Weekly Newsletter #152
AIから利益を上げるのは難しい??/アマゾン、プロジェクト・カイパーにて初の衛星を打ち上げ/連邦通信委員会がスペースデブリ(宇宙ゴミ)に対する初の罰金を命じる、それが意味することは?/欧州委員、イスラエル・ハマス戦争の偽情報の拡散をX、Metaに求める
ハロウィンも近いので、パンプキンパッチにカボチャを買いに行きました。毎年の恒例行事なのですが、たくさんのカボチャから、今年はどんなカボチャにしようかと迷うのもなかなか楽しいです。
その後、近くのハーフムーンベイの港まで足をのばし、漁師さんから生きたウニを買いました。捌くのに苦労しましたが、ウニパスタは絶品でしたw
AIから利益を上げるのは難しい??
高価なAIチップ搭載サーバーを必要とする、生成AIのコストが注目される
AIはクエリ毎に計算するので、従来のソフトウェアのようなスケールメリットを得難い
簡単なクエリにはオープンソースAIを使うなど、コスト最適化が注目される
生成AIの提供には高い運用コストが掛かり、多くのテクノロジー企業が適切な価格戦略を模索しています。AIは通常、各クエリごとに新しい計算を必要とするので、従来のソフトウェアのようなスケールメリット(開発が終わりさえすれば、売るほどに儲かる)が難しい側面があります。つまり、顧客が使うほどにインフラコストが上昇してしまうので、AIに固定の月額料金を課す企業に潜在的なリスクをもたらしてしまう可能性がある訳です。記事によると、月額10ドルで提供されているプログラミング補助AIのGitHub Copilotは、ユーザー1人当たり平均月20ドル以上の損失を出していると報じられています。(注:この記事リリース後にMS社より経常収益が 1 億ドルを超えるとの発表あり)Microsoft O365やGoogleのAI機能も現状は月額固定の30ドルとなっており、この金額は高額な追加料金を課すことで技術の運用コストを十分に賄えると考えているからなのですが、一方で高騰する運用コストを抑える方策も探しており、MS社は簡単なクエリに対してはOpenAIほど強力ではないが安価なAIツール、メタのオープンソースAIの利用し、またMSの独自開発チップの利用も開始するようです。
GTP4でメールを要約させるのは「ランボルギーニにピザを配達してもらうようなもの」とも言われるそうなのですが、今後、AIのコスト面での最適化が注目されるのかもしれません。
アマゾン、プロジェクト・カイパーにて初の衛星を打ち上げ
アマゾンが衛星インターネットサービスのため、二機の低軌道衛星を打ち上げ
Blue Originではなく、ULA社のロケットを利用
ULAのロケットは、今回の二機の衛星打ち上げは明らかにオーバースペック
アマゾンが、地球全域にインターネット通信を提供すべくプロジェクト・カイパーを始動し、初の2つの衛星を地球軌道に送りました。このプロジェクト・カイパーの目標は、最終的には3,326基の衛星を地球の低軌道に投入し、イーロン・マスク氏のSpaceXスターリンクと同様に、広範なブロードバンドインターネットサービスを提供することです。このプロジェクトは長い間遅れていました。アマゾンは当初、別のロケット(ジェフ・ベソスがオーナーのBlue Origin社)でこれらの衛星を打ち上げる予定だったのですが、最終的にロッキード・マーティン社とボーイング社の合弁事業であるユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のアトラスVロケットを選定しました。連邦通信委員会のライセンスに基づき、アマゾンは2026年までにコンステレーションの半分を打ち上げる必要があります。今回の2基の比較的小型の試験衛星は、それぞれ1,300から1,550ポンド(600から700キログラム)の重さがあるそうなのですが、アトラスVロケットは最大44,000ポンドの貨物を地球低軌道に打ち上げる能力を持っていることから、「スーツケースをいくつか運ぶのにトラクター・トレーラーを使うようなもの。しかし、他に選択肢がなかったのでしょう」と専門家は語っています。
何はともあれ、スターリンクに競合が現れたのは良いことかもしれませんね。
連邦通信委員会がスペースデブリ(宇宙ゴミ)に対する初の罰金を命じる、それが意味することは?
FCCが宇宙ゴミに対する初めての罰金を科した
罰金を受けたディッシュは株価が下がり、企業価値が約1億ドル減少
日本のアストロスケール社などが参画するスペースディブリ除去サービスが活性化するか・・
連邦通信委員会(FCC)は、宇宙ゴミ問題に初めて罰金を科しました。FCCは米国のテレビプロバイダーであるディッシュに対し、1機の衛星を安全な軌道に移動させなかったことを理由に、15万ドルの罰金を科しました。この罰金は額面では少額でしたが、発表後にディッシュの株価は4%近く下落し、企業評価額を約1億ドル押し下げる結果となりました。
このFCCの罰金は、宇宙ゴミ問題への市場活性化に一石を投じる可能性があります。また、この15万ドルの罰金は、日本のアストロスケールやスイスのクリアスペースなどの企業のスペースデブリ除去サービスの価格を実質的に設定する基準にもなるでしょう。
現在、地球周回軌道上には8,000基以上の稼働中の衛星、約2,000基の停止した衛星、そして数百機のロケットが存在しており、これらの物体を管理し、衝突を防ぐのは大変な作業です。そして、SpaceXやアマゾンなどの企業が数百、数千と衛星を打ち上げるにつれ、その作業はますます困難になっています。FCCは現在、地球低軌道(地表上空2,000キロメートル未満)にある人工衛星について、任務終了後5年以内に撤去するという規則を設けており、この宇宙ごみ除去市場は今後さらに活発化すると思われます。
欧州委員、イスラエル・ハマス戦争の偽情報の拡散をX、Metaに求める
欧州委員がイスラエル・ハマス戦争に関連する嘘情報の拡散防止をMeta、Xに求める
2021年に施行されたデジタルサービス法は、SNS各社に有害コンテンツへの規制を求めている
遵守しない企業は年間収益の6%に相当する罰金を課されるため、この戦争がSNS社にとり試練にも
欧州委員のティエリー・ブルトン氏が、SNS関係者に向けて、イスラエル・ハマス戦争に関連する偽情報の拡散を防ぐための迅速な対策を呼びかけました。
ブルトン氏は、一部のプラットフォームがこの違法コンテンツの急増の原因であると指摘し、ソーシャルメディア企業に対して、この問題に対処するための措置を講じるように要求しています。Metaに対しては、ディープフェイク(偽物の動画や画像)の拡散を防ぐために採用した対策について、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏に報告するよう要求しました。さらに、イーロン・マスク氏には、X(旧Twitter)が違法なコンテンツを拡散していると警告し、迅速な対策を取るように呼びかけています。
イスラエル・ハマス戦争は、SNS各社にとり、2021年初めに発効したEUのデジタルサービス法に関連した初の大きな試練と見なされています。MetaやXなどのソーシャルメディア企業は、コンテンツモデレーターを増員し、有害なコンテンツの拡散を減少させるためのリスク軽減手段を準備する必要があります。法令に遵守しない企業は年間収益の6%に相当する罰金を課される可能性があり、また、違反が繰り返された場合にはブロックされる可能性もあるため、SNS各社はその対応を加速しています。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
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5分程度なので、聞いてみてください。