Weekly Newsletter #196 OCP Global Summit in San Joseで見た日・米 液冷アプローチの違い
大手テック企業が次々に原子力に進出/【災害対策】ハリケーン・ミルトンの被害から新生児集中治療室(NICU)を救う/
皆様おはよう御座います。NOS-USAのMasaです。
先週10/15〜17に近所のサンノゼで開催された2024 OCP Global Summitに行ってきました。
OCPは毎年この季節にサンノゼで開催されており、オープンコンピュートプロジェクトの最新技術とアイディアを共有する国際会議です。
今年は特にLiquid Coolingの分野がスタートアップの新規参入も多く、出展企業の数も増加しており俄かに盛り上がりを見せている印象です。
AIによるデータセンター需要がラックや電源等のファシリティにも恩恵を与えています。
その中で隣り合わせのブースで日・米のお国柄が垣間見える展示が非常に面白かったのでシェアさせていただきます。
左側の写真は米国はサウスカロライナ州の企業ALCT社が展示していた液冷ラックです。 まるで冷蔵庫のような作りで、野菜室のような引き出しを引くとサーバーが縦にインストールされています。
ここにシャワーで水をかけるように液体を循環させることで排熱するそうです。
なんともダイナミックで、横幅もどっしりと大きく、いかにもアメリカンな発想ですよね! 因みに上の段にインストールする時はどうするのか聞いたら、脚立が必要とのことです。 脚立ソリューションを聞いた時は、私が昔通っていたデータセンターだと天井につっかえるな・・と想像してニヤニヤしてしまいました。
対して右側の写真は村田製作所さんの”Vapor Chamber“という製品で、手のひらサイズのペラペラの銅色のペーパーのような素材に毛細血管のように張り巡らされた管に液体を通し、熱源からのプレッシャーにより液体が循環し、効率的に冷却対象を冷やすのだそうです。
トランシーバーモジュールやスマートフォンなどのような小型の端末用として活用されるようです。
小さくて繊細でいかにも日本企業が得意としている領域な印象ですよね!
今回紹介したもの以外にも多くの企業が出展しており、非常に興味深い展示が多くありました。近日中にカンファレンス動画もアップされるはずですので、ご興味がありましたら是非そちらもご覧ください!
大手テック企業が次々に原子力に進出
今週はAIデータセンター繋がりで最初のニュースは電力です。
Amazonのクラウドコンピューティング部門は10月16日水曜日、原子力発電プロジェクトに数百万ドルを投資する計画を発表しました。
そして、それはAmazonだけではなく、Googleは今週初めに原子力契約を発表し、マイクロソフトは先月、閉鎖されたスリーマイル島原子力発電所の再稼働を支援すると述べました。
AIを稼働させるための大量のGPUを要するAIデータセンターは、電力を大量に消費するため、既存の設備では賄いきれなくなっています。
電力研究所は2030年までにデータセンターがアメリカの年間発電量の最大9%を消費する可能性があると推定しています。 現状が4%ですから5ポイントの増加です。
ただし、原子力発電所を建設するにはコストがあまりにも高すぎるようです。
そのため、今最も注目を集めているのが小型モジュール原子炉(SMR)です。
既存の原子炉に比べて場所を取らず、建設も早く、電力網の近くに設置できるため、理論上は建設コストが下がると言われています。
日本でも原子力発電所に対する世論も徐々に好転しており、現在複数の原子力発電所が新規制基準に適合し、再稼働していますが、同様にAIデータセンターの需要は大きくこのままだと確実に電力不足に陥る状況となっています。
テック企業・米国および日本の両国が今後どういった対策を取っていくか注目です。
【災害対策】ハリケーン・ミルトンの被害から新生児集中治療室(NICU)を救う
災害の多い日本ですが、今年はアメリカもハリケーンによる被害が特に東海岸を中心に発生しています。
能登半島地震の際には、断水時でも少量の水で濾過循環して温水シャワーを使える装置が話題となりました。
一方で、ハリケーン被害の多いフロリダ州では、タンパに拠点を置くジェネシス・システムズ社と協力して、「ウオーターキューブ1000」と呼ばれるユニットを配備しました。 このユニットは空気中の水分を抽出して飲料水を作ることができるそうです。
特に新生児集中治療室の赤ちゃんを避難させるのは非常に時間がかかり、難しい上、危険を伴います。
そこでこのウォーターキューブ1000をNICUを持ち、多くの赤ちゃんの治療をしている病院に移動することを決定しました。
この装置では24時間で約2,000ガロン(約7,570リットル)の水を生成することができるそうです。水蒸気の量が多いほどより多くの水を生成することが出来るそうですが、湿度の高い日本ではまさに打ってつけの装置ではないかと思います。
そのお値段はというと、なんと定価86万ドル(1億2800万円)するそうですが、家庭用装置の小売価格は2万ドル(約300万円)で約100〜200ガロン(378〜757リットル)も生成するというから驚きです。絶妙な価格帯ですが、日本での需要は結構ありそうだと感じます。一家に一台いかがでしょうか?
ミルトンが去った後、この装置が活躍したかというと、装置が届けられて間もなく、市の上水道システムが機能し、サービスが再開されて事なきを得たそうです。
備えあれば憂いなし!ですね!
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