Weekly Newsletter #143
無人自動運転タクシーがサンフランシスコで解禁へ / GoogleとユニバーサルミュージックがAI楽曲について協議開始 / 脳インプラントのニューラリンク社が新たに2億8000万ドルの資金を獲得 / バイデン氏、中国ハイテク分野への米国投資を制限する大統領命令を発令
日本ではお盆休みの方も多いかと思いますが、こちらでは夏休みも終わりを迎え、娘の学校も今週水曜から開始となります。こちらでは夏休み後は新学年となるので、クラス替えに伴い、新しい先生は誰になるのか、仲良しの友達と一緒のクラスになれるのかと、多くの親御さんが気にかけています。でも幸い、いい先生ばかりですので、娘は学校が始まるのが楽しみなようですw
無人自動運転タクシーがサンフランシスコで解禁へ
WaymoとCruiseがロボタクシーの24時間運用の承認を勝ち取る
6時間半に及んだ公聴会では障がい者コミュニティーからの賛成コメントがあった
公聴会に先立ち、市当局は自動運転車が交通渋滞を引き起こし、緊急車両を妨害したとして、審議の先延ばしを表明していた。
WaymoとCruiseが6時間半の公聴会の末に、サンフランシスコでの無人自動運転タクシー・ロボタクシーの24時間運用の承認を勝ち取りました。(現状、限定された地域と時間でのみ利用可能でした。)これは、この技術に数百億ドルを費やしてきた2社にとり、大きな勝利と言えるでしょう。長時間に渡った公聴会では、障がい者コミュニティからの声も多くあったとの事で、「この車両は人間の運転手よりも安全であり、現在適切な交通手段を持たない障害を持つ人にとり有益となるであろう」と支持者は表明しています。一方、反対派は自動運転車のカメラやセンサーが、国家からの国民監視のツールになり得るとして非難しています。また、この自動運転技術により雇用の喪失を懸念する人々もあり、実際、トラック運転手、労働組合員、ライドシェアの運転手らは、AIに取って代わられることへの不安を表明しています。
この公聴会に先立ち、サンフランシスコ市当局は、自動運転車が道路を遮断して交通渋滞を引き起こし、緊急車両を妨害しているとして、審議を遅らせるよう州に要請していました。そのため、この決定は多くの人にとり驚きとなったのですが、個人的にはトライしてみたいです。
GoogleとユニバーサルミュージックがAI楽曲について協議開始
Googleが生成AIによる楽曲作成サービスのため、ユニバーサル ミュージックと交渉中
ユニバーサルが持つアーティストの声や楽曲のAI利用を交渉している模様
ファンが推しの曲を作り出す新たなモデルになるか・・・
Googleが、ユーザーがアーティストの声と楽曲を元にして曲を作れるAIサービスのため、ユニバーサル ミュージックと交渉中と報じられました。この取り組みが進むと、ユーザーはAIで自ら楽曲を作る為に著作権所有者(アーティスト)に使用料を支払うことになります。アーティスト側はこの取り組みに入るか否かを選択できる事になるようです。生成型AIが作り出す文章や画像・映像のクオリティは高く、楽曲の分野でも広がっています。記事冒頭にあるYoutubeは、フランクシナトラにクーリオのヒップホップ曲「ギャングスタズ・パラダイス(原曲はこちら)」を歌わせたものなのですが、実際に聞いてみると、なかなかの出来です。
生成AIのクリエイティブ分野への進出は、アーティストや既存プレーヤーからはネガティブな捉え方がされがちですが、ワーナーミュージックのCEOは「適切な枠組みが整備されれば、AIはファンが新たなレベルでのユーザー主導型コンテンツを通じて、ヒーローたちに究極の賛辞を与えることができるようになる」と語っており、アーティスト、ファン、レーベルがAIを使って生み出す新たなビジネスモデルが生まれるのかもしれませんね。
脳インプラントのニューラリンク社が新たに2億8000万ドルの資金を獲得
脳インブラントのニューラリンクが2.8億ドルの資金を獲得
このテクノロジーで歩行や視覚機能の回復が期待される
米国食品医薬品局からヒト臨床試験の承認を取得、ブレイクスルー間近か・・
イーロン・マスク氏の脳インプラント会社であるニューラリンク社か、技術開発のために投資家から新たに2億8000万ドルの資金を調達しました。ニューラリンク社は人体に埋め込むことができるブレイン・コンピューター・インターフェース技術を開発しており、視覚と歩行に障害のある人の機能回復に向けた工学的課題にも取り組んでいます。イーロン・マスクが取り組んでいるという事もあり、このニューロテクノロジー分野は投資が盛んな分野の1つでもあります。実際、この分野は今年6月26日までに1億4,300万ドルを調達しています(2022年通年では2億7,810万ドル、2021年では5億1,890万ドル)。
同社は最近、米国食品医薬品局からヒト臨床試験の承認を取得し、脳とコンピューターを接続するために電極を編んだワイヤーを使用する小型デバイスを開発を始めています。( デバイスを配置するには、頭蓋骨にドリルで穴を開ける必要があるようです。)以前のニュースレターでもお伝えしましたが、イーロンマスク自身もこのテクノロジーを試すかも、と言っており、遠い未来と思っていた脳インプラントの実用化も近いのかもしれません。
バイデン氏、中国ハイテク分野への米国投資を制限する大統領命令を発令
バイデン大統領が、半導体やAIなどの先端技術への投資を制限する大統領に署名
米国政府が米国資本の投資方法に制限を課すのは初であり、「新しい時代」へ
関係改善した時に米国企業が不利となる可能性もあり、企業は難しい判断を迫られる・・
遂に、バイデン大統領は、半導体、量子コンピューティング、人工知能などの先端技術の分野における米国の中国への投資を制限することを目的とした大統領令に署名しました。来年に有効となるこの命令は、「懸念される外国(つまり中国)」が米国の投資を悪用して軍事能力や監視能力を開発し、米国の国家安全保障を脅かす可能性があるとの懸念から発令されています。
一方、多くのハイテク投資家はこの大統領令の前に、すでに中国への投資を減らしています。実際、中国への資本額は2022年に8年ぶりの低水準に落ち込んでいます。また、伝説的VCであるセコイア・キャピタルは、海外事業を3つの部分に分割する事で先立って対応をしていました。しかし、 「米国政府が米国資本の国外流出方法や米国投資家の投資決定方法に制限を課すのは今回が初めてであり、つまり、これは新しい時代である」との捉え方もあるようです。
また、最終的に両国の関係が改善したときに、米国企業が不利になるのではないかと懸念もあり、いずれにしても、米国企業にとり難しい舵取りが迫れています。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。