Weekly Newsletter #172
NVIDIA、AIトレーニング加速のRun.ai買収交渉と次世代AIチップ「Blackwell」を発表/投資顧問会社2社、AI技術の誇張広告でSECから罰金/マイクロソフト、DeepMindの共同設立者ムスタファ・スレイマン氏をAI事業責任者に迎え入れる/司法省と複数の州、Appleを独占禁止法違反で提訴
2週間前に夏時間が始まったこともあり、ベイエリアの日中は段々長くなってきました。7時過ぎでもまだ明るいので、色々なアクティビティが楽しめそうです。また何処かに行きたいなw
NVIDIA、AIトレーニング加速のRun.ai買収交渉と次世代AIチップ「Blackwell」を発表
NvidiaがAIトレーニング加速の仮想化技術を持つRun.aiを買収交渉
次世代AIチップ「Blackwell」も発表、H100より25倍安価・効率
買収と新製品でAIトレーニング市場のリーダーシップ強化
NVIDIAは、AIトレーニングを加速するための新しい仮想化インフラストラクチャを構築したRun.aiというスタートアップを買収する交渉を行っていると報じられています。買収額は数億ドル規模と見られ、場合によっては10億ドルに達する可能性もあるとのことです。Run.aiのAIクラウド用Kubernetesベースのコンテナプラットフォームは、GPUリソースを効率的にプールして共有することで機能し、各ワークロードに必要なコンピューティング量を自動的に割り当てることができます。これにより、開発者はタスクを完了するために必要なAIチップの数を制限できるようになり、AIトレーニングのコストと時間を大幅に削減することができるとのことです。
また、NVIDIAは月曜日、カリフォルニア州サンノゼで開催されたアプリ開発者向けの年次カンファレンスで、次世代AIチップ「Blackwell」を発表しました。Blackwellは、現在入手可能な最も先進的なAIチップであるH100よりも25倍安価かつ効率的に、最先端の大規模言語モデルを処理できるとのことです。
この買収と新製品発表により、NVIDIAはAIトレーニング市場におけるリーダーシップをさらに強化することができるでしょう。
投資顧問会社2社、AI技術の誇張広告でSECから罰金
米SECが、AI技術を悪用して投資家を欺こうとした2つの投資会社に罰金を科す
SECは、投資家はAI技術を謳う製品・サービスについて注意が必要と警告
米証券取引委員会(SEC)は、AI技術の使用に関して虚偽で誤解を招く発言をしたとして、投資会社デルフィア社とグローバル・プレディクションズ社の2社に罰金を科しました。
デルフィア社(トロント)は自社のウェブサイトなどで、AIアルゴリズムによるデータ分析で将来有望な企業やトレンドをいち早く発見して投資しているとうたい、グローバル・プレディクションズ社(サンフランシスコ)はソーシャルメディアで自らを「規制認可されたAIファイナンシャルアドバイザー」と称し、特に税金の損失回収サービスなどを提供していると宣伝していたのですが、SECはこれらの主張はいずれも虚偽または誤解を招くものであり、投資家保護の観点から問題があると判断し罰金を科したものです。デルフィアは民事罰金22万5,000ドルを支払うことに同意し、グローバル・プレディクションズは17万5,000ドルの和解に達したとのことです。
今回の措置は、AI技術を悪用した投資家への欺瞞行為に対するSECの厳しい姿勢を示すものと言えるでしょう。「新しいテクノロジーが登場すると、その新テクノロジーを使っていると嘘をつく人たちを何度も見てきました」とSECは声明で述べていました。とにかくAI使っているから凄いんだ、と喧伝する製品・サービスには注意が必要なのかもですね。
マイクロソフト、DeepMindの共同設立者ムスタファ・スレイマン氏をAI事業責任者に迎え入れる
DeepMind共同設立者、AlphaGo開発者のスレイマン氏がマイクロソフトに加入
Google退職後設立したInflection AIは方向転換、開発者向けAIモデル販売に注力
著書「The Coming Wave」でAI技術の未来を論じるスレイマン氏のMS社での活躍に期待
マイクロソフトは、GoogleのAI研究所DeepMindの共同設立者であるムスタファ・スレイマン氏を消費者向けAI事業の責任者に任命したと発表しました。スレイマン氏が2022年に共同設立したAI企業Inflection社のスタッフの多くも、マイクロソフトに入社する予定とのことです。
スレイマン氏は、プロ棋士に勝利を挙げたことでAIの歴史で大きなマイルストーンとなったAlphaGoを開発した、DeepMindの共同設立者としても有名です。DeepMindはAIで画期的な進歩を遂げた後、2014年にGoogleに買収されています。スレイマン氏はGoogle在籍中に、AIアシスタント「Google Assistant」やAI翻訳サービス「Google Translate」などの開発に貢献しています。同氏は2022年にGoogleを退職し、パーソナルAIの構築を目指す新興企業Inflection AIを共同設立しました。しかし、マイクロソフトのCopilotチャットボットがInflectionの競合企業であるOpenAIのAIを利用していることなどから、事業の方向性を消費者向けAIアプリケーションから、カスタマイズされたAIモデルを開発者に販売することに転換すると発表していました。
スレイマン氏は最近出版した著書「The Coming Wave」の中で、AI技術がもたらす潜在的な危険性と、それらを克服することで実現できる大きな変革について論じていました。彼は、AI技術が創薬やその他の形態のヘルスケア手段として大きく貢献できると主張しています。スレイマン氏が加入したMS社のAI戦略に注目です。
司法省と複数の州、Appleを独占禁止法違反で提訴
米司法省と複数の州がAppleを独占禁止法違反で提訴
App Storeの独占的な地位を悪用し、競争を制限し、消費者に不当な料金を課している疑い
訴訟の影響は不明だが、Appleは独占禁止法違反の疑いを晴らすために対策が必要
米国司法省と複数の州が、AppleがApp Storeの独占的な地位を悪用して競争を制限し、消費者に不当に高い料金を課しているとして、同社を独占禁止法違反で提訴しました。
訴状によると、AppleはApp Storeのガイドラインや開発者契約を通じて、競争を排除し、自社の利益を最大化するために様々な制限(App Store以外のアプリストアのインストールを禁止、アプリ内課金でAppleに30%の手数料を支払うことを義務付け、競合するアプリの機能を制限、など)を設けていると指摘されています。訴訟では、Appleの反競争的な行為がスマートフォン市場だけでなく、金融サービス、フィットネス、ゲーム、ソーシャルメディア、ニュースメディア、エンターテイメントなど、多くの業界に影響を与えており、開発者はAppleに依存せざるを得なくなることでイノベーションが阻害いると主張されています。
また、Appleは欧州連合でも、新しいデジタル市場法への準拠に関して調査を受ける見込みです。欧州委員会は数日以内に調査を発表する準備を進めており、Appleだけでなく、GoogleやMeta Platformsも調査対象となる可能性があります。今回の訴訟がAppleのビジネスにどのような影響を与えるのかはまだ不明ですが、Appleは今後、独占禁止法違反の疑いを晴らすために、様々な対策を講じる必要に迫られることとなるでしょう。
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