Weekly Newsletter #140
Appleも生成AIを開発か / SpaceX、時価総額が1500億ドル、収益も80億ドルに倍増 / Meta、商用利用可能なオープンソースの大規模言語モデルをリリース / TSMC、人手不足のためアリゾナ工場の稼働日が延期に
今週は暑かったです。私は今週、夏休みでグランドキャニオンの渓谷を下り、コロラド川を見るトレッキングをしてきたのですが、45度を超える暑さで、家族から「聞いていた話と違う!!」と猛抗議にあいました。でも、10時間を超えるトレッキングの末に見れたコロラド川の景色は格別でした。
Appleも生成AIを開発か
Appleが生成AIツールを開発か・・
同社はSiriを持っているが、プライバシー優先戦略以来、後れを取っていた
現状、 ユーザーへの開放は検討されておらず、顧客向けの機能開発には使用しない
AppleがOpenAIやGoogleに対抗できる生成AIツールの開発に取り組んでいるようです。同社は機械学習フレームワークである Google Jax 上に独自のフレームワーク「Ajax」を構築し、一部のエンジニアが「Apple GPT」と呼ぶチャットボット サービスを作成しているとのことです。Appleは、Siriを2011 年にリリースしてAI分野には逸早く参入していたにもかかわらず、Appleが他の分野に注力し、またプライバシーを優先して採用する機能を減らしたため競合他社に後れを取っていました。同社 は、この技術を消費者にリリースするための明確な戦略はまだ考案していませんが、AI推進は主要な取り組みとなっており、複数のチームがプロジェクトに協力しているようです。 しかし、システムへのアクセスには特別な承認が必要であり、また、そこからの出力は顧客向けの機能の開発には使用できないとの事です。このようなアプローチは、サムスン等のテクノロジー企業と似ています。彼らはサードパーティのサービスによる機密データの漏洩に関する懸念が浮上したことを受けて、ChatGPT に似た独自の社内ツールを開発しています。
ユーザーのプライバシーを優先した故にAIで後れを取るのは何とも皮肉ですが、、Appleが作る生成AIは興味が湧きますね。
SpaceX、時価総額が1500億ドル、収益も80億ドルに倍増
SpaceXの事業が堅調、時価総額1500億ドル、収益も80億ドルと予想
政府・民間からの衛星打ち上げビジネスの好調が牽引
ウクライナ戦争から、ロシアへの衛星打ち上げ委託を止める企業が増えたのも理由の1つ
イーロン・マスクのSpaceXが、今月に実施した株式二次売却で時価総額が1500億ドル(20兆9,205億円)と評価され、米国で最も評価の高い非上場Tech企業となりました。同社は、2023年の収益は去年から倍増して80億ドル、営業利益は30億ドルと予想しています。この急激な成長は、宇宙飛行士を宇宙に運ぶNASAとの契約に加え、政府や民間企業から委託される衛星を打ち上げビジネスの増加が寄与しているようです。また、このビジネスの伸びは、ウクライナ戦争も大きく関係していると言われています。多くの企業はロシアへの衛星打ち上げ委託を止め、SpaceXをはじめとした米国企業へと移しました。昨年度3月の国防省によるウクライナ向けのStarlink端末提供の契約以来、ウクライナや戦争の影響を受けた国々からのStarlink 端末の需要が急増し、注文が 500% 増加したと同社は発表しています。
戦争が宇宙事業に関連しているのも寂しい気がしますが、、今度、機会があればSpaceXの打ち上げを見に行きたいと思います。
Meta、商用利用可能なオープンソースの大規模言語モデルをリリース
Metaが商用利用可能なオープンソースの大規模言語モデルをリリース
LLaMa 2はモデルサイズは70億、130億、700億、一部機能はFalconやMPT などより優れている
OpenAI、Anthropic、Google などの独自モデルの価格体系にも影響するか・・
Metaが最新のオープンソースのAIモデル「Llama 2」をリリースしました。1つ前のLlama 1は研究目的でのみ利用可能だったのですが、このLlama 2はオープンソースでありながら商用目的で利用できるとの事で、大きな注目を集めています。Llama 2は、AzureやAWSなどのクラウド、もしくはMetaから直接ダウンロードしてローカルで実行することができます。LLaMa 2はモデルサイズは70億、130億、700億の3パターンが用意され、 またLLaMa 1 と比較して40%多いデータでトレーニングされており、推論、コーディング、熟練度、知識テストに関しては、Falcon や MPT などの他の LLM よりも「優れている」と、Metaは述べています。
このオープンソースの生成AIは注目ですね。もし利用者がモデルを容易且つ迅速に改善できるようであれば、OpenAI、Anthropic、Google などの独自モデルの価格体系にも影響してきそうです。(O365のOpenAIバンドルは、一人当たり月額30ドルのプラスで、高いですよね。)
TSMC、人手不足のためアリゾナ工場の稼働日が延期に
熟練工不足のため、TSMCのアリゾナ工場の稼働が2025年になる見込み
TSMCは、台湾から熟練工を派遣して、現地従業員を訓練する予定
世界経済の影響で売上が第二四半期で13.7%減となったが、TSMCの長期見通しは堅調な模様
チップ製造最大大手のTSMCが、専門知識を持つ熟練労働者の不足により、計画中のアリゾナ工場での量産生産が来年から2025年に遅れると発表しました。同社のマーク・リュー会長は、現地の従業員を訓練するために台湾から経験豊富な技術者を派遣する予定である、と述べています。(この改善案のため、同社が持つ施設内の厳重なセキュリティーポリシーを、一部緩和する模様です)
同社は、世界全体の経済状況が影響して、売上が第二四半期で13.7%減の157億ドルとなり、2023年の売上高が10%減少する見通しを示しました。しかし、5Gやハイパフォーマンス・コンピューティングなどのメガトレンドに支えられ、TSMCの長期見通しは引き続き堅調であると、多くのアナリストはTSMCを楽観的に見ているようです。
地政学的には、アリゾナ工場の稼働遅れは、アメリカにとって影響大となる模様です。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。