Weekly Newsletter #127
風力発電にイノベーションが到来 / SpaceXのStarship、打ち上げに成功 / 遂にメタのアバターに足が生える?? / Googleの広告ビジネスの行方
4月も後半に入り暖かくなってきました。週末にカリフォルニア東部へと少し遠出をしてきたのですが、今年のカリフォルニア州は雪が多く降りまして、シエラネバタ山脈は未だ沢山の雪で覆われていました。
風力発電にイノベーションが到来
風力発電にイノベーションが到来している
発電効率を上げた風車や、沖合に巨大風車を設置するプロジェクトが進行中
石油や天然ガスと比べて価格が安定する傾向にあり、期待されている
カリフィルニアには多くの発電風車が設置されています。私の住むベイエリアから北東に50マイルほど離れたAltamontの丘にも多くの大きな風車が設置されており、なかなか壮大な景色です。今、この風力発電にイノベーションが到来しているようです。1つは風車の効率化でして、400ほどある風車を34の高性能モデルにスリム化するプロジェクトが進行しています。また、沖合20マイルほどの場所に最大800ft(240メートル:サンフランシスコで2番目に高い48階建てのTransamericaビルと同じ高さ)の巨大な風車群を設置するプロジェクトも始まります。この風車はタービン一回転で2件の家庭宅1日分の電気を生成するとのことです。カリフォルニア州の目標は、この洋上風力発電で 25 ギガワットのエネルギーを生み出すことであり、これは、カリフォルニア州の 2,500 万世帯に電力を供給するのに十分な電気量となります。また、このような発電設備だけではなく、それを貯蔵するバッテリー施設の建設も進んでいまして、電力会社のPG&Eは、南ベイエリアのMoss Landingに256 個のパワー パックから成るバッテリー ファームを建設しました。
風力発電は石油や天然ガスの価格に左右されることなく安定した供給源となりえますので、このイノベーションは消費者としても嬉しいですね。
SpaceXのStarship、打ち上げに成功
SpaceXが、有人飛行も可能とするStarshipの打ち上げに成功
Starshipは完全再利用が可能な、宇宙飛行士を月に輸送するロケットとして開発
火星に人を連れていくことで「人類を惑星間種」にする、イーロン・マスクの夢の実現の一歩か
SpaceXのStarshipが木曜にテキサス州南部の発射台から無事に離陸しました。Starshipは、Starship(人が乗るところ) と Super Heavy (ブースター ロケット)から成る400 フィートの構造物であり、この史上最大規模のロケットです。打ち上げから数分後、SpaceXが「予定外の急速な分解」と呼んだ現象(爆発)が起きましたが、SpaceX は打ち上げが成功したと考えているようです。NASAも同じように捉えており、ビル・ネルソン長官もTwitter で 「SpaceX が学ぶ全てのこと、次の飛行試験、そしてその先を楽しみにしている」と祝辞を述べてしました。SpaceXは、NASAの宇宙飛行士を月に輸送すべく、現在の主力であるFalcon ロケットよりも大きくて重い荷物を運ぶことができる完全に再利用可能なロケットになるようにこのStarshipを設計しています。また、第2世代のスターリンク衛星を打ち上げにも利用されることとなるようです。
2020年12月の飛行テスト時の着陸大爆発から僅か2年と4ヶ月で、ここまで来たのは凄いですね。イーロン・マスクの「人類を惑星間種(interplanetary species)にしたい」との夢の実現も、もしかしたら近いのかもしれません。
遂にメタのアバターに足が生える??
Meta AIの研究で、センサーを追加することなく、アバターに足を持たせる事ができるように
上半身の動きで足の動きをAIで予測する
新たな1万人規模のレイオフも発表されるなか、この技術で好転するか注目
Meta AIの新たな研究で、センサーを追加することなく、現実世界での人間の全身の滑らかな動きを再現することができるアバターモデルが提示されました。通常、VRヘッドセットはユーザーの頭と手の動きをキャプチャーし、足の動きの追跡は困難と言われています。新モデルの「Avatars Grow Legs(略してAGroL)」は、僅かな上半身の信号で全身の動きを追跡するように特別に設計されたdiffusion mode(拡散モデル)であり、今まで実現できなかった足の生えたアバターの再現が可能となるようです。また、このAGroL はリアルタイムで実行できるため、オンライン アプリケーションにも適しているとのことです。昨年度秋に発表された足ありアバターのコンセプトがようやく実現されることとなりそうです。
Metaは今週、反対を押し切ってHorizon Worlds VR アプリを 10 代向けに公開しましたが、ユーザの維持に苦労していると言われています。実際、昨年 10 月時点でアプリの月間アクティブ ユーザー数は 20 万人未満であり、年末の50万人の目標から大きく下回っています。水曜日に技術チームの1万人のレイオフが新たに報道されており、苦境にあるMetaが、この足付きアバターで復活するのか注目です。
Googleの広告ビジネスの行方
Samsungが、デフォルト検索エンジンをGoogleからMicrosoftのBingに置き換えることを検討
SamsungとGoogleの契約は推定30億ドル、Googleの1,620 億ドルの検索ビジネスに亀裂が入る可能性も
GoogleはMagiというプロジェクトでAI検索エンジンの再構築中、Magiは広告が表示される
Samsungが、自社デバイスのデフォルト検索エンジンを、GoogleからMicrosoftのBingに置き換えることを検討しているようです。SamsungとGoogleの契約は推定30億ドルと言われており、これまで盤石であったGoogleの1,620 億ドルの検索ビジネスに亀裂が入る可能性が示唆されています。(GoogleとAppleと締結した同様の200億ドルの契約が今年更新される予定ですので、こちらも注目されています。)このような動きもあってか、GoogleはMagiというプロジェクトで、AIを活用した検索エンジンの再構築に取り組んでおり、よりパーソナライズされた検索エンジンを開発を進めています。このMagiは、広告を保持する点が以前に限定リリースされたGoogle版ChatPGTのBardとの大きな違いでして、例えば、靴の購入やフライトの予約などの商取引に繋がるような検索クエリは引き続き結果ページに広告が掲載されたり、ユーザーの質問・要求に基づいてソフトウェアのコードを記述する際はコード回答の下に広告を表示する可能性があるようです。更に、GoogleはGIFI(AI技術を用いて画像検索)やTivoli Tutor(新しい言語の学習)、Searchalong(Web閲覧中にチャットボットで質問する、Airbnb レンタルの近くでのアクティビティを尋ねたりできる)などの製品も開発しており、生成型AIと自身の広告ビジネスの統合を計画しているように見え、一般リリースに注目です。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
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Tiger Global - 127億ドルのベンチャーファンドが20%減
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Alphabet傘下のDeepMaindとGoogle Brainが統合へ
バイデン政権 - 中国系Tech企業への投資を規制か(セミコン、AI、量子コンピューティング)
イーロン・マスクの新AI企業の研究者が逮捕
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。