Weekly Newsletter #149
AIが作る「仮想細胞」で病気を治療する/シスコ、280億ドルでSplunkを買収へ/Intelの次世代研究 - ガラスに賭ける?!/Armに続け!、インスタカートとKlaviyoがIPO
ベイエリアの日も短くなり、午後7時くらいには暗くなり初めてきました。夏は8時でもまだ明るいので、多少遅くオフィスを出ても明るいうちに自宅に戻る事ができるのですが、そろそろ、帰宅時間も考えないとなりません。何だか夏が終わり寂しいですが、アメフト見て気分を晴らしますw
AIが作る「仮想細胞」で病気を治療する
AIを活用した「仮想細胞」による肉体シミュレーションが、医療研究者から注目を集めている
仮想細胞のモデリングにより、細胞、組織、臓器が病気になるメカニズムへの理解が期待される
1,000個以上のH100 GPUのクラスターにて解析され、世界中の研究者に公開される
細胞は、その理解と病気への対策において、多くの未解明な点が存在します。DNA、タンパク質、脂質などの生体分子がどのようにして細胞を構成し、どう相互作用するかは不明な点も多く、また、細胞、組織、臓器が病気になるメカニズムも限られた知識しかありません。
しかし、AIを活用した「仮想細胞モデリング システム」が、病気の理解に大きな進展が期待されています。この技術で体内のさまざまな種類の細胞の外観や特性をシミュレートすることで、細胞の機能や相互作用についての理解が深まるのではと、期待されています。国際的な研究者コンソーシアムでは体内の細胞の参照マップを構築する取り組みを進行中であり、OpenCell などのプロジェクトが細胞内のタンパク質の位置をマッピングしています。このアプローチにより、SARS-CoV-2に対して最も脆弱な呼吸器細胞が特定され、病気の治療法開発に向けた重要な第一歩が踏み出されました。
仮想細胞モデルの作成には、高性能コンピューティングクラスターが活用され、1,000個以上のH100 GPUが組み込まれているそうです。デジタル細胞モデルとそれに関連するデータとアプリケーションが世界中の研究者に公開されることで、医療の進化に寄与することが期待されます。素晴らしい取り組みですね。
シスコ、280億ドルでSplunkを買収へ
シスコが280億ドルでSplunkを買収へ、シスコの約40年の歴史の中で最大規模
「脅威の検出と対応から脅威の予測と予防に移行する」(CEO)チャック・ロビンス氏
ネットワーク機器依存を軽減し、セキュリティおよびデータ管理の分野で多様化を図る一環か
シスコ(Cisco Systems)が、280億ドルの規模でサイバーセキュリティ企業のSplunkを買収する計画を発表しました。この買収では、シスコはSplunkの1株あたり157ドルを提示しており、これはソフトウェア会社の最終終値に対して30%以上のプレミアムを意味しています。なお、シスコは以前、200億ドル以上でSplunkを買収しようとしたことがありましたが、その交渉は決裂していた模様です。今回の買収が成立すれば、シスコの約40年の歴史の中で最大規模のものとなります。
Splunkは、データ可視分析で強みを持つ企業として知られており、企業がサイバーセキュリティリスクやその他の脅威についてシステムを監視するのに役立ちます。シスコのCEO、チャック・ロビンスは「脅威の検出と対応から脅威の予測と予防に移行する」と述べ、この買収によりシスコが今後、AIを活用したセキュリティにおいて優位性を得ることになると期待を寄せています。
シスコは近年、サプライチェーンの問題やパンデミック後の需要低迷に苦しんでおり、ネットワーキング機器事業への依存を軽減する必要がありました。Splunkの買収は、セキュリティおよびデータ管理の分野で多様化を図る一環として位置付けられるのでしょう。
Intelの次世代研究 - ガラスに賭ける?!
インテルが、次世代素材としてガラスに注目
同社が推し進めるファウンドリ事業(他社チップの製造請負)にも肝となる技術
インテルの研究開発費は年間180億ドル、他社を圧倒
Nvidia に後塵を拝しているインテル社は、世界中のコンピューターが増え続ける人工知能のワークロードを処理できるよう、新たな素材である「ガラス」に賭けています。プロセッサーが大型化、複雑化するにつれて、コンピューター内のコンポーネントが通信する能力が課題となるのですが、インテルはチップと接続コンポーネントの間に配置されるガラスベースの基板がこの課題への答えとなると信じているようです。このインテルの「ガラス推し」は、同社の技術ラインナップの中であまり知られていないパッケージング研究・生産施設から生まれました。同社は現在、外部顧客向けに半導体やその他の技術を製造するファウンドリ事業を強化しています。これは55年の歴史を持つ同社の歴史の中で最大の変革の1つと言えるのですが、ゲルシンガーCEOは、このファウンドリ事業の肝となるインテルのパッケージング能力に同社のリソースを注ぎ込んでおり、長年学術研究を続けてきた、この新たなガラスパッケージング技術の実用化を目指しているわけです。
インテルの研究開発支出は年間180億ドル近くに増加しており、他社を圧倒(Nvidiaが73億ドル、Armが50億ドル)しています。チップのパイオニアであるインテルの、AI時代のビジネスに注目です。
Armに続け!、インスタカートとKlaviyoがIPO
インスタカートがIPO、市場評価は約110億ドルとなるが、これまでの調達額390億ドルから下回る結果に
マーケティングサービスのKlaviyoも水曜日にIPOを実施、評価額は完全希釈化ベースで90億ドル
この2社のIPOは、収益性が近づき、且つ、低い評価額を受け入れる企業には好例か・・
月曜日、インスタカートは株式市場に参入し、1株当たり30ドルの価格で株式を公開しました。これにより、約6億6,000万ドルの現金調達に成功しました。CART(証券コード)の下で取引が始まり、火曜日には株価が急騰し、取引を33.70ドルで終えました。これにより、市場評価は約110億ドルに達しました。ただし、インスタカートは2021年に民間資金調達で評価額が390億ドルとされていましたので、IPO後に評価額が大幅に下落したこととなります。初期の投資家であるSequoia CapitalやKhosla VenturesはIPOから巨額の利益を期待できる一方、後期投資家であるT. Rowe Priceなどは、黒字化のために株価がさらに上昇する必要があるようです。
一方、マーケティングサービスを提供しているKlaviyoも水曜日にIPOを実施し、1株当たり30ドルの価格で株式を公開しました。これにより、同社の評価額は完全希釈化ベースで90億ドルをわずかに上回りました。この評価額はKlaviyoが以前の非公開資金調達で得た評価額とほぼ同額です。
この2社のIPOは、収益性が近づき、且つ、一時期よりも低い評価額を受け入れる企業には好例となるでしょう。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
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10分程度なので、聞いてみてください。