Weekly Newsletter #123
TikTok CEOが公聴会に出席するも疑念は晴れず / 生成型AIへの訴訟が始まる / ビル・ゲイツ - ChatGPTはWindows OS以来の快挙 / VerisonとAT&T、景気後退のためファイバー敷設を縮小
雨降りの多かった今シーズンのベイエリアですが、暖かい日も増えてきて春を感じます。もう4月になるのですね。こちらの4月は新年度でも新学期でもないのですが、それでも日本人の私は、何だか新たな気持ちになります。ラストスパート!、走り切りましょうw
TikTok CEOが公聴会に出席するも疑念は晴れず
TikTok CEOのChew氏が公聴会に参加
議員団からの質問に答えるも、中国政府の影響力を懸念する米国の疑念は晴れず
「ダメージ・コントロールモード(広告主は一定の距離を置くべき)」に移行したとの見方も
TikTok CEOのChew氏が公聴会に出席し、TicTokアプリへの中国当局の影響力を国家の脅威と懸念する民主党・共和党の両党議員を前に、同社のスタンスを説明しました。この公聴会は5時間にも及び、Chew氏はこれまでの取り組み(米国ユーザーのデータは米国内のオラクル・クラウドにホストされ中国からはアクセス出来ない、このプロジェクトに15億ドルもの資金を投入しており、データガバナンスは万全である)を説明しました。しかし、両党議員から追及で、過去に中国エンジニアが米国ユーザーのデータにアクセスしたことがあったとも認めました。
この公聴会に先立つ形で、米ユタ州で未成年者のSNSアプリの使用を規制する法案が通過したり、オーストラリア高官が「TikTokが海外在住の支持者をマイクロターゲットにして、中国政府のプロパガンダとして発信している。もはや、ByteDanceは民間企業として捉えることはできない」とコメントしたりと、TikTokにとっては向かい風となるニュースが複数流れていました。それもあってか、Thew氏はTikTokへの懸念を払拭することが出来なかったと広く捉えられており、TikTokが「ダメージ・コントロールモード(広告主は一定の距離を置くべき)」に移行したとの見方も出てきています。引き続き注目です。
生成型AIへの訴訟が始まる
AI企業に対する著作権訴訟が複数で始まる
訴訟は著作物でAIをトレーニングした事に対しておこされている
Googleとメディア企業は利益共有モデルに行き着いたが、AI企業とメディア企業がどうなるか・・
ChatGPTが凄い勢いで広がっています。同様のサービスが多くリリースされていますが、その中には著作権的にグレーなところを走っているところもあります。例えば、Character.AIでは、イーロン・マスクなどの実在の人物やスター・ウォーズのマスター・ヨーダが、ユーザから質問にChatBotで応答してくれるサービスを展開しています。オープンソースとして公開しサービス展開するStability AIは、バッドマンなどの著作権で保護されたキャラクターを簡単に生成します。しかし、ついにと言いますか、これらの企業への知的財産訴訟がおこされるようになりました。サンフランシスコにて、3 人のアーティストを代表とする集団訴訟で、数十億もの著作権で保護された画像でモデルをトレーニングしたとして、Stability AI、DeviantArt、および Midjourney を訴えました。また訴訟ではありませんが、幾つかのメディ企業はOpenAI が自社の記事を使って AI ツールをトレーニングしていると批判しています。
今後、このような訴訟は多く出てくると予想されます。かつてGoogleとメディア企業は争い、最終的には利益を共有するモデルに行き着きましたが、今回のAI技術とコンテンツ所有者との争いがどうなるのか、注目です。
ビル・ゲイツ - ChatGPTはWindows OS以来の快挙
ChatGPTはWindows OS以来の快挙、全てを変え得るもので、公益にも使うべき - ビルゲイツ
生成型AIはiPhone以来のイノベーション - NVIDIA CEO
NVIDIAの新たなクラウドベース・スーパーコンピュータで、更なるInovationが期待される
ビル・ゲイツが、ChatGPTは生涯で遭遇した2つの革新的テクノロジーの内の1つである、と述べました。(ちなみに、もう1つは自身が開発したグラフィカル・ユーザーインタフェース:Windows OSでした。)ゲイツ氏は「人々の働き方、生き方に影響を与え、またビジネスの世界ではAIの使い方が差別化の大きな要因となる」と述べています。同氏は現在、自身のビル・アンド・メリンダゲイツ財団(慈善基金団体)の活動に注力していることから、このAIが、発展途上国のヘルスケアや気候変動、教育問題などの世界の不平等を解決するために使えないかと考えているようです。
また、NVIDIAのCEOは自社の年次のディベロッパー・カンファレンスにて「生成型AIは2007のiPhoneリリースに似ている、そこからイノベーションの波が起きた」とコメントしました。同社は、顧客が何万ものグラフィックス処理チップにアクセスできるクラウドベースのスーパーコンピューティング サービスを発表し、OpenAIがMicrosoftの協力で得たスーパー・コンピューティング環境が今後はより身近になる、と謳っています。
2023年は正に生成型AIの年と言えそうですね。
VerisonとAT&T、景気後退のためファイバー敷設を縮小
FRBの金利上昇により、通信事業者が光ファイバー敷設プランを縮小
Verizonは前年度より5万件少なく、AT&Tは39%の削減
光ファイバーの敷設は1軒あたり2000ドルのコスト、金利上昇した今、通信事業者にとりリスクの高い提案に
FRBによる金利上昇が、VerisonやAT&Tの光ファイバー敷設プランに影響を与えています。実際、Verisonの家庭へのファイバー敷設は昨年度より5万件少なく、AT&Tはファイバーと5Gの敷設を中心とした組織再編があったにもかかわらず、家庭への敷設数が39%削減しています。縮小前の敷設プランは連邦インフラ法案による数十億ドルから来た楽観論であったのですが、昨今の金利上昇と景気の先行き不安から、今回の縮小となりました。
実際、光ファイバーの導入は安くなく、一般的な住宅地に敷設するには1軒あたり1000ドル、家まで繋げるのにさらに1000ドルかかると言われてます。そのため、金利が上昇し、インフレもあり、経済不安が吹き荒れる今は、通信事業者にとりリスクの高い提案となってしまったようです。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。