Weekly Newsletter #159
ブラックフライデー、過去最高の98億ドルの消費/OpenAI、組織の変革と新たなガバナンス体制の発表/Nvidia、GPU販売に関してEUと中国の規制当局から調査を受ける/サウジのファンドが米国のAIチップスタートアップの株式を売却
感謝祭も終わり、米国は一気にクリスマスな雰囲気が加速しています。このシーズンになると、街角で、生の樅木のツリーを売るサイトが開かれるのですが、今年も家族でそこに行き、今年のツリーを皆で選びました。ツリーの購入からデコレーションまで、1つのイベントのようであり、なかなか楽しいですよw
ブラックフライデー、過去最高の98億ドルの消費
米国のブラックフライデーでのオンライン消費ふ過去最高の98億ドルで、前年比7.5%増
モバイルショッピングとソーシャルメディア広告が成長を牽引
「Buy now, pay later」利用者の売上は47%増加
Adobe Analyticsによると、米国の小売ウェブサイトから得られたデータによれば、今年のブラックフライデーにおいて米国のオンライン買い物客は過去最高の98億ドルを消費し、前年比で7.5%増加したことが明らかになりました。
この数字は、過去18カ月でイーコマースの成長率が鈍化していた中で、特に注目すべきものとなりました。パンデミック中にイーコマースは記録的な成長率を達成しましたが、その成長が鈍化していたことから、小売業界は今年のブラックフライデーの売り上げに大きな期待を寄せていました。
ブラックフライデーのオンライン売上高のうち53億ドルがモバイルショッピングによるものであり、衝動的な購買が成長に寄与した模様です。同様にインフルエンサーやソーシャルメディア広告により、消費者がモバイルデバイスを通じて快適に買い物をすることが容易になり、それが成長に寄与したことも指摘されています。また、柔軟な支払い方法の一環として、「Buy now, pay later(今すぐ購入、後で支払う)」を選択した消費者による売上は7,900万ドルとなり、昨年比で47%増加しました。
OpenAI、組織の変革と新たなガバナンス体制の発表
OpenAI、マイクロソフトが議決権のないオブザーバーとして取締役会に加わると発表
ミラ・ムラティ氏が再びCTOに、グレッグ・ブロックマン氏が社長に復帰
マイクロソフトの加入はガバナンス変更を示唆も、支配を否定
サム・アルトマン氏がCEOに復帰することとなったOpenAIは、マイクロソフト社が議決権のないオブザーバーとして取締役会に加わると発表しました。また、暫定CEO代行も務めたミラ・ムラティ氏は再びCTOに就任し、アルトマン氏の解任に抗議して辞任していた共同創設者のグレッグ・ブロックマン氏も社長に復帰することが発表されています。
OpenAIは、株主から取締役会メンバーを追加する可能性は低いと見られていました。と言うのも、営利法人を管理する非営利団体の使命と矛盾する可能性があるためです。(OpenAIは、非営利法人のOpenAI, Inc.が営利法人OpenAI Global, LLCを管理する体制を敷いている)しかし一方で、非営利理事会が最大の投資家に相談せずに同社のCEOを解任できる構造をとっているとして批判されていました。
マイクロソフトが議決権のないオブザーバーとして取締役会に加わることは、組織のガバナンスに変更が計画されている可能性を示唆しているのでしょう。マイクロソフトは「マイクロソフトが OpenAI を支配する未来は考えられません」との立場を強調していますが、今後の動きに注目です。
Nvidia、GPU販売に関してEUと中国の規制当局から調査を受ける
NVIDIAがEU、中国、フランスからのAIチップに関する規制当局の情報要請に応じる
AIチップの需要急増と供給課題が焦点
市場80%のシェアを持つ一方で、クラウドプロバイダーへの供給遅延に対処できず、国際的な調査が進行中
欧州連合、中国、およびフランスの規制当局がNVIDIAのグラフィックカードに関する情報提供を求めていることが、同社からの提出文書で判明しました。
NVIDIAは、世界最大のAIチップメーカーであり、昨年末にリリースされたChatGPTの影響で同社のチップの需要は急増しています。同社のAIチップは約80%の市場シェアを誇り、寡占状態とも言えるのですが、Google、Microsoft、AWS などのクラウド プロバイダーの顧客は、GPU サーバーのレンタルに数か月掛かることもあるようです。NVIDIAは、自社の投資先を含む小規模なGPUレンタル企業にチップを供給するなどで改善を図っていますが、解決には至っていません。このような状況から、EUと中国の規制当局が「GPUの販売とその配当」に関する情報要求に至ったようです。つまり「我が国へのAIチップ供給をどう頑張ってくれているのか、まさか恣意的に遅らせていないよね」と調査を行っている模様です。
各国も巻き込む、AI時代における同社の影響力は絶大ですね。
サウジのファンドが米国のAIチップスタートアップの株式を売却
サウジアラムコのプロスペリティ7が、バイデン政権の圧力でRain AIの株式を売却
エネルギー効率向上を目指すRain AIは、中東でのAI技術投資で期待されていた
この売却が中東からの米国テクノロジー投資に影響を与える可能性も
石油大手サウジアラムコのベンチャー部門であるプロスペリティ7が、バイデン政権の圧力を受けて、人間の脳をモデルにしたAIチップを開発するサンフランシスコのスタートアップ、Rain AIの株式を売却しました。
Rain AIは、OpenAIの共同創設者アルトマン氏やスタートアップアクセラレーターY Combinatorなどから支援を受けており、アジアやヨーロッパのスタートアップと協力し、より安価でエネルギー効率の高いAIチップの設計を目指しています。AIチップの市場は、現在Nvidiaによって独占されているが、Rain AIとその支援者は競争を促進しようとしています。
中国政府は米国や欧州との緊張が高まる中、中東との経済的な結びつきを強化(中国とサウジアラビアは11月に約70億ドル相当の現地通貨スワップ協定に署名し、経済的な連携を強調している)していたことからも、今回のRain AIの株式売却は重要な出来事です。この売却が、中東地域でのAI技術投資の新展開のきっかけとなる可能性もあり、引き続き、注目です。
今回は取り上げなかったけど面白かったニュース
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5分程度なので、聞いてみてください。