amazonが2024年中の衛星インターネットサービスの提供を発表
SpaceXの価格(端末代金599ドル、月額120ドル)を下回る可能性も注目
打ち上げではない独自技術を持つVirgin Orbitは一時休眠か・・
Amazonが、2024年中に衛星インターネットサービスを提供する予定であると発表しました。Project Kuiperと呼ばれるAmazonの衛星インターネット部門は、2023 年末までに衛星の大量生産を開始し、来年の最初の 6 か月以内に最初の生産衛星を打ち上げる予定であるとプレスリリースで述べています。このプレスリリースにて、ユーザーの衛星電波受信端末の製造コストが400ドル以下であるとも述べており、SpaceXの価格(端末代金599ドル、月額120ドル)を下回る可能性も注目されています。
一方、SpaceXやAmazonと同じく衛星通信インターネットサービスの提供を目指す、リチャード・ブランソン率いるVirgin Orbitが、企業活動の一時停止を発表しました。2つの金融機関と救済について話し合っていると報道されており、今年一月の衛星を軌道に送り込むミッションの失敗が尾を引いてしまった模様です。Virgin Orbitの技術は再利用されたボーイング 747 を使用して人工衛星を軌道に送り込むというもので、十分な長さの滑走路があれば世界中のどの空港からでも衛星を送り込めるようになると非常に注目されていたので、これは残念ですね。
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。