Weekly Newsletter #124
メターバースの下火が顕著に - DisneyとMicrosoftが撤退 / Techリーダー達がChatGPT-4より強力なモデルの開発を停止するよう求める / フカフカなジャケットを着た教皇の写真は偽物 / Amazon - 共有ネットワークのSideWalkを公開
昨日、オークランドに野球を見に行きました。オークランド・アスレチックスには、今年から藤浪投手が加入しており、昨日がデビュー戦でしたので、晋太郎Tシャツを着て応援してきました。対戦相手は大谷選手率いるロサンゼルス・エンジェルスでして、日本人二人の対決は興奮しました。3回8失点と、きっと藤浪投手にとってはほろ苦いデビューとなりましたが、引き続き、応援したいと思います!
メターバースの下火が顕著に - DisneyとMicrosoftが撤退
メタバースが下火に - Disney・Microsoftが中止、MetaもAIにフォーカス
経済状況の悪化が最大要因であるが、高価なヘッドセット、技術的課題も原因か
AppleのVRゴーグルの出来で状況が変わる可能性もあるが、リリース遅れや社内不協和音も聞こえてきている
メタバースの下火が顕著となってきました。今週、ウォルト・ディズニーがメタバース戦略部門の閉鎖を、Microsoftは2017年に買収したVRプラットフォームの閉鎖を、其々発表しました。メタバース上での仮想不動産にも影響があり、Decentralandの販売価格の中央値は1年前から90%も下落しています。僅か18ヶ月前には「インターネットの進化版となる」と大きな期待が寄せられていたメタバースですが、経済状況の悪化、高価なハードウェア、技術的課題もあり、期待したほどの成果が得られていない状況です。この悲惨な状況の代表格が、社名をも変えて大きく事業をピポットしたMetaでしょう。Metaはメタバースの構築に数十億ドルを費やすも成功とはほど遠く、メタバース部門を含む総勢21,000名のレイオフを実施し、また、先月の発表で「短期的にはAIフォーカスする」と発表しています。
この停滞状況はAppleがVRゴーグルをリリースすれば変わるはず、とも思えるのですが、そのリリースも遅れそう(経済の低迷から慎重になっている)との予測が出たり、Apple社内で懐疑論からVRプロジェクトから離反する人が出ているとNew York Timesが報じたりと、まだまだ楽観できない状況が続いています。今後の動向に注目です。
Techリーダー達がChatGPT-4より強力なモデルの開発を停止するよう求める
Techリーダー1100人が、GTP4より強力なAIモデルの開発を6ヶ月停止するよう要請
現在のAI開発競争が「制御不能」であるとの認識から
UC BerkleyやカナダのAI研究所所長、Stability AIなどのAI研究トップらも署名した模様
イーロン・マスクやApple共同設立者のスティーブ・ウォズニアックなど、1100人を超えるTechリーダー達が、ChatGPT-4 よりも強力なモデルの開発を6ヶ月間停止するよう公開書簡にて要求しました。この書簡は、AIの「制御不能な競争」を警告したものであり、「強力な AIシステムは、リスク管理が万全であると確信した場合にのみ開発される必要がある」と述べています。
所謂、映画ターミネーターのような未来を危惧したものとも言えるのですが、この書簡がUC Berklyのコンピューターサイエンス教授のスチュアート ラッセル氏やカナダのAI研究所Milaの科学部長Yoshua Bengio氏、Stability AIの創設者兼CEOの Emad Mostaque氏などの現役のAI専門家から支持を受けていることは注目すべきでしょう。また、この書簡をリードしたも思われるイーロン・マスクは、「利益に縛られず、全人類の利益に資するAIの専門組織を作る」という思想を基に、現CEOのSam Altman氏と共に議長として2015年にOpenAIを設立しており、MS社との関係が深い現OpenAIには思うところがあるのかもしれません。いずれにしても、この動きには注目ですね。
参考ブログ: AIは偏見に満ちている?
フカフカなジャケットを着た教皇の写真は偽物
<Fake photos generated by artificial intelligence software appear to show Pope Francis walking outside the Vatican in a designer coat, which he never did.>
先週金曜、Redditで公開された「スタイリッシュな白のフカフカなジャケットを着ている法皇」の写真、SNSで話題となり数百万回の視聴回数を獲得したのですが、この写真はAIソフトウェア Midjourneyが作った偽物でした。写真はよく見るといくつかの不具合があり、例えば、水筒を持っている法王の右手がゆがんで見えたり、皮膚が過度にシャープに見えたりするのですが、オンラインの多くの人はそれに気づかず、本物の写真と認識したようです。そして、この出来事により、一種の混乱が生まれ、AIの危険性も浮き彫りとなりました。この種のディープ・フェイクは他にも多数報告されており、ドナルド・トランプ前大統領の写真で警察に拘束されているような画像や、ウクライナのゼレンスキー大統領が軍隊に武器を置いて降伏するように言っているように見えるフェイクビデオ(幸い、これは質が悪く、皆が直ぐに偽物と気づいた)など、多くが出回っています。
AIが作った画像やテキストを発見するツールが期待されますが、当面の間は、我々人間の目で見極める必要がありそうです。
Amazon - 共有ネットワークのSideWalkを公開
Amazon - 共有ネットワークのSidewalkを開発者向けに公開
IoTセンサーベンダーや、ペットの迷子タグなど、様々な利用が想定される
AWS IoT Coreとの統合もあり、IoTソリューションの強化となるか
Amazonが、RingドアベルやEchoスピーカーなどのSidewalk Bridge機器から構成される、低帯域幅の共有ネットワーク “SideWalk” を開発者向けに公開しました。2019年に発表されたSideWalkはこれまで限定したパートナーのみが利用可能であったのですが、ようやくのデビューとなるようです。このSidewalkはRingやAlexaの普及率もあり、また低電力で広域ネットワークであるので、米国国土の90%をカバー出来る共有ネットワークであるとAmazonは主張しています。ユーザーは自身のRing・Alexaスピーカー等のデバイスにてSideWalkを有効化することで(つまり共有ネットワーク作りに貢献することで)、この共有ネットワークにも自身も参加可能となります。具体的なシーンとしては、例えば自宅WiFiが繋がらなくなった時、部屋のEchoや庭先のRingは自動的にSideWalkに接続し直して引き続き使える、このようなシーンが想定されます。
今回の開発者向けの公開により、IoTでの利用が更に加速するでしょう。空調センサー、水漏れセンサーなど、Sidewalk対応のセンサーが既に市場に出ていますが、今回の解放で新たなベンダーの参入が期待されます。AWS IoT Coreとネイティブに統合されているので、Amazon IoTソリューションは益々強化されますね。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
AppleがApple Music Classicをリリース、Dataタグ付けとAI時代の人間によるキュレーションの重要性を説明
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。