Weekly Newsletter #155
バイデン政権、AIソフトウェア開発への新たな規制を発令/スターリンク、損益分岐点のキャッシュフローを達成/AWS、新しいGPU消費モデルサービス「Capacity Blocks」を発表/Google、2021年にAppleなどとの検索契約に263億ドルを支払う
今週はハロウィンでした。娘の学校近くの数ブロックの住人の方々が、毎年、とても凝ったハロウィンを企画してくれまして(ガイコツ姿でドラムを演奏してくれたり、お化け屋敷を作ってくれたり、綿アメをその場で作ってくれたり)、非常に賑わっていました。
ちなみに、家族三人分のジャックランタンは、前日の夜に作りましたw
バイデン政権、AIソフトウェア開発への新たな規制を発令
バイデン政権、AIソフトウェア規制強化、詳細情報提供を義務化し悪用を防止
大規模AIクラスター対象、AIの透明性向上と危害報告精査も盛り込む
この規制の将来の存続は不透明
バイデン政権は、OpenAIやGoogleなどの企業が開発する最先端のAIソフトウェアを一般公開する前に精査する権限を連邦政府に与える大統領令を発令しました。この規制により、AI開発企業は開発に関する詳細情報を連邦当局に提供する義務が課せられる事になります。規制の主な目的は、AIを悪用した生物兵器や核兵器の開発、ソフトウェアの脆弱性の発見などの悪用を防ぐものであり、これにより、国家の安全保障を強化し、且つ、技術の進化を監視するためのものです。現時点では、1秒あたり10~20の浮動小数点演算を行う大規模クラスターが今回の規制対象であり、このようなクラスターを構築するには数千万ドルの費用がかかるため、それを持つ企業やクラウドプロバイダーは限られるでしょう。またこの規制では、AI生成コンテンツに「透かし」やラベルを付ける方法を開発するよう課しています。これにより、AIが生成したコンテンツがどのように作成されたものであるかを追跡しやすくなり、情報の透明性が向上します。また、AIが関与した危害や安全でない医療行為に関する報告を精査する仕組みの整備も要請されました。
AI規制への枠組みが徐々に明らかになってきました。引き続き注目です。
スターリンク、損益分岐点のキャッシュフローを達成
Starlinkが損益分岐点を達成
約5,000の衛星で競争力を維持
SpaceXは1,500億ドルの評価額で成長し、国際紛争でも重要な役割を果たしている
SpaceXのStarlinkインターネットサービスは損益分岐点のキャッシュフローを達成(事業運営に必要な最低限の売上高を達成)したとイーロン・マスクが発表しました。スターリンク衛星群には現在約 5,000 基の衛星があり、これらは全てSpaceX ロケットによって打ち上げられます。この垂直統合モデルにより、競合他社をはるかに上回るペースでの成長を実現しています。現在、スターリンク・ネットワークは約 200 万人の加入者に成長し、消費者から海運、航空に至るまでの分野に広がっています。
このニュースはスターリンクのみならず、衛星打ち上げを担うSpaceXにとっても非常に重要なマイルストーンとなりました。SpaceXは評価額1,500億ドルのロケットスタートアップ企業であり、これまでNASAなどの顧客との打ち上げ契約からの収益に依存してきました。同社はロケットや人工衛星の製造に関連する費用を除いた収益が80億ドル、利息・税金・減価償却前利益が30億ドルになると見込んでいます。
ウクライナ戦争や最近ではイスラエルとハマスの戦争など、国際紛争におけるスターリンクの役割がニュースになりますが、イーロンマスクの影響力は相当なものですね。
AWS、新しいGPU消費モデルサービス「Capacity Blocks」を発表
AWSはGPU不足に対処し、開発者向けにNvidia GPUの新サービス「Capacity Blocks」を発表
最大512個のNvidia H100チップを最大2週間予約可能
GPUレンタル分野のスタートアップにとり脅威となる可能性も
Amazon Web Services(AWS)は、開発者にNvidiaのGPUにアクセスできる新しい消費モデルサービス「Capacity Blocks」を導入しました。この新サービスは、現在のGPU不足に対処し、特にリソースの需要が変動する顧客に向けて開発されています。
現在のGPU不足により、特にGPUの需要が変動する顧客は、必要なときにリソースにアクセスすることが難しい状況にあります。多くの顧客は長期利用を想定してGPUを大量に購入しているのですが、使用していないときはアイドル状態にしており、コストの無駄が生じています。「Capacity Blocks」と呼ばれるこの新しいサービスは、企業が長期的な資本契約を結ぶことなく、GPUを予測して取得できる方法を提供します。このサービスにより、顧客は最大512個のNvidia H100チップを最大2週間予約できます。このモデルは、1970年代にメインフレームがタイムシェアコンピュータとして運用され、複数のユーザーを同時にサポートするアプローチを借用しているそうです。これにより、リソースの効率的な利用が可能となり、コスト削減が実現されます。
このGPUレンタル分野では、12社近くのスタートアップが急速に成長していますが、今回のAWSのサービスは、彼らにとり潜在的な脅威となるでしょう。
Google、2021年にAppleなどとの検索契約に263億ドルを支払う
Googleは2021年にApple、Samsung、Mozillaなどに263億ドル支払い、デフォルト検索エンジンをGoogleにしたことが独禁法裁判で判明
Googleは巨額の収益を上げ、Appleが主要受益者
司法省は競争力減少を主張し、テクノロジー業界に影響が注目されている
Googleは2021年にApple、Samsung、Mozilla(Firefoxの所有者)などの企業に、デバイスやブラウザのデフォルト検索エンジンをGoogleとしてもらうために263億ドルを支払ったことが、Googleへの独禁禁止法の裁判にて判明しました。
この巨額の支払いについて、Googleの親会社であるAlphabetは、Google検索の広告ビジネスが過去3か月で約440億ドル、昨年では約1,650億ドルの収益を上げたことも明らかになりました。この収益はGoogleの検索収益の約16パーセントと利益の約29パーセントに相当します。Appleがこの巨額の支払いのほとんどを受け取っているようであり、ニューヨーク・タイムズはGoogleとの契約により、Google製品全体でSafariのデフォルトの検索エンジンにするために2021年に約180億ドルの費用がかかったと報じています。司法省は、これらの巨額の支払いによって検索エンジンのデフォルト設定を確保することが実際には市場の競争力を減少させる手段であると主張しています。
この独禁法裁判は、テクノロジー業界と競争政策に関する重要な問題を浮き彫りにしており、Googleの支配的な地位と競争環境についての議論が続いています。今後の判決や法的手続きが業界にどのような影響を与えるかについて、多くの注目が寄せられています。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
ポッドキャスト、リニューアルしました。
今週の「今回は取り上げなかったけど面白かったニュース↑」を紹介しています。
5分程度なので、聞いてみてください。