Weekly Newsletter #134
Apple、AR/VRヘッドセットのVision Proを発表、その特徴は?/ シスコが考える生成AIのオフィス活用とは? / 対中国投資に関する大統領令:範囲が狭められる模様 / SEC(証券取引委員会)がバイナンス、コインベースを提訴
久しぶりオラクル・パークに野球を見にいきました。ちょうどPride dayだったようでして、LGBTQ+の方々も多く、盛り上がっていました。ダイバーシティ拡大を祭り気分で進めることができるのは、素晴らしいですね。
Apple、AR/VRヘッドセットのVision Proを発表、その特徴は?
AppleがVision Proと言う名のVR/ARヘッドセットを発表しました。同社にとり9年ぶりの新たなコンピューティングデバイスとなる3,499ドルのVision Proですが、簡単にまとめると以下のような製品であるようです。
Spacial Computing(空間コンピューティング)という発想、新た開発したVision OSで動作
アイ・トラッキング(目の動き)、指のタップ、音声などで操作可能
» Quest VRのような外部コントローラーが必要ない仮想空間に閉じ込められない
» 空間マッピングで周りの空間を認識(壁や家具を人を認識)
» ディバイス外部にユーザーの表情を投影し、外部からも話しかけやすい外部バッテリーが必要であるが、ポケットに収まる程度の大きさ
様々な利用シーン
エンターテイメント(映画鑑賞やゲームなど)
オフィス(Webスクロール、メール、Web会議など、Mac PCとの連携)
» FaceTimeでは事前取得した表情を元にAIがリアルタイムに表情をマップQuest VRの主要シーンである運動系アプリは紹介されず
このヘッドセットは、その型破りな曲面形状、薄さ、超軽量により、Apple がこれまでに作成した中で最も複雑なハードウェア製品となったようです。それ故に、デバイスを大規模に製造することが困難となり、初年度の出荷数は50万台未満となる見込みと伝えられています。(参考比較:100万台のiPodに2年、100万台のiPhoneに74日、100万台のApple Watchに1日)
このディバイスの登場で、低迷気味のAR/VRが盛り返すかもですね。正直に言いますが、欲しくなりましたw
シスコが考える生成AIのオフィス活用とは?
生成AIを用いた、チャット・通話のまとめ機能がCisco Liveにて発表される
AIの幻覚(嘘)を極力避けるようにモデルトレーニングに取り組んだ
現時点での性能、独自モデル故のネットワーク効果の獲得方法に注目
先週ラスベガスで開催されたCisco Liveでは様々な発表がありました。私も現地に行き見てきたのですが、注目度No.1は、やはり昨今の流行りである生成AIの利活用であったように感じます。それは、生成AIを利用した要約機能であり、Cisco WebexやSecurity Cloud上でやり取りされたチャットや会話の内容をシステムが要約してくれるものです。この要約機能自体はそれ程珍しいものでは無いのですが(実際、Salesforceも先月にSlackの通話やメッセージの要約機能を発表、ZoomもOpenAIとAnthropicを連携した要約機能、MicrosoftのTeamsもサブスクでAIによる要約を発表している)、Cisco Liveではその正確さ・性能が強く言及されていました。セキュリティ・コラボレーション担当のEVPであるパテル氏は「AIモデルが 40% の確率で幻覚を起こすのであれば、それは使い物にならない。AI が幻覚を起こさないと確信できるように、AI のトレーニングに取り組んだ」と述べ、ソリューションへの強い自信が伺えました。
このAIモデルは自社で作り上げたモデルとのことであり、OpenAIやGoogle、Anthropicなどの先行プレイヤーとの現時点での性能差や、今後、この自前モデルでのネットワーク効果をどう獲得するのか、シスコのアプローチに注目です。
対中国投資に関する大統領令:範囲が狭められる模様
対中国への投資規制は範囲(チップ、AI、量子コンピューティング)を限定したものへ
ビジネス界への配慮も伺える
しかし、VCには明確な圧力でありセコイア・キャピタルは中国関連会社の切り離しを発表
米国による中国への投資を制限する大統領令は、範囲を限定したものとなる模様です。この大統領令は、米国資金が中国政府の監視やスパイ活動に利用可能な先進技術の開発の協力となることを防止するものなのですが、当面の制限は、先端半導体、人工知能、量子コンピューティングに焦点を当てることとなるようです。ポール・ローゼン米財務次官補は、この大統領令が「国民やビジネス界が理解でき、管理可能なものとなるよう進めている」と述べています。バイデン大統領がいつこの大統領令に署名するかは未だ定かではありませんが、この動きは米国の投資会社にとり、中国からの撤退を求める圧力であることは確かです。実際、セコイア・キャピタルは火曜日、同社の中国関連会社であるセコイア・キャピタル・チャイナを切り離し、来年初めまでに完全に独立させると発表しています。
ジョン・チェンバースさんが言っていた「グローバリゼーションの終焉」も、幾らか現実味を帯びてきました。
SEC(証券取引委員会)がバイナンス、コインベースを提訴
SECがバイナンスとコインベースを提訴、証券取引所としての未登録であるとの理由から
SolanaやCardano、Polygonなどの暗号通貨は証券である述べる
SECが規制するとの明確な意思表示
SEC(証券取引委員会)がバイナンス、コインベースの2社を提訴しました。バイナンスに対してはCEOによる市場操作と顧客資金の悪用というFTXのケースにも似た重大性も感じますが、本質的には両社ともに取引所をSECに登録しなかったとして提訴したものです。これは、仮想通貨の取り締まりはSECが主導するという明確なメッセージと受け取れそうです。と言うのも、SECとしてはほとんどの仮想通貨は有価証券であると考えているようであり、実際、SolanaやCardano、Polygonなどの暗号通貨は証券であるとバイナンスの訴訟で述べています。しかし、設計上は暗号通貨は従来の金融システムの外で動作することとなっており、それが暗号通貨の存在理由の1つでもあるので、それもあってか、現時点では両社とも告訴に闘うことを決意しています。
この訴訟は、透明性が欠如している暗号通貨業界にとりプラスに働くのでは、との見方もあり、一概に「米国での暗号通貨は終わった」とは言えないのですが、いずれにしてもマネーゲームのルール作りが先行している印象です。本来の意味でのBlockchainのイノベーションに期待したいですね。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。