Weekly Newsletter #145
EUのデジタルサービス法が施行へ、ビックテックが対応を迫られる / インスタカートのIPOが他テックにとり試金石に / インドの宇宙ミッション、次は太陽 / アリゾナ州のTSMC誘致、新たな課題が・・
昨日、久しぶりにナパバレーでワインを楽しんできました。日本から来られた方と一緒に行ったのですが、我々駐在員よりも遥かに広くて深いワインの知識・経験を持たれた方で、とても勉強になりました。数件回ったのですが、どこも味わい深く、美味しかったですw
EUのデジタルサービス法が施行へ、ビックテックが対応を迫られる
間もなく、欧州にて「デジタルサービス法」の施行、ビックテックが対応を迫られる
競争を促進し、SNS中毒性を和らげるのが主だった目的
対象はビックテックのみ、GDRPのような中小企業にコストを課すことはない
欧州における、Big techへの取り締まり強化を目的とした「デジタルサービス法」の施行が間もないことから、Big tech各社が対応を迫られています。この法律は、オンラインコンテンツの取り締まりを強化し競争を促す、史上最大のデジタル規制となります。対象は欧州ですが、影響は西側諸国にも拡大することが予想され、GoogleやMetaなどの大企業はこれに準拠するために数千人の従業員を投入しているようです。Googleはスマホブラウザの選択画面を開発し(EUの要件によりChromeブラウザとの競争が促進)、AppleはApp Store外からのアプリインストール方法を開発、Metaはコンテンツの表示と削除に関するツールを提供を準備し、Amazonは顧客が違法な製品やコンテンツを報告できる新しいチャネルを設立、TikTokはユーザーデータに基づくパーソナライズを避け、代わりに地域の人気に基づいた動画表示のオプションを提供することで、サービスの中毒性の軽減を図っています。この法案は、ビックテックにのみ焦点を当てているため、GDPR施行時のような、中小企業に多額のコンプライアンスコストが課すような事は無いようです。
インスタカートのIPOが他テックにとり試金石に
インスタカート、今期、4億2,800万ドルの利益を発表
しかし収益のほぼ30%は広告によるものであり、食料品の注文は今年上半期は横ばい
同社のIPO成功可否が他テックにとり試金石に
IPO間近とみられているインスタカートが、今期、4億2,800万ドルの利益を発表しました。しかし、収益のほぼ30%は広告によるものであり、食料品の注文は今年上半期は横ばいであったため、同社の成長は鈍化していると市場では受け取られています。実は、同社のIPOの成功可否は、テック市場で非常に注目されています。と言うのも、現在、10億ドル以上の価値を持つ少なくとも1,400社の非公開ハイテク企業が有利なIPOを待っている状況であり、インスタカートのIPOが成功すると、テクノロジー関連の新興企業がさらに参入する可能性があるためです。
インスタカートは、利益率の低い宅配サービスから利益率の高いオンライン広告への事業転換を行い、この変化が会社の収益に寄与しているようです。実際、昨年は広告とその他の収益で7億4000万ドルを稼ぎ出し、インスタカートの総収益25億ドルの30%近くを占めています。
インスタカートは、UberやLyft、DoorDashなどの注目されるギグエコノミー企業と比較するとIPOが遅れていました。先にIPOを果たした企業は収益化にはまだ遠い状態ですが、Uberは収益化に近づいているとされています。ギグエコノミー企業の生き残り、躍進に注目です。
インドの宇宙ミッション、次は太陽
インドの宇宙ミッション、月面着陸の次は、太陽の研究
太陽風が気候にどう影響するかを研究する
月面着陸ミッションにかかった費用は、わずか7500万ドル、脅威的なコスパ
チャンドラヤーン3号の月面着陸成功に続けとばかり、インドが次の宇宙ミッションを発表しました。次のミッションは太陽の研究を行うもので、9月の第1週に打ち上げを予定しているようです。新たなミッションの名前は「ADITYA-L1」であり、ヒンディー語で太陽を意味する言葉に由来しています。このADITYA-L1は、インド初の宇宙ベースの太陽探査機となり、主な目的は太陽風として一般的に知られる太陽からの放射線が地球上で引き起こす影響を研究することで、気候変動に作用すると思われている太陽風のメカニズムを解明することです。このミッションでは、太陽の大気を詳細に調査するために約4か月かけて約150万kmを移動する予定です。
月面着陸したチャンドラヤーン3号の費用は、わずか約7,500万ドルだったそうです。これは脅威的ですね。(宇宙関連予算:日本34億ドル、アメリカ350億ドル、中国333億ドル)
アリゾナ州のTSMC誘致、新たな課題が・・
アリゾナのTSMC誘致、熟練工の不足が課題に
台湾から熟練工を呼び寄せるとTSMCが発表したことが、地元労働組合から反発を受ける
「雇用創出を損なう、米国労働者への敬意に欠ける」
アリゾナ州のチップ製造現場で起きている労働争議が注目されています。台湾の半導体製造会社TSMCは、アリゾナ州フェニックスに新たなチップ製造工場を建設するために400億ドルを投資しており、このプロジェクトで最大150億ドルの税額控除と補助金を受ける予定です。現在、この新施設の建設に必要となる熟練労働者の不足が現在の課題であり、建設を加速するために台湾から労働者を一時的に呼び寄せる計画を立てているのですが、これに対してアリゾナ州の労働組合が「海外から労働者を呼び込むことが、業界内での雇用創出の重要な目的を損なう可能性がある」として反対しています。また、アリゾナ州建築建設貿易評議会は、TSMCが地元の米国人労働者に対して十分な敬意を払っていないと指摘しているようです。
若干、感情論が混じっているような気もしてきますが、なかなか難しい問題ですね。しかし、オックスフォード大学と半導体産業協会の調査によると、チップ製造業界は2030年までに約6万7000人の労働者不足に直面すると予測されており、この熟練工の国内確保方法も、今後、米国で注目されそうです。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。