Weekly Newsletter #203
ロボタクシーがUberで呼べるようになる / マイクロソフト、データセンターに800億ドル(約1,200億円) 投資 / データ流出事件: シスコ、2度目の流出事件発生後、データの真正性を確認
2025年最初のニュースレターです。皆様、どうぞ、本年もよろしくお願いいたします。さて、年末はゆっくり過ごされましたか。日本に住む友人の中には9連休や11連休と長めのお休みを取られた人もいました。例年より長い休暇を持たれたかたも多かったのではないでしょうか。
写真は友人宅でいただいたお節料理です。アメリカでもこんなに本格的なお節料理を作ってくださるお店があることに驚きと感謝の気持ちを隠せませんでした。そして、いままで食べた中で一番美味しかったです。
ロボタクシーがUberで呼べるようになる
Uber およびその競合のLyftはともにアメリカを代表するライドシェアプラットフォーム(個人タクシーの配車サービス)ですが、かつて、どちらも自動運転車を開発していました。残念ながらコロナ禍の中、両者ともにこのプロジェクトを断念し、自動運転車は売却されてしまいます。
ところが、ここにきて、UberもLyftも自動運転車を自分たちで開発するのではなく、その配車プラットフォームとしてサービスの提供に舵を切りました。
Uberはロサンゼルス、ダラス、その他の都市を含む米国の自動運者との提携を5件以上発表、さらに、オースティンとアトランタではUberとWaymoが連携しUberのアプリからでないとWaymoが呼べないという制限を設けました。
(サンフランシスコなどその他の都市ではWaymoはWaymoの配車アプリから呼べるようになっています)
以前こちらのブログでもご紹介しているように、サンフランシスコ市内では自動運転のWaymoに乗車することができます。
関連リンク:
Bay Area Tech Blog #72:AIと共に走る。サンフランシスコのWaymo自動運転タクシー探訪①
Bay Area Tech Blog #75:AIと共に走る。サンフランシスコのWaymo自動運転タクシー探訪②
好調なWaymoのシェア
なお、Waymoの利用増加の勢いは好調で、サンフランシスコでは(YipitDataが分析した消費者による決済データによると) 昨年11月には同社が22%のシェアを獲得したとのことです。これはサンフランシスコにおけるLyftのシェアと同等になっています。LyftはUberに比べると苦戦しているようでして、AmazonがLyftを買収する可能性も示唆されています。
AmazonはLyftを買収?
Amazonは2020年、10億ドル以上を投じて、自動運転のスタートアップ企業であるZooxを買収しました。米国の複数の主要都市においてZooxもWyamoと同じように自動運転カーのテストを行っていて、間もなく一般向けに初の配車サービスを提供する計画が発表されています。仮にAmazonがLyftを買収すれば、ZooxのロボットタクシーをLyftの配車アプリから行えるようになり、Amazon(Zoox) - Lyft連携 vs Waymo - Uber連携の構図になりそうです。
さらにUberがUber Eatsを追加したのと同様に、AmazonがZooxを拡大し、Amazonの自動運転車がフードデリバリーを行うようになるかもしれません。
2026年にはテスラも自動運転のロボタクシーを大量生産する計画を発表しており、2025年の自動運転のトレンドに今後も期待大です。
マイクロソフト、データセンターに800億ドル(約1,200億円) 投資
マイクロソフトが2025年に800億ドル(約1,200億円)をAIに特化したデータセンターに投資する計画を発表しました。前年度が530億ドル(約800億円) だったことを考えますと、およそ1.5倍に増額されていることが分かります。マイクロソフトのブラッド・スミス社長によれば、1,200億円のうち半分以上は米国で実施されるものになる予定とのことです。
マイクロソフトはAIにおけるトレーニングと運用に対する需要が今後1年間も引き続き伸びると予測しており、特にAzure(マイクロソフトのクラウドサービス)において、AI開発者からの需要に対して供給が追いついていない状況だと繰り返し説明しています。
政府への働きかけ
The Informationの報道によりますと、スミス氏は次期トランプ政権に対して、AI研究への資金提供を増額し、データセンターの開発を加速させるよう呼びかけているそうです。
以前からマイクロソフトは米国連邦政府との関係を取り持つのが上手いことで有名で、競合他社であるグーグル、アップル、メタ、アマゾンよりも優位性があると言われています。実際、米国の独占禁止法の執行機関が現在訴訟を起こしていないのはマイクロソフトだけで、いわゆるGAFAはすべて訴訟を起こされています。
こうしたテック企業の合併・買収に対する強硬姿勢は次期トランプ政権では緩和される見通しです。というのも、アンドリュー・ファーガソン氏が連邦取引委員会(FTC)の新委員長に指名されたからです。彼は、前任のリナ・カーン氏と比較すると、テック業界の合併・買収に対してより寛容な姿勢を取ることが予想されています。
前任のリナ・カーン氏はテック業界における数多くの合併・買収に異議を唱え、厳格な独占禁止法の執行で知られていました。
こうした状況も相まって、米国ではデータセンターの許可要件の削減や、エネルギー生産に関する規制が緩和され、電力消費量が多いデータセンターがより活発に開発されていくことになるでしょう。
データ流出事件: シスコ、2度目の流出事件発生後、データの真正性を確認
ことの発端は10月14日に”IntelBroker”という攻撃者がシスコシステムズからデータを盗み出したという犯行声明を出したことに始まります。彼らは、同社のシステムに侵入し、ソースコード、証明書、認証情報、機密文書、暗号鍵、およびその他の情報を入手したと発表していました。
その後のシスコシステムズによる調査で、同社のシステムそのものが侵害されたわけではなく、外部公開されたDevHub から取得されたものだったことが判明。
(DevHubは顧客向けにソースコードやスクリプトなどのコンテンツを提供するリソースセンターとして機能しているプラットフォーム)
シスコシステムズは、このDevHubから流出されたデータの多くがすでに公開されているものだと主張する一方で、攻撃者によって取得された一部のファイルは本来公開されるべきではなかったものであることを認めています。
攻撃者である”IntelBroker”は全体で4.5TBものデータをDevHubから取得し、昨年12月16日にその内の3GBを、そして12月25日には4GBを公開しています。シスコシステムズ側はそれらのデータを分析し、それが「2024年10月14日から知られているデータセットと一致する」と述べました。
なお、「システム自体の侵害はなく、また、流出したコンテンツに生産環境や企業環境へのアクセスに使用されてしまう可能性のある情報は確認されていない」と同社は説明し、また、流出したデータに個人情報や財務データが含まれている証拠はないとしています。ただし、その後、この声明をインシデント報告書から削除しているため、ひょっとするとまだ調査中であり、個人情報の類が流出している可能性も否めないのかもしれません。
問題となるものはなにか?
もっとも懸念されるのは、サプライチェーンの脅威であり、攻撃者が脆弱性を悪用し、悪意のあるコードを注入し、相互接続されたシステム全体にわたってサービスを壊滅的にすることを可能にします。こうした事態が発生してしまうと、さまざまな業界と顧客に影響が及びます。
サプライチェーン攻撃は防ぐのが困難な攻撃の一つですが、資格情報のローテーションおよびアクセス状況の見直し、ネットワークのセグメント化、サプライチェーンログの監査、パッチ管理と脆弱性修復、インシデント対応の見直し、といった運用で軽減することは十分可能です。
同社のインシデントレポートは以下のリンクからアクセスできます。
Cisco Event Response: Reports of Security Incident
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/resources/october_15_2024?utm_source=chatgpt.com
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