Weekly Newsletter #177
アップル、iPhoneのAI機能でOpenAIと協議強化/ エアコンとAIが世界の電力需要を増大/ OpenAIのサム・アルトマン氏ら技術リーダーがAI安全委員会の委員に就任/ 愛犬の大理石の彫刻を1万ドルで作ってくれるStartup
アメリカでは多くの野生動物に出会うことができます。私の住んでいるアパートの近くでは、リス、ガチョウ、カモに出会うことが日本のスズメほど頻繁にあります。また、少し足を延ばせば、象アザラシ、ラッコ、アシカ、バイソンなどにも遭遇することができます。
先日、初めて見ることができた野生の七面鳥には特に興奮しました。これは11月のサンクスギビングデーに食べられるあの鳥です。ガチョウは炊飯器ぐらいの大きさでかなり大きいのですが、七面鳥はそれよりも一回り大きく、電子レンジぐらいの大きさがあります。
この七面鳥は大変美味しく、アメリカ大陸では過去に乱獲されたため、現在では家畜として飼育されている白い羽のものが大多数です。私が見た黒い羽の野生の七面鳥は非常に珍しいと言われています。
アップル、iPhoneのAI機能でOpenAIと協議強化
次期iPhone OSでOpenAI技術導入を検討。
AI強化のためOpenAIと協議、他社とも交渉中。
アップル社は、今年後半にリリース予定のiPhone向けにOpenAIの技術を搭載する可能性について、OpenAIとの協議を再開しました。この協議は非公開で行われ、iOS 18へのOpenAI機能の統合方法が検討されています。また、アップルはGoogleのGeminiチャットボットのライセンスについても話し合いを続けており、AIスタートアップのAnthropicも関与しています。どのパートナーと契約するかはまだ決定されていません。
次期iPhone OSには、アップル自身が開発した大規模言語モデルに基づく新機能が搭載される予定ですが、ChatGPTのようなチャットボット機能を提供するパートナーも求められています。昨年、CEOのティム・クック氏は個人的にOpenAIのChatGPTを使用しており、「解決すべき多くの問題がある」と指摘しました。彼は、新しいAI機能がアップルのプラットフォームに「非常に思慮深く」組み込まれると話しています。AI機能を外部委託することで、アップルのプラットフォームのリスクを管理することができ、アップルがAI機能に対する責任を軽減できる可能性があります。
先日、関連するGoogleとの協議のニュースで、巨大企業2社が提携すれば携帯市場独占により規制当局の目を引くことになるとありました。合わせて注目ですね。
エアコンとAIが世界の電力需要を増大-再生可能エネルギーでは追いつかない
再生可能エネルギー増でも電力需要に追いつかず
AIと電動車の普及で電力消費急増、対応策必要
再生可能エネルギーの世界的な成長にも関わらず、電力需要の増加には追いついていません。アメリカでは電気自動車やヒートポンプ、特にAI技術の普及が電力消費を大きく押し上げています。
AIの電力使用量に関する正確なデータは乏しく、テクノロジーがどのように進化していくかは明らかではありません。しかし、データサイエンティストが2023年に発表した論文では、2027年までに世界中のAIサーバーがフィリピンやスウェーデンのような中規模経済と同程度の電力を使用する可能性があると推定しています。アメリカでは、データセンターによる電力消費が2022年の4%から2026年には6%に増加する見込みです。
インドではこの課題が特に顕著で、電力需要の伸びは年率8%を超え、国内総生産の伸びを上回っています。今世紀に入り数億人のインド人が家電製品を購入しています。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2050年までにインド人のエアコンは現在のアフリカの消費電力を上回る可能性があります。今後6年間で自然エネルギーを3倍以上に増やす計画ですが、その成長は需要に追いついておらず、対応するために石炭発電所の建設が進んでおり、さらに多くの発電所が計画中です。
私が住むエリアの山は木がなく、まさに写真のとおりの風力発電機を見ることができるため、アメリカが再生可能エネルギーに力を入れているのは実感としてありますが、難しい問題ですね。
OpenAIのサム・アルトマン氏ら技術リーダーがAI安全委員会の委員に就任
テクノロジー業界リーダー、AI安全対策の連邦委員会に参加
AIリスク管理のための監視体制強化
テクノロジー業界のリーダーたちは、アメリカの重要インフラにおける人工知能の安全な利用に焦点を当てた新しい連邦諮問委員会に参加しています。この委員会は、国土安全保障省と協力し、経済、公衆衛生、重要産業をAIの脅威から守るための提言を作成します。国土安全保障省長官は、AIを国の水道施設や交通システム、銀行に組み込むことが大きなチャンスだが、重大なリスクも伴うと述べています。
バイデン大統領は昨年秋に、AIの安全を強化するために緊急権限を発動し、この連邦諮問委員会の設立を指示しました。この委員会は、新しい人工知能システムに関する監視と管理の役割を担っています。この委員会は、AI企業が重大なリスクをもたらす可能性のあるシステムを開発する際には、その情報を政府に通知するように規制する責任を持っています。
何十年もの間、米国政府はイノベーションを阻害し、21世紀の米国経済の中心的原動力を減速させるという懸念のため、テクノロジー産業への規制をほとんど避けてました。しかし近年、消費者データのプライバシー、独占禁止法問題、偽情報に対する懸念が相次いだため、シリコンバレーに対する見方は悪化しています。
理事会は5月に初会合を開く予定で、四半期ごとに開催される予定です。
それにしても、サム・アルトマン氏色々なところに名前が出てきますね。寝ているのか心配になってしまいます。
愛犬の大理石の彫刻を1万ドルで作ってくれるStartup
Stripe会議でMonumental Labsの彫刻が注目。
ロボット技術使用、彫刻制作コスト削減。
サンフランシスコで開催されたStripe社(オンライン決済サービス会社)の年次会議で、Monumental Labs社によって製作された180cmの大理石製彫刻が展示され、大きな注目を集めました。この彫刻はStripe社のクレジットカードを持つ裸体像であり、Monumental Labs社の最初の法人顧客として注文された作品です。彫刻の制作にはロボット技術が活用されており、細かい道具の動きをすべてプログラムすることで手作業に比べて大幅な時間削減と労力の軽減が可能となっています。同社は最終的には作業の自動化を目指しています。
この彫刻の成功を受けて、同社には多くの新たな問い合わせが寄せられました。等身大制作のコストは3万ドルからで、手作業で同様の作品を作る場合は2年から4年かかり、最低でも20万ドルから数百万ドルの費用がかかると見積もられています。また、Monumental LabsはOpenAI所属のアーティストから依頼されAIが生成した画像を基にした彫刻を制作したこともあります。
これまでに、自身の胸像を注文した顧客はいないとMonmental Labs社は述べています。
Stripe社は多くの資金を集めて今非常に勢いのあるStartupです。その会社が全く業種の関係のない彫刻Startupを展示することによって、SNSで話題になり広がっていくというのは、いかにもシリコンバレーという感じでワクワクしますね。
今回は取り上げなかったけれど面白かったニュースと上記関連ニュース