Weekly Newsletter #135
Salesforce - AIクラウドを発表、資金も5億ドルに増額 / アンドリーセン・ホロウィッツ - 暗号通貨に特化したオフィスを英国に開設 / Oracle - AIパートナーにカナダのCohereを選定か? / Metaの科学者、AIによる終末論は「バカげている」
来週月曜の6月19日はジューン・ティーンスであり休日となります。このジューン・ティーンスはアメリカにおける奴隷解放が実質的に終わった日として有名です。2021年6月にバイデン大統領がこの日を連邦の祝日とする法案に署名したので、クリスマスや感謝祭と同じくfederal holiday;連邦政府が定めた休日となりました。いまは金曜の夕方なのですが、アメリカでは数少ない連休の1つですので、きっと多くのアメリカ人は浮足だっているのではないでしょうか、、私もそのうちの一人ですw
Salesforce - AIクラウドを発表、資金も5億ドルに増額
Salesforceが新サービスの「AIクラウド」を発表
生成AIが自動的に営業メールやマーケティング資料、顧客へのサポートメッセージを作成する
生成AIスタートアップへの投資資金も5億ドルに倍増、自社MLとの共存を図る模様
SalesforceがAIクラウドと言うなの新たなサービスを発表しました。このAIクラウドにユーザーのビジネス情報を保存することで、AIが自動的に営業メールやマーケティング資料、顧客へのサポートメッセージなどを生成してくれるとのことです。これらはユーザーのビジネスに応じて適時カスタマイズされた形で提供されるとSalesforceは発表しており、大きな注目を集めています。このAIクラウドはOpenAI、Cohere、AnthropicなどのAI企業が持つ既存AIモデルと、Salesforce自身が開発したMMLの双方が使われるようです。(それもあってか、SalesforceはCohereとAnthropicの両方の株式を取得)
同社は生成AIのスタートアップ向けのベンチャー・キャピタル資金を5億ドルへと倍増するとも発表しており、自社ブランドに収まるAIスタートアップへのコンタクトを活性化かしています。このAIクラウドの基本料金は年間36万ドルだそうです。これを高いと見るか安いと見るかは、同社AIクラウドの完成度によりますね。
アンドリーセン・ホロウィッツ - 暗号通貨に特化したオフィスを英国に開設
アンドリーセン・ホロウィッツが、英国で暗号通貨に特化したオフィスを開設へ
米国の対立路線に嫌気が差し、かつ英国の歓迎ムードに誘われた形
トーンダウンする暗号通貨業界への活路となるか注目
シリコンバレーのベンチャー・キャピタルを代表するアンドリーセン・ホロウィッツが、英国で暗号通貨に特化したオフィスを開設予定であると発表しました。米国ではSECを初めとした規制当局の暗号通貨業界への敵対的姿勢が目立つようになってきており、(実際、同社が投資しているコインベースとバイナンスはSECより訴えられている)、この逆風から来た動きと捉えることが出来そうです。アンドリーセン氏は「英国の政策立案者や規制当局がこの技術を歓迎する姿勢に惹かれた。米国は途方もない不確実性が存在する、また起業家やイノベーターには何の役にも立たない規制を目の当たりにしている。」とも語っており、米国でトーンダウンする暗号通貨業界の現状と英国への期待を表明しました。
このまま米国は暗号通貨から距離を置き続けるのか、それが原因でこの業界は終焉するのか、あるいは英国などの米国外で再度立ち上がるのか、今後の成り行きに注目です。
Oracle - AIパートナーにカナダのCohereを選定か?
オラクルが生成AIパートナーにトロントのCohereを選定か・・
Cohereは企業データを共有せずに、独自のAIモデルを構築できる
クラウドに縛られない点も魅力となるか・・
オラクルが生成AIの主要パートナーとしてカナダのCohereを選定したようです。CohereはOpenAIと同じく、文章生成やコーディングなどのタスクを自動化できる大規模言語モデルを開発していますが、OpenAIと違いも幾つかあります。その1つは、データの共有を望まない企業が独自にAIモデルを構築できる点です。つまりCohereでは、企業はデータを共有することなく独自データを使用してAIモデルを構築することが出来ます。実際、オラクルは大手ヘルスケア・クラウドプロバイダーであるCernerを顧客として持っていますが、Cernerは自社データを使用して医療専門家や初期対応者向けにCohereを訓練しているとのことです。インターネット上のあらゆるデータを収集してトレーニングデータに活用しているOpenAIのアプローチとは大きく異なります。また、OpenAIはマイクロソフトが独占して販売していますが、CohereはOracleやNVIDIA、Salesforce Venturesなどの多くから投資を獲得していることもあり、1つのクラウドに縛られない点も、OpenAIとの大きな違いとなるでしょう。
オラクルは独自のMMLを開発中とも伝えられていますが、このCohereとの契約で、生成AIの分野をどうキャッチアップするか注目です。
Metaの科学者、AIによる終末論は「バカげている」
Metaの科学者であり、AIのゴッドファーザー3人の内の1人とも言われるヤン・ルカン氏が、「AIが人類に脅威をもたらすという一部の専門家の懸念はばかげている。AIが世界を征服したり、雇用を永久に破壊したりすることはない」と述べました。コンピューターは人間よりも知性が高くなるであろうが、それはまだ何年の先であり、「安全ではないと解れば、それを作らなければいいだけだ」と語り、昨今大きな話題となったAIによる終末論に冷や水を浴びせました。
同氏はAIは本質的には人間の本性を機械に投影しただけであり、故にAI研究を「厳重に管理」しておくことは大きな間違いだとも述べています。AI研究の第一人者であるルカン氏の、他研究者とは異なるコメントに注目が集まります。また、同氏が進めるMetaのAI研究(記憶、推論、計画、そして常識を備えた安全なシステムを生み出すことを目的とした、いわゆるObjective Driven AI)にも注目です。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。