Weekly Newsletter #183
AIを毎日(または ほぼ毎日)使っているアメリカ人の若者はわずか4% / 人々はAIが作成した記事よりも(人間の)記者が作成した記事を好む / Data BricksがTabularを10億ドルから20億ドルで買収か?
今週もとあるミートアップに参加してきました。今回はウイスキーを飲みながらセキュリティを語る、というのがテーマです。そのため役職としてはCISO (Chief Information Security Officer)、セキュリティリーダー、コンサルタントといった方が多かったです。
ウイスキーといえば、最近は日本のウイスキーが米国でも大変人気で、とくに山崎はこちらでも高級品です。日本から来たことを伝えると、「日本のウイスキーを美味しいよね」って言ってくれる方がたくさんいらっしゃいました。色々な面で日本の良さを認識してくれる人が増えているのは喜ばしいことですね。
ちなみにサンフランシスコで蒸留されたウイスキーもあるようなので、いつか試してみたいと思っています。
AIを毎日(または ほぼ毎日)使っているアメリカ人の若者はわずか4%
米国在住の10代と20代の若者1,274人を対象に世論調査が行われました。調査結果によると、生成AIを毎日またはほぼ毎日使っている米国の若者はわずか4%で、さらに、40%以上が生成AIツールをまったく使ったことがないと答えています。
ChatGPTのような生成AIツールを使ったことがある若者は半数以上いる一方、毎日のように使っている若者はまだ少ないということが分かってきました。こちらの世論調査によれば、以下のような懸念を若者は抱えているようです。
AIが仕事を代替すること
プライバシーを損なうこと
誤った情報を広めること
一方、ポジティブな効果を期待している回答も多く、最も一般的な用途は、情報収集(53%)、アイデア出し(51%)、学業支援(46%)でした。学校や職場の効率を高めること、創造性の向上、を期待している若者が多いようです。
こちらに調査結果はPDFとして公開されています。
詳細をご覧になりたい方はぜひご覧ください。
ではビジネスパーソンの利用はどうなっているのでしょうか。Asanaの最新のレポートによりますと、2024年3月の調査結果では、少なくとも週に1回以上利用している人が57%であり、これは2023年7月の調査結果よりも9ポイント高い値になっています。また、もっとも利用される用途はEメールの作成で37%、情報の要約が34%、コンテンツ生成が34%となっています。
こちらも調査結果はPDFで公開されています!
新しい技術は若者が利用することで広まる傾向もあり、今後の利用拡大に期待したいところですね。一方、ビジネス利用は今後AIアシスタントとしての利用が高まっていきそうです。Meta (旧Facebook) もビジネス用のAIアシスタントをテストするという報道もあり、ビジネスでのAI活用はますます日常的になりそうです。
人々はAIが作成した記事よりも(人間の)記者が作成した記事を好む
ロイターの調査によれば、日本を含む6カ国 (アルゼンチン、イギリス、デンマーク、フランス、米国、日本) で統計を取った結果、大部分は依然としてAIが作成した記事について懐疑的だったということです。
6カ国全体をとおして、人間が(AIを使わずに)作成した記事がConfortable(安心できる)と答えた人の割合は58%だったのに対し、(完全に)AIが作成した記事がConfortable(安心できる)であると答えた人は14%にとどまりました。
こちらはロイターとオックスフォード大学の共同の調査で、PDFで公開されています。
What Does the Public in Six Countries Think of Generative AI in News?
こうした結果を裏付けるかのように、NewsBreakというニュースアプリではAIが生成した記事の少なくとも40の事例において、偽の情報が含まれているとロイターは報じています。NewsBreakは米国のニュースアプリとしてはもっともダウンロードされているアプリの一つで、ロイター、CNN、Fox、APのような大手メディアからライセンスされたコンテンツに加えて、ローカルニュースやプレスリリースをインターネット上でスクレイピング (プログラミングなどで自動的にデータを収集) することによって収集し、AIによって再編集されています。
近年、米国ではローカルニュースの閉鎖が続いているなか、NewsBreakはその穴を埋めるかのように人気を博し、「地元のあらゆることを知るための情報源」というキャッチフレーズで、月間利用者数は5000万人を超えるといわれています。なお、米国でのみ利用可能です。
米国カリフォルニア州マウンテンビューに本社を構えているものの、中身は中国発のアプリであり、ロイターの調査ではアプリのアルゴリズムを支えるエンジニアリング作業のほとんどは中国にあるオフィスで行われているとのことです。
生成AIの利用はたいへん便利ですが、AIにすべてを頼りきれるようになるのは、もう少し先になるのかもしれません。
Data BricksがTabularを10億ドルから20億ドルで買収か?
データ分析プラットフォームを提供するDatabricksが、データ管理ソフトウェアのTabularを1Bドルから2Bドル(およそ15億ドルから30億ドル)で買収する計画があると報道されました。
TabularはもともとNetflixで開発されたオープンソースのデータ保存方式『Apach Iceberg』をベースにしたデータ管理ツールを提供しています。そして、Icebergはデータレイクハウス・アーキテクチャの分野でDatabricksのオープンフォーマットDelta Lakeと競合しており、両者(IcebergとDelta Lake)の間にはほとんど互換性がありませんでした。
それがここにきて、Databricksが両者を統合し、統一した規格にすることを計画したことで状況が変わりそうです。オープンソースを代表する2つのレイクハウス標準を統合することで、顧客により多くの選択肢を提供し、非互換性による不便さを減らすことができる、とDatabricksは述べています。
データの活用はすべての企業にとって重要な課題になっています。今後AI/MLのワークロードが増えるにつれてこの傾向はますます強まることでしょう。
買収が成立すれば、Databricksが競合よりも優位な立場に躍り出ることは間違いありません。今週はDatabricksの年次カンファレンス『Data + AI Summit』も開催されるため、今後の動きに注目したいと思います。
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