Weekly Newsletter #153
高級スーパーの日本食レシピはAIが開発?/AWSがクラウド料金の透明性を高める団体に加入/米国、NVIDIA の中国への先進 AI チップ販売を禁止/シリコンバレーに投資状況、AI一色だが楽観視は出来ない?
少しずつ秋が深まるベイエリアですが、今週は数日暑い日があり、32℃を超える日がありました。体調管理が難しいですが、しっかり栄養とって乗り切りたいです。そういえば、日本スーパーで松茸がで始めました。こちらの松茸は日本ほど高くないので(だいぶ安い印象)、今日は松茸ご飯にしようかと、いま思っていますw
高級スーパーの日本食レシピはAIが開発?
ウェイトローズはAIとソーシャルメディアデータを活用して日本食メニューを開発中
伝統的な市場調査に代わる迅速なアプローチとしてAIを使用
SooggiというAIアプリが夕食の選択を支援するが、AI使用には注意が必要
英国の高級スーパーマーケット、ウェイトローズは、オンライン料理やソーシャルメディアのデータを活用して日本食のメニューを開発しています。この情報収集の手法は、AIプラットフォームであるTastewiseが提供するデータを利用しており、従来の市場調査会社に代わる新たなアプローチのようです。通常、新メニュー開発には1年以上かかり、また成功するプロジェクトも稀でした。そして、最近ではSNS上で急速に広まる食品トレンドに追随する必要もあり、これまでのアプローチでは限界が生じていました。AIを導入した新たなアプローチでは、SNS上の何十億ものデータポイントを活用でき、また人々は好きな食べ物の写真を頻繁に投稿する傾向があるので、食品トレンドの追跡に役立っているようです。ウェイトローズの最新プロジェクトであるSooggiは、AIベースのアプリで、消費者が夕食に何を食べるかに関する決定を支援するそうです。
ただし、AIの使用には依然と注意が必要です。と言うのも、ニュージーランドのスーパーマーケットPak'nSaveで、AIが致死性の塩素ガスや「毒入りパンのサンドイッチ」のレシピを提供した例があり、AIの活用は、まだ人間の判断や監視が不可欠なようです。
AWSがクラウド料金の透明性を高める団体に加入
AWSがFinOps Foundationに参加。
FinOps Foundationはクラウドコスト管理の標準化を目指す。
FinOpsは財務とDevOpsを組み合わせ、クラウド投資から最大の価値を引き出す
AWSが、企業のクラウドコスト管理に焦点を当てた非営利業界団体であるFinOps Foundationに参加を表明しました。これにより、AWSは最後の大手クラウドプロバイダーとしてグループに参加することになります。(Googleは2021年に加わり、Microsoftも今年2月に続き参加しています。)
FinOps Foundationは、クラウドプロバイダーが顧客とコストデータを共有する方法を標準化しようとしています。複数のクラウドを利用している企業にとり、同じ物差しで各クラウドを比較することが出来るようになるので、この取り組みは重要です。AWSは最大のクラウドプロバイダーでありますが、これまで他のクラウドプロバイダーを助ける可能性のある活動への支援を躊躇してきたため、この発表は注目されています。FinOpsは、「財務」と「DevOps」を組み合わせたもので、ビジネス チームとエンジニアリング チーム間のコミュニケーションとコラボレーションに重点を置いています。これは「クラウド財務管理」の実践と同義であり、組織がクラウド投資から最大限の価値を引き出すことに繋がりますので、この動きには注目です。
米国、NVIDIA の中国への先進 AI チップ販売を禁止
米政府が新たな規則で米企業の中国への半導体販売を制限
以前の規制を強化し、中国への輸出専用チップも禁止
規制の目的は軍事用途へのアクセス制限、Nvidiaの株価は下落
米政府は、NvidiaやIntelなどの米企業が、中国企業に対してAIチップなどの先端半導体を販売することを制限する新たな規則を発表しました。この制限は、以前のチップ関連規則の抜け穴を塞ぐために導入されたもののようです。
以前の規制では、Nvidia H100などのプロセッサーの販売が禁止され、中国企業は少しだけ速度が低いH800やA800などのバージョンを購入していました。しかし、新たな規則により、中国への輸出専用に設計されたA800およびH800チップの販売が禁止されることとなるので、これはIntelやAMDが販売するチップにも影響を及ぼす可能性があります。ジーナ・ライモンド米商務長官は、米国の規制の目的は、特に軍事用途でのAIの発展を促進する可能性がある先端半導体への中国のアクセスを制限することであると述べ、中国の経済成長を損なう意図はないと強調しています。
Nvidiaは、前四半期に中国での売上が全体の20~25%を占めており、この規制により株価が4.7%下落しました。
シリコンバレーに投資状況、AI一色だが楽観視は出来ない?
シリコンバレーでAIスタートアップへの投資が急増、第3四半期に179億ドルに
スタートアップ全体の取引額は減少し、金利上昇やパンデミックの影響が続いている
AI分野は堅調だが、主要プレイヤーによる大規模取引が隆盛を牽引
シリコンバレーにおいてAIスタートアップへの巨額投資が急速に一般的となり、資金調達額は他テクノロジー分野を凌駕し、第3四半期には179億ドル(前年比27%増加)に達しました。
一方で、スタートアップ全体の取引額は前年比31%減少し、全世界で730億ドルに留まっています。金利上昇とパンデミック後の不況がベンチャーキャピタルの資金調達に影響を与えており、故にAI分野が唯一の明るい光となっている状況です。実際、OpenAIなどの企業が注目を浴びる一方で、ITハードウェア、ヘルスケアサービス、消費財など、多くのテクノロジー分野が前年同期と比較して成績を下げています。
しかし、AI分野のスタートアップでさえ、他の多くのスタートアップが直面するプレッシャーから完全に免れているわけでは無いようです。と言うのも、業界の資金調達総額は2年前のパンデミック・テックブームのピーク時と比較してまだ増加余地があるのですが、実は、それは主にAnthropicやOpenAIなどの優れた企業との大規模な取引によって支えられおり、主要プレイヤーが資金の多くを食べてしまっているような状況です。シリコンバレーの投資状況に、引き続き注目です。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
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5分程度なので、聞いてみてください。