NVIDIAがHPC向けのArmベースのCPU「Grace」を発表
NVIDIAは、今週開催したGTC 2021にて数多くの発表をした。その中で最も注目を集めたのは、大規模AIモデルやHPC向けのArmベースのCPU「Grace」である。NVIDIA初のデータセンター用CPUは、エネルギー効率の高いArmコアを使用し、超高速演算性能と大容量メモリの両方を必要とする膨大なデータセット分析をする自然言語処理(NLP)やAIスーパーコンピューティングの要件に対応する。さらに、NVIDIA GPU とGrace を組み合わせることで、従来のx86CPUベースのシステムよりも10倍のパフォーマンスを提供するという。
2023年に市場に投入される予定だが、スイス国立スーパーコンピューティングセンター(CSCS)と米国ロスアラモス国立研究所で使用されることが決まっている。スーパコンピュータのAI処理性能(Top500)では、日本の富岳が現在トップで1exaFlopsを達成しているが、これを超える20exaFlopsを提供する見込みだ。
「Grace」という名前は、1950年代に活躍した米国海軍のコンピュータ・プログラミングの先駆者であるグレース・ホッパー(Grace Hopper) にちなんで名付けられた。余談ですが、彼女には「実際にバグが見つかった最初の例」(First actual case of bug being found)という逸話があり、当時のコンピュータに本物の「蛾」が挟まって動作しなくなって、取り除いた蛾は日誌に貼り付けられたという。これから「バグ」という言葉が広がったらしい。
NVIDIAは2026年までにDPUを支配すると予測
もう一つ注目は、DPU(データ処理装置:Data Processing Unit)の「BlueField-3DPU」の存在だ。データセンターやエンタプライズインフラの環境において、コントロールプレーンとアプリケーション層を分離させるという。これは、セキュリティなどに関わるデータ処理のタスクをCPUからオフロードさせることにより、AIを使った高速な脅威検知などが実現できる。AIセキュリティのフレームワークとして発表された「Morpheus」には、F5 NetworksやFortinetなどもその活用を発表している。
もちろん、DPUはシステムオンチップ(SOC)であるため、セキュリティに限りらず、様々なソフトウェアプログラマブルな用途へ適用可能である。つまり、ソフトウェア制御によって、データセンター/クラウドのネットワークトラフィックの最適化を実現する。DPUの普及にはソフトウェアが重要だとして、NVIDIAはVMWareの「Project Monterey」にも参画し、vSphere上で機能するDPUを用いたSmartNICの提供を進めています。
DPUは2019年に買収したMellanoxがベースであり、CPUは買収が予定されているArm、そしてNVIDAのGPUの3つのチップを「Three Chips」と呼び、NVIDIAはこれらが今後のデーターセンターサービス構築において、重要な鍵になると目論んでいる。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/nvidia-ceo-predicts-dpu-domination-by-2026/2021/04/
DPUを利用した「Morpheus」にてデータセンター内の脅威を発見する
サイバーセキュリティのためのAIフレームワーク「Morpheus」を発表
Microsoftは AI強化のため Nuance を197億ドルで買収
Microsoftは、AIを用いた医師の診療記録などの作成支援をするNuance Communications を197億ドル買収します。Nuanceは、AIの中でも自然言語や音声認識分野で実績があり、Appleの「Siri」の技術基盤を作った企業としても知られる。高額な買収金額は、医療分野におけるNuanceのプレゼンスの大きさを表していると言えるが、Microsoftはこの買収によりヘルスケアプロバイダー分野における市場規模は、2倍以上の約5,000億ドルになると見込んでいる。
https://siliconangle.com/2021/04/12/doubling-ai-microsoft-acquire-nuance-19-7b/
VMwareは Dellから分割され独立した会社になります
DellはVMwareを分離することにより、両社にとって財務面での柔軟性が生まれ、技術面や戦略上のパートナーシップ関係には変わりはないと発表された。2015年に580億ドルでEMCと共に買収されたが、その後大きな相乗効果を発揮していた印象は薄い。株式市場も両社の株価が上昇するなど、この動きを歓迎しているようである。
https://www.networkworld.com/article/3615190/vmware-dell-split-to-form-independent-firms.html
Epic Gamesの「Meta Human」にアーリーアクセス可能です
Epic Gamesは、昨年2月にUnreal Engineで非常にリアルなデジタルヒューマンが作成できる「MetaHuman Creator」を発表しました。映像を見た時には、実写と見間違うほどのリアルな造形に驚かされましたが、これが今週になってアーリーアクセス可能になりました。無料で58体のMetaHumanがダウンロード可能になりました。ゲームだけでなく、映画制作など様々なクリエーションにも活用され、Epic Gameが目指すメタバースの世界がどのように進化していくのか非常に気になります。
ソニーはさらに2億ドルをEpicGamesに投資します
Epic Gamesの10億ドルの資金調達ラウンドの一環として、ソニーはさらに2億ドルを投資をしました。ソニーは昨年7月にも2億5000万ドル投資しています。
https://www.theverge.com/2021/4/14/22382757/epic-games-unreal-engine-metahuman-creator-early-access
Google Earth の3Dタイムプラス機能で地球の変化を見て下さい
Googleは、Google Earthの新しい機能として「タイムプラス」をリリースしました。1984年から2020年まで過去37年間の衛生画像を時系列でその変化を見ることができます。世界中で、森林伐採や氷河の後退や湖の消滅、大規模な都市開発の状況を目の当たりにすると環境意識が高まります。しかし、この膨大なデータを処理するためにGoogleのデータセンターでは少なからず温室効果ガスが排出されていると考えると皮肉なものです。
世界各地のタイムプラスは、Google Earth g.co / timelapse アクセスして見れますが、主要な地域がポップアップビデオで提供されているこちらでご覧いただくのも良いかと。 https://developers.google.com/earth-engine/timelapse/videos
https://arstechnica.com/gadgets/2021/04/google-earth-is-now-a-3d-time-machine/
Bloombergの報道ですと、DellはBoomiも売りに出したいと考えているようです。かつてのIBMやhpのように身軽になろうとしているのかもしれませんね。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-04-14/dell-is-said-to-explore-sale-of-boomi-cloud-business