Weekly Newsletter #184
AppleがMicrosoftを抜いて世界1位に / OpenAIが年商34億ドルを突破 / 米連邦取引委員会と司法省、Nvidia、Microsoft、OpenAIの独占禁止法違反調査への道を開く
米国も日本同様、6月第3週日曜日が父の日です。子供達が通っている学校でも父の日のイベントがありまして、家族と一緒に写真を撮ったりドーナツを食べたりしました。
米国のお父さんのイメージはトンカチやドライバーなどの工具を使って日曜大工をするというのが典型的らしくて、その手の小道具もたくさん飾ってありました。
私はまったく日曜大工といったことはできませんで (不器用すぎて)、いつも家のメンテナンスに来てくれるアパートの管理人、通称 テクニシャン・ルーに頼りきりです (笑)
それでは今週もよろしくお願いします。
Happy Father’s Day!!
AppleがMicrosoftを抜いて世界1位に
Appleの時価評価額が3兆3,000億ドルに達し、一時Microsoftを抜きました。これは6月10日に行われたAppleの年次カンファレンスWWDCでの発表が影響していると見られています。特に、Appleの生成AIツール『Apple Intelligence』が評価されたとアナリストたちは分析しています。それもそのはず、AppleはあらたにChatGPTで有名なOpenAIとパートナーを組み、例えばSiriの中でChatGPTが動くといった連携ができるようになりました。これまでAIの取り組みとしては遅れをとっていると言われたAppleですが、ここにきて挽回を図ったようです!これで最大手テック企業のAIが揃い、今後の動向が楽しみになってきました。
AppleとOpenAIとのパートナーシップを受けて、イーロン・マスクはAppleのデバイスを自社で使用禁止にするとツイートしました。プライバシーとセキュリティへの懸念が理由だとイーロン・マスクは述べています。さらに、イーロン・マスクは自身の会社を訪問するゲストに対しても、入り口でAppleのデバイスをチェックし、さらに電磁場を遮断するファラデーケージに保管するとまで宣言しています。
一方Appleはユーザーデータが同社によって収集されることはないと強調し、"Your data is never stored or made accessible to Apple"「あなたのデータがアップルに保存されたり、アクセス可能になったりすることはありません」と説明しています。
Apple Intelligenceは、iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaに組み込まれて2024年秋にベータ版がリリースされる予定です。ただし、対象となるデバイスは、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、M1以降のチップを搭載したiPadとMacに限定されています。
AppleはGoogleやMicrosoftなどの競合他社に比べ、AI導入が遅れているために、新機種への切り替えに遅れをとっていると言われていました。新たなOpenAIのパートナーシップが突破口になるかもしれませんね。ちなみに私のiPhoneはまだ13です。
OpenAIが年商34億ドルを突破
つづいてはAppleともパートナーシップを組み絶好調のOpenAIが年商34億ドルを超えたというニュースです。The Informationの記事によりますと、34億ドルの年商のうち約32億ドルはChatGPTのサブスクリプションと開発者プラットフォームからの手数料によるものだそうです。残りの約2億ドルは、MicrosoftがAzure上でOpenAIのモデルを販売することによるものとのことでした。
なお、米国フォーチュン500社のじつに92%以上がOpenAIのプラットフォームを利用している (2023年11月)との統計もあります。
このような状況に加えて、前述のとおり、今後はApple製品にもOpenAIの機能が組み込まれていくことになるので、しばらくOpenAIの好調はつづくでしょうね。
一方、OpenAIの競合も出てきています。例えば、最近資金調達に成功したMistral AIもそのひとつ。フランス、パリを拠点に活動し、6億ユーロ(約6億4000万ドル)の資金をシリーズBで調達し、評価額は62億ドルになりました。General Catalyst がこのラウンドをリードし、Andreessen Horowitz、 Lightspeed、 Nvidia、 Samsung、Cisco、IBMなど名だたる企業も加わっています。ビジネスモデルとしては、オープンソースのAIモデルの提供と独自モデルへのAPIアクセスに課金するといったかたちをとっています。元Foursquare CFOのMarjorie Janiewiczを初の米国ゼネラルマネージャーとして採用し、Microsoftもパートナーシップを結ぶなど、米国市場へのアプローチも広げています。
今後のOpenAIの行方と、それを追いかける新たなスタートアップに注目していきたいと思います。
米連邦取引委員会と司法省、Nvidia、Microsoft、OpenAIの独占禁止法違反調査への道を開く
米連邦取引委員会(FTC)と司法省(DOJ)は、独占禁止法違反の可能性があるとして、Nvidia、Microsoft、OpenAI、に対する調査を分割することで合意しました。これによりFTCがOpenAIおよびMicrosoftを調査し、DOJはNvidiaのハイエンドAIチップにおける優位性を調査することになります。FTCとDOJはともに公平な競争に反する商習慣を取り締まる立場にあり、米国の独占禁止法を共同で執行しています。
なお、今回の合意にいたるまで1年ほど交渉が続けられたそうです。
これまでも米国大手企業とFTC / DOJの間では頻繁に訴訟が行われており、2023年9月にFTC(および米国に17の州)がAmazonを提訴したり、DOJは2023年1月にGoogleの広告ビジネスが違法に独占しているとして提訴したり、2024年3月にも同じくDOJがAppleがiPhoneに顧客を依存させ競合他社への乗り換えを阻害していると提訴しています。
このようにFTCおよびDOJは常に目を光らせ、ビッグテックを監視しているわけですが、今後、生成AIが注目されていくにあたりNvidiaやOpenAIといったAI関連企業への監視が強まるのは間違いありません。これまでMicrosoftは比較的訴訟されにくい立場にあると言われてきましたが、OpenAIをはじめ前述のMistral AIなどのスタートアップとの連携を強めていく中でFTCやDOJの監視の目に留まるようになるかもしれません。
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