Weekly Newsletter #169
ヒューマノイドロボット開発企業Figure、シリーズBで6億7500万ドル調達/イーロン・マスク氏、OpenAIとサム・アルトマン氏を提訴/財務専門家向けAIチャットボット「Copilot for Finance」発表/Nvidia、AI需要の高まりを受け時価総額2兆ドル突破
今週の米エリアは暖かくなったり寒くなったりと、寒暖差が激しかったです。雨季がもう少しで終わりそうな気配なのですが、それでもまだ雨降りの日が多く、時よりすっきりと晴れると、それだけで嬉しくなってしまいます。実はその日に娘とプール入りました、ちょっと未だ寒かったですw
ヒューマノイドロボット開発企業Figure、シリーズBで6億7500万ドル調達
AIロボティクス企業FigureがシリーズBで6億7500万ドルを調達
評価額は26億ドルに達し、Microsoft、OpenAI、Nvidiaらが出資
今後は自動車製造での活用など、ロボットの商業展開加速に期待
AIロボティクス企業Figureは3月1日、シリーズB資金調達で6億7500万ドルを調達したと発表しました。今回の調達ラウンドは、MicrosoftとOpenAIが主導し、Nvidia、Amazon Industrial Innovation Fund、Jeff Bezos、Intel Capitalなどが参加しており、Figureの評価額は26億ドルとなりました。
2022年にカリフォルニア州サニーベールに設立された同社は、人間のような動作ができるヒューマノイドロボットを開発しています。同社は、自社のロボットが箱をベルトコンベア上に移動させるような現実世界の作業を完了できると発表しており、今回の投資により、ロボットの商業展開がさらに加速すると述べています。実際、自動車製造に同社のロボットを使用する契約をBMWと締結したと発表しています。(冒頭のYoutubeを見るとイメージ付くかと思います。)
調査会社ピッチブックによると、昨年は生成AI企業に290億ドル以上が投資されました。 Figure のロボットは、AIモデルにとり貴重な実生活のトレーニング データを提供することも出来るはずですので、OpenAIとしても、ここに期待するところはあるのでしょう。いずれにしても注目ですね。
イーロン・マスク氏、OpenAIとサム・アルトマン氏を提訴
マスク氏がOpenAIが人類よりも利益を優先したとしてOpenAI CEOを訴える
OpenAIに対し、研究と技術の公開と、利益の放棄を求める
訴訟の結果、OpenAIの運営や方向性、そしてAI開発の未来がどうなるのか注目
イーロン・マスク氏がOpenAIとサム・アルトマンCEOを、AIスタートアップ設立当初の使命「全人類に利益をもたらすAGI(汎用人工知能)を作り出す」に違反したとして提訴しました。マスク氏は、OpenAIが人類の利益よりも利益を優先し、Microsoftとの密接な関係によってオープンソースAIの公開という当初の目標から逸脱していると主張しています。
マスク氏は、アルトマン氏がCEOを解任された後、OpenAIの経営陣を再編成しようとしていたようです。訴訟では、アルトマン氏がマイクロソフトと共謀して、OpenAIの本来の使命を果たすことに重きを置いていた取締役会の過半数を解任したと主張しています。マスク氏は訴訟の中で、OpenAIに対し、研究と技術を全て公開すること、違法行為によって得た利益をアルトマン氏が放棄すること、の2点を要求しています。
専門家は、マスク氏の主張は法的に証明するのが難しいくなるであろうと指摘していますが、訴訟の結果、OpenAIの運営や方向性にどのような影響が出るのか、そしてマスク氏とOpenAI/Microsoftの対立がAI開発の未来にどのような影響を与えるのか、今後の注目されます。
財務専門家向けAIチャットボット「Copilot for Finance」発表
MicrosoftがExcelデータの分析ツール「Copilot for Finance」を発表
簡単な指示で、売上高の予測との差異、などの分析結果が可能に
OpenAIと競合するMistralとも提携を発表、同社のビジネス巧者ぶりが目立つ
MicrosoftがOpenAIの技術を搭載した最新製品、財務専門家向けのAIチャットボットソフトウェア「Copilot for Finance」を発表しました。
この製品は、Excelスプレッドシートを分析し、ユーザーが短い指示を書き込むだけで、売上高の予測との差異、売上高が前年比でどの程度成長したか、特定の製品カテゴリーが売上高に与えた影響、顧客地域別の売上高の比較、などの企業の財務専門家が見たい内容を可視化することができるとのことです。製品の提供時期と料金はまだ発表されていませんが、金融サービス向けのMicrosoft 365 Copilot(OfficeアプリやOutlookメール内で自動的にメールの下書きや文書の要約を行う機能を提供している:月額30ドル)に組み込まれるものと予想されています。
MicrosoftのOpenAIをベースとしたAI戦略は市場を先行していますが、一方で、同社は今週、OpenAIと競合するフランスのMistral(オープンソースの大規模言語モデル開発会社)との契約締結も発表しています。この提携は、MicrosoftとOpenAIの関係性に注目する規制当局の目を逸らすことにも繋がりますので、Microsoftのビジネス巧者ぶりが際立ちます。
Nvidia、AI需要の高まりを受け時価総額2兆ドル突破
Nvidiaが時価総額2兆ドルを一時的に達成
米国企業としては4番目の偉業
同社はAI市場の成長と新たな市場への進出により、今後も成長が期待
米半導体大手Nvidiaの時価総額が一時的に2兆ドルを突破し、Microsoft、Apple、Alphabet(Google)に次いで4社目の米国企業としてこの偉業を達成しました。同社は1999年1月に上場し、1兆ドルに到達するまでに24年以上かかりましたが、1兆ドルから2兆ドルまでは僅か270日という驚異的な速度でした。これは、人工知能(AI)への需要が急増する中、エヌビディアの株価が昨年3倍以上に上昇した中で実現されています。同社のGPUは、AI開発やデータセンター、ゲーミングなど、幅広い分野で活用されています。
Nvidiaは、AI市場の成長とともに今後も更なる成長が期待されています。同社は、メタバースや自動運転など、新たな市場への進出も積極的に進めており、今後も世界経済を牽引する存在となるでしょう。世界で唯一、2兆ドルを超えて取引を終えたことがある企業は、サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコだけなのですが、2社目になってもおかしくないですね。