Weekly Newsletter #165
イーロン・マスクのニューラリンクが人類初の脳チップを移植/新技術でSNS動画にリアルな商品を挿入:広告の未来を変える/カリフォルニア州で自動運転車の走行距離が5倍に増加、安全性への懸念も/シリコンバレーのVC大手ライトスピード、10億ドル規模のスタートアップ株式売却へ
ベイエリアは今週も雨降りが続いています。南カルフォルニア(ベイエリアから車で4時間くらい)で土曜日夜に予定されていたSpaceXのロケット打ち上げを見に行こうと計画していたのですが、悪天候のため延期になってしまいました。2月中には打ち上げるようなので、見れたら、諸々の打ち上げ状況などを、ここでお伝えいたします!
イーロン・マスクのニューラリンクが人類初の脳チップを移植
イーロン・マスク率いるニューラリンク社がBCI技術を用いて初めて脳チップを移植し
ロボットでBCIインプラントを脳に配置し、コンピュータ制御の新たな可能性を探る
四肢麻痺やALS患者が思考で外部デバイスを制御する可能性が広がる
イーロン・マスク率いるニューラリンク社(ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)を開発)が人類初の脳チップを移植を実施し、その成果をXにて公表しました。
この研究では、ロボットを使用して脳の領域にBCIインプラントを外科的に配置し、人々が「コンピュータのカーソルやキーボードを自分の思考だけで制御できるようにする」ことを目標としています。イーロン・マスクは、この技術の初期結果が「ニューロンスパイク検出に有望な結果を示している」と月曜日にXへの投稿で述べています。(スパイクは、ニューロンによる活動を指し、電気信号や化学信号を使用して脳の周囲や身体に情報を送信する細胞として説明されている)
この手術は、「麻痺のある人が思考で外部デバイスを制御できるようにする」ことを目的としたニューラリンク技術の人体試験の始まりであり、特に、四肢麻痺になった人々や筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患っている人々が、この試験の対象となります。このテクノロジーで、身体の機能障害を持つ人々に新たな可能性を提供できるのであれば、素晴らしいですね。
新技術でSNS動画にリアルな商品を挿入:広告の未来を変える
YouTubeやTikTokの動画内に、本物のような商品を挿入する新技術が注目
Rembrand社の技術により、制作コスト削減と迅速な導入で効果的な広告が可能
米国のプロダクトプレイスメント市場230億ドル、SNS広告に大きな変革が期待
YouTubeやTikTokなどの動画内のテーブルや壁に、まるで本物のように見えるソーダ缶やシャンプーなどの商品を簡単に挿入できる新技術が注目を集めています。この技術は、クリエイターや広告主にとって新たな収益源となる可能性を秘めています。
冒頭の動画はダンサーのメリッサさんのTikTok動画なのですが、彼女の動画内にはペプシコ社の炭酸水ブランド「Bubly」の赤いポスターがアパートの壁に貼られています。これは、Rembrand社(カリフォルニア州パロアルトに拠点を置く従業員42名のスタートアップ企業)の技術によって実現したものなのですが、従来の広告と比較すると、制作コストの削減と迅速な導入により、従来型の大規模プロジェクトに比べて効果的な商品挿入が可能であり、また、広告をスキップまたは無視する傾向がある若い視聴者へのリーチも向上すると、大きな期待を集めています。
調査会社PQ Mediaによると、米国におけるプロダクトプレイスメント市場は230億ドル近くと推定されています。この技術が、ソーシャルメディア動画広告の未来を変えそうですね。
カリフォルニア州で自動運転車の走行距離が5倍に増加、安全性への懸念も
昨年、カリフォルニア州で完全自動運転車の走行距離が5倍以上に増加し、約330万マイル
主要企業はクルーズ(63%)とウェイモ(36%)
現在38社がセーフティドライバー付き車、6社が無人運転車をテスト
金曜日に発表された車両試験に関する州データによると、カリフォルニア州で昨年走行した完全自動運転車の走行距離は前年の5倍以上に増加し、約330万マイルに達しました。一方で、クルーズ・ロボタクシー事故を受けての、安全性への懸念も高まっています。
州当局によると、走行距離の大半はゼネラル・モーターズのクルーズ(63%)とアルファベットのウェイモ(36%)が占めています。しかし、昨年10月、クルーズの自動運転車が歩行者を20フィートも引きずってしまう事故が発生し、カリフォルニア州は同社への許可を停止しました。現在、クルーズは司法省による捜査に直面しています。自動運転技術の支持者たちは、飲酒運転やメール送信、居眠りなどがない自動運転の方が安全であると主張しますが、一方で住民や市当局はロボタクシーによる交通妨害や安全性への懸念を指摘しています。
現在、カリフォルニア州では38社がセーフティドライバー付き自動運転車のテスト許可を取得しており、6社(ウェイモ、アマゾンのズーックス部門、中国の検索大手百度のアポロ、新興企業のニューロ、ウィーライド、オートX)が無人運転テスト許可を取得しています。2024年が勝負の年なのかもですね。
シリコンバレーのVC大手ライトスピード、10億ドル規模のスタートアップ株式売却へ
ライトスピード・ベンチャー・パートナーズが10億ドルのスタートアップ株式を売却
IPO低調と利益還元の課題に対応し、既存投資家に現金化機会を提供
VC業界全体に影響が広がる可能性も
シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル会社であるライトスピード ベンチャー パートナーズが、10億ドル規模のスタートアップ株式売却計画を発表しました。この戦略は、2年間にわたる新規株式公開(IPO)の低迷を受け、VC企業が投資家への利益還元に苦慮している状況を反映しています。企業の売上高や上場が減少する中、VC企業は投資家への利益還元のために新たな方法を模索する必要に迫られており、今回の株式売買は、投資家への利益還元と、投資期間延長のための資金確保を目的としたものと言えるでしょう。
ライトスピードは、リミテッドパートナー(LP)と呼ばれる投資家に対して株式を売却し、LPは株式を売却して現金化するか、ライトスピードの継続ファンドに売却して投資期間を延長するかを選択できるとのことです。これにより、ライトスピードは「既存投資家への現金化機会の提供」「新規投資家の獲得」「長期的な投資戦略の実行」といったメリットを得ることができるとの事です。
ライトスピードの今回の動きは、他のVC企業やシリコンバレー・コミュニティーにも影響を与える可能性がありそうです。