Weekly Newsletter #264
Amazon がGlobalstar を$116億で取り込みD2D 衛星戦争に参戦、米国防総省はAI 8社と機密契約を結びAnthropic を除外、ServiceNow はKnowledge 2026で"AI Control Tower" を全面に実行レイヤーの覇権を主張。今週はモデルではなく、その上下を握る基盤の主導権争いが揃った週でした。
こんにちは、6月はRio がお届けします。
撮影: 筆者
テキサスの奥地で見つけた、マルちゃん。
マルちゃんは日本の東洋水産のブランドですが、実はアメリカ進出はかなり早く、1977年にはカリフォルニア州アーバインで米国生産を開始しています。
日本から輸入された珍しいラーメンというより、もう半世紀近くアメリカの生活に組み込まれているローカル食品に近い存在のようです。
特にアメリカでは、マルちゃんは「ラーメン文化」というより、安い、早い、腹にたまる、どこでも買えるという実用品として浸透しており、大学生、寮生活、低予算の食事、夜食、キャンプ、非常食という位置付けで、アメリカでは“survival food”や“college food”の文脈が強いようです。
面白いのは、写真の棚にもあるように、味の中心がChicken / Beef / Shrimp でかなりアメリカ仕様なこと。
日本のラーメンのように醤油・味噌・豚骨ではなく、アメリカのスープ文化に寄せた「チキン味」「ビーフ味」「シュリンプ味」として定着してように見えます。
先週のニュースレターを見逃した方はこちら
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Amazon がGlobalstar を$116 億で買収、Apple との連携関係もまるごと取り込んで衛星D2D 戦争に参戦
Photo: Unsplash(@hubblespacetelescope)
📚 トピックのポイントを3 行で
Amazon がGlobalstar を約115.7 億ドル(約1.7 兆円) のキャッシュで買収、Apple との衛星サービス契約も継続
狙いはスマホが直接衛星と繋がるDirect-to-Device (D2D) 通信市場で、Starlink/AST SpaceMobile に対抗するもう一つのスタック を構築すること
勝負を決めるのは衛星数だけでなくMSS スペクトル、ハンドセット、ハイパースケーラー資本を組み合わせた総合力で、日本の通信事業者にとってもベンダー選択肢が増える契機
Amazon は2026年4月14日、衛星通信オペレーターGlobalstar を約115.7 億ドル(約 1兆 8,124億: $1=156 円換算) のキャッシュで買収する契約を締結したと発表しました。
Amazon の自社衛星ブロードバンド事業 Amazon Leo にとって、過去最大級の買い物です。
ところで、Globalstar という名前にあまり馴染みがない方も多いのではないでしょうか?
一般のスマートフォン利用者の目には触れにくい存在ですが、実はiPhone 14 以降に搭載されたEmergency SOS via Satellite、Find My、Roadside Assistance via satellite のバックエンドを支えてきたのがこのGlobalstar の衛星網です。
同社は24 基超のLEO(Low Earth Orbit: 低軌道) 衛星を運用し、50 基以上の追加衛星を発注済みで、世界各地で許認可を持つMSS (Mobile Satellite Services: 移動体衛星通信) スペクトルライセンスを保有しています。
Apple は2024年にGlobalstar に20% を出資し、衛星拡張を資金面でも後押ししてきました。
今回の買収と同時に、Amazon はApple との間でiPhone、Apple Watch 向け衛星サービスの継続契約を結んでおり、Apple との関係をまるごと引き継ぐ形になります。
なぜAmazon が、自社で衛星も既に打ち上げているにもかかわらず、もう一つの衛星会社を1 兆円超で買うのでしょうか?
背景にあるのが、ここ1年で急速に競争が過熱しているDirect-to-Device(D2D) と呼ばれる領域です。
これは、専用の衛星端末や外付けアンテナを必要とせず、普通のスマートフォンが直接衛星と通信する技術カテゴリで、地上のセルラー網が届かない場所での連絡手段やIoT 通信の選択肢を広げます。
Starlink を運営するSpaceX は2025年7月にT-Mobile と組んで米国全土でのD2D メッセージングサービスを開始し、すでに10,000 基を超えるStarlink 衛星のうち600 基超をD2D 専用に投入済みです。
SpaceX はさらに2025年にEchoStar からAWS-4 とH-block 帯の中帯域スペクトルを170 億ドル(約2 兆6,000 億円) で買収し、D2D 用途で実質的な第4 のモバイル事業者になる準備を進めていました。
一方、AT&T とVerizon はAST SpaceMobile に出資してD2D 提携を進め、Vodafone はSatCo として欧州主権衛星会社をルクセンブルクで立ち上げています。
この競争で勝敗を分けるのが、利用可能なスペクトル(周波数帯) の確保力です。
MSS スペクトルは元々衛星通信用途として世界的に許認可済みのため、地上モバイル事業者の周波数を間借りする必要がなく、独立した衛星通信ネットワークを設計しやすいという特徴があります。
Globalstar CEO のPaul Jacobs 氏 は同社のスペクトルを D2D というパズル全体を完成させる重要なピース と表現していたとされており、今回Amazon が手に入れたのはまさにこのピースです。
Amazon Leo はブロードバンド衛星市場ではStarlink に大きく後れをとっていました。
3,200 基以上の衛星打ち上げを計画していたものの、現時点で軌道上にいるのは約200 基で、米連邦通信委員会 (FCC) に対して2026年7月までに1,600 基というデッドラインの延長を申請する状況でした。
今回のGlobalstar 買収は、”ブロードバンドではStarlink を追い、D2D では先行する”ための起死回生の一手と読めます。
Summit Ridge Group のArmand Musey 氏 はVia Satellite に対して
Amazon Leo は衛星ブロードバンドでStarlink に後れをとっているが、Globalstar 買収によってD2D のスペクトルポジションでは追いつき、デプロイメントでは先行できる可能性が出てきた
とコメントしています。
日本ではKDDI が既にSpaceX Starlink Direct-to-Cell の国内パートナーとしてD2D の商用化準備を進めていますが、SpaceX 単独依存への懸念は世界的に強まっています。
データセンターと同じく、衛星通信もまた物理インフラの調達競争 に入ったことを感じました。
参考文献
Amazon to buy Globalstar for $11.57B in bid to flesh out its satellite biz - TechCrunch
https://techcrunch.com/2026/04/14/amazon-to-buy-globalstar-for-11-57b-in-bid-to-flesh-out-its-satellite-biz/Amazon to acquire Globalstar; partners with Apple - About Amazon https://www.aboutamazon.com/news/company-news/amazon-globalstar-apple
Amazon Enters D2D Market With Globalstar Acquisition and Plans for its Own System - Via Satellite https://www.satellitetoday.com/connectivity/2026/04/14/amazon-enters-d2d-market-with-globalstar-acquisition-and-system-plans/
What Amazon’s Globalstar Acquisition Means for MSS Spectrum and D2D Market - Via Satellite https://www.satellitetoday.com/connectivity/2026/05/05/what-amazons-globalstar-acquisition-means-for-mss-spectrum-and-d2d-market-analyst-roundtable/
Amazon to buy Globalstar to bolster Leo satellite business - CNBC https://www.cnbc.com/2026/04/14/amazon-globalstar-satellite-leo-internet.html
米国防総省がAI 大手8社と機密契約、Anthropic を「サプライチェーンリスク」として除外
Photo: Unsplash(@tobydagenhart)
📚 トピックのポイントを3 行で
5月1日、米国防総省(Department of War に改称) がSpaceX、OpenAI、Google、NVIDIA、Microsoft、AWS、Oracle、Reflection AI の8 社と機密ネットワークIL6/IL7 へのAI 展開契約を締結
Anthropic は監視・兵器運用に関するガードレールを譲らず除外され、3月のサプライチェーンリスク 指定を不服として連邦裁判所で訴訟中
米軍はベンダー多様化 を全面に、Anthropic 一強構造から脱却するため新規ベンダー承認プロセスを18 か月から3 か月未満に短縮
5月1日、米国防総省が、機密ネットワークIL6 (Secret) およびIL7 (Top Secret) 環境にフロンティアAI を展開する契約を、SpaceX、OpenAI、Google、NVIDIA、Microsoft、Amazon Web Services、Oracle、そして新興のReflection AI の8 社と締結したと発表しました。
米軍がフロンティアLLM を機密ネットワーク上で利用できる範囲が一気に広がる、AI 防衛ベンダー史上最大級の動きです。
ところで、この発表で1 社、明確にいない会社があります。
それは Anthropic です。
数か月前まで、Anthropic のClaude モデルはPentagon の機密ネットワーク上で唯一大規模に承認されていたLLM であり、Forward Deployed Engineer(FDE: 前線配備エンジニア) が複数の軍事プログラムに常駐していたといいます。
Wall Street Journal などによれば、Claude はPalantir のMaven プラットフォーム経由で、米軍のイラン関連作戦やベネズエラのMaduro 大統領を標的とする作戦などで実際に使用されていたと、複数のメディアが伝えています。
しかし2026年3月、国防総省はAnthropic をサプライチェーンリスク に指定し、政府機関とその契約者に対して6 か月以内にAnthropic 製品の使用を停止するよう命じました。
Anthropic はこの指定を不服として連邦裁判所で訴訟中で、3月の差止命令でサプライチェーンリスク 指定そのものは一旦無効化されたものの、認証ベンダーとしての地位は復活していません。
Hegseth 国防長官は議会証言でAnthropic CEO のDario Amodei 氏 を 「ideological lunatic (イデオロギー的な狂人)」 と呼び、両者の溝の深さが露呈しました。
対立の核心はAI の使用ポリシーです。
Anthropic は監視や兵器運用への利用を制限するガードレールを譲らず、Pentagon は逆に無制限用途 での契約条項を求めたとされ、交渉が決裂しました。
Pentagon CTO 兼研究開発担当国防次官のEmil Michael 氏 はCNBC のインタビューで次のように述べています。
一社のパートナーに依存するのは無責任で、その一社は我々が望む形では一緒に働きたがらなかった。
複数の異なるプロバイダー、オープンソースとプロプライエタリの両方、そしてインフラ企業を確保した。
特に注目を集めたのが、リストに名を連ねた新興企業Reflection AI です。同社は2025年10月に20 億ドル(約3,000 億円) を調達したばかりで、出資者にはNVIDIA に加え、Donald Trump Jr. が出資するベンチャーキャピタル1789 Capital が含まれます。Reflection がNVIDIA とTrump Jr. 周辺資本のバックアップで一気に機密ネットワーク承認を勝ち取った構図は、AI 防衛市場で政治的な近接性 が新たな競争軸になりつつあることを示唆しているように見えます。
背景にあるのがPentagon 主導のAI プラットフォームGenAI.mil の急拡大です。
同プラットフォームはサービス開始からわずか5 か月で130 万人以上のDoD 職員 が利用するに至っており、米軍内でAI 利用が標準化されつつあります。
今回の契約はこの基盤に複数のフロンティアモデルを並走させるベンダー多様化 を法的、運用的に裏付ける動きでもあります。
Reuters によれば、新規ベンダーが機密レベル承認を得るプロセスはAnthropic 騒動以前は18 か月以上かかっていたものが、今では3 か月未満に短縮 されたとされています。
ただしAnthropic が完全に米政府から締め出されたわけではない、というのが興味深いところです。
NSA (国家安全保障局) は別途、Anthropic の高度なサイバー機能を持つClaude Mythos モデルを機密ネットワークで運用していると報じられています。
(余談: 公式通達によるとカタカナではミュトスらしいです。ちなみにAnthropic はアンスロピックではなく、アンソロピック。)
Pentagon CTO のMichael 氏自身も「Mythos については別の国家安全保障案件として扱う」と明言しており、商業的、政治的な対立とは別レイヤーでAnthropic 製品が必要とされ続ける現実があるようです。
Anthropic が商業安全性を譲らず防衛市場を一旦失う代わりに、Reflection やSpaceX (xAI 系) などが急速にポジションを取りに行く構図は、AI 規制議論を進める日本にも参考になりそうです。
また、米軍のベンダー多様化 は結果的にClaude のような特定モデルへの依存からの脱却を加速させており、日本のエンタープライズや官公庁がAI 基盤を選定する際にも、同様のマルチモデル前提のアーキテクチャが現実的な設計指針になりえるのではないでしょうか?
3 か月承認という速さで動く米国型のベンダー入れ替えが、日本側でどう受け止められるか眺めたいと思います。
余談: 個人的にも、直近巷で囁かれていた計算資源の枯渇から来るClaude のナーフ説を機に、Agent やスキルがモデルにロックインされないように汎用化していました。
さらに、いつか来るかもしれないサブスクリプション費用の大幅な値上げに怯えています。
参考文献
Pentagon reaches deals with top AI companies, but not Anthropic - Reuters (via China Daily Asia)
https://www.chinadailyasia.com/hk/article/632878DOD expands its classified AI work with 8 companies — excluding Anthropic — amid ongoing dispute - DefenseScoop
https://defensescoop.com/2026/05/01/dod-expands-classified-ai-work-with-8-companies-excluding-anthropic/Pentagon Clears 8 AI Firms for Classified IL6/IL7 Networks - WinBuzzer https://winbuzzer.com/2026/05/03/pentagon-classified-ai-agreements-nvidia-microsoft-aws-google-openai-spacex-oracle-reflection-xcxwbn/
Pentagon Signs AI Deals With OpenAI, Google, Microsoft, Nvidia, and Others, Cutting Out Anthropic - gHacks Tech News https://www.ghacks.net/2026/05/04/pentagon-signs-ai-deals-with-openai-google-microsoft-nvidia-and-others-cutting-out-anthropic/
AI エージェント時代の「実行レイヤー」を握るのは誰か - ServiceNow がKnowledge 2026 で打ち出した次の戦場
図: ServiceNow Otto / AI Control Tower の構成
出典: ServiceNow Newsroom, “ServiceNow Otto creates the unified AI experience for the enterprise,” 2026年5月5日発表資料より引用
📚 トピックのポイントを3 行で
ServiceNow が年次イベントKnowledge 2026 でAI Control Tower、Otto、Action Fabric、Autonomous Workforce 拡張を発表し、エージェント時代の統制・実行レイヤー を主張
モデル層は商品化、実行層が新たな競争領域 という業界全体の構造変化を背景に、22年分のエンタープライズワークフロー資産をモートとして活用
Anthropic Claude やMicrosoft Copilot を含むあらゆる外部AI エージェントをServiceNow ワークフローに繋ぎ込むAction Fabric が、フロンティアLLM 各社・ハイパースケーラーをServiceNow 経由 に誘導する設計
5月5日から7日にかけてラスベガスで開催されたServiceNow の年次イベントKnowledge 2026 で、25,000 人の参加者を前に同社CEO のBill McDermott 氏 が打ち出したメッセージは明確でした。
AI のカオスには答えがある
このメッセージの重みを理解するには、いまAI エージェント業界全体に何が起きているかを少し俯瞰する必要があります。
ここ半年の動きを並べてみると、主要プレイヤーは皆エージェントプラットフォームを発表しています。
OpenAI のFrontier、Microsoft のFoundry、Amazon Web Services のBedrock AgentCore、Google Cloud のGemini Enterprise Agent Platform、NVIDIA のAgent Toolkit、Salesforce のAgentforce、Anthropic のClaude Agent SDK、そしてSierra のような専業プレイヤーまで。
先週にはBret Taylor 氏(元Salesforce 共同CEO、現OpenAI 議長) のSierra が9.5 億ドルを評価額158 億ドルで調達し、エンタープライズAI エージェント市場の主導権争いが続いています。
2026年のAI エージェント市場はモデル層は急速に商品化(commoditize) し、実行レイヤー (オーケストレーション、ガバナンス、本番運用) こそが本当の競争領域になりつつある局面に入っています。
フロンティアモデルの能力差は依然存在するものの、 この業務はClaude、別の業務はGPT-5、また別の業務はGemini と使い分ける時代が現実になりつつある今、企業IT の悩みはどのモデルが賢いか からどうやって複数のAI エージェントを業務に統合し、責任を持って運用するか へ移っています。
何が新しいのか?
ServiceNow は今回のKnowledge 2026 で、その 実行レイヤーの覇権を取りに行くと宣言しました。
中核となった発表は、4つの相互接続するレイヤーから構成されています。
第一が、AI Control Tower の拡張です。
エンタープライズ内のすべてのAI エージェント、モデル、ワークフローを、その出自を問わず発見・統制・観測・保護・計測する統合管理基盤として位置づけ直されました。
基調講演では、プロンプトインジェクション攻撃を受けたAI エージェントが価格設定を勝手に変更しようとし、自分のログを隠蔽しようとするデモが公開されました。Control Tower はこの異常を検知して該当エージェントの権限を自動取消し、停止するキルスイッチ(バイクに付いているものと同じ意味で、切るではなく、kill) として機能します。
同社が2025年12月に買収したVeza のID・権限管理技術 が、このエージェント統制のコアになっているようです。
第二が、新しい統合AI体験Otto です。
Now Assist(SNOW 標準の生成AI 支援)、Moveworks(従業員向けAI アシスタント)、AI Experience(AI 利用の共通UI) を一つのインターフェースに統合し、利用者の意図を完了した業務に変換する役目を担います。
FedEx のデモでは、配送マネージャーがOtto に母の日の配送ピーク準備状況を尋ねると、Otto が在庫、人員、キャパシティを確認し、37 人の人員不足を検出して採用要件を作成、面接スケジュールを設定し、AI エージェントを割り当てるところまでを一気通貫で実行する様子が示されていたようです。
Moveworks 創業者でServiceNow に加わったBhavin Shah 氏 は
これはAI に対するYOLO アプローチではない。
確率的推論と決定論的ワークフローを組み合わせ、予測可能性・信頼性・セキュリティ・可視性を保ったまま実問題を解く。
と説明しています。
(YOLO はネットスラングの “You Only Live Once” の略、上記文脈では、”深く考えずに突っ込む”、”とりあえずやってみる”、”無鉄砲に任せる” ではないことを言っている。)
第三の発表がAction Fabric です。
これはServiceNow のワークフローを、外部のあらゆるAI エージェントから呼び出せるよう開放する仕組みです。
Anthropic のClaude、Microsoft のCopilot、自社開発エージェントなど、どのモデル、どのフレームワークで作られたエージェントでも、ServiceNow のガバナンス層を通じて統制された業務を実行可能にするものです。
この点は特に戦略的で、 実行レイヤーとしての中立性 を打ち出すことで、フロンティアLLM 各社やハイパースケーラーを敵に回さず、むしろ全員をServiceNow 経由 に誘導する設計になっています。
第四が、Autonomous Workforce の業務領域別拡張 です。
L1 IT サービスデスク用のAI スペシャリストはすでに一般提供中で、IT 全般、CRM、従業員サービス向けは2026年6月、セキュリティとリスク向けは9月にGA 予定とアナウンスされています。
これらはタスク補助のチャットボットではなく、 人間の社員と並んで業務をエンドツーエンドで完結させる役割定義済みのスペシャリストとして位置づけられています。
CRM 領域ではリードの仕分け、見積生成、請求書紛争の解決、契約更新まで自律処理するAutonomous CRM が披露されていたようです。
なぜここまでAI エージェント時代の実行レイヤーを主張できるのでしょうか?
答えは、ServiceNow が過去22年間にわたって 企業の実際の業務がどう流れているか を構造化し続けてきたという積み重ねにありそうです。
承認フロー、エスカレーション、ビジネスルール、コンプライアンスロジック、CMDB(Configuration Management Database)など、同社のプラットフォーム上では年間1,000 億件以上のワークフローが動いているとされます。
同社President 兼CPO 兼COO のAmit Zavery 氏 はDay 2 のキーノートで
データだけでは事業は回らない。動かすのはアクションだ。
と語っており、このアクション を司る権利は、AI 時代においても簡単には模倣されにくい資産なのかもしれません。
いまAI エージェントを本番投入しようとした企業の多くが直面しているのは、 賢いエージェントを作るのは簡単だが、本番のエンタープライズ業務に統合し、監査可能・取消可能・権限管理可能な形で動かすのが難しいという壁です。
McDermott 氏が繰り返し言及したAI ブラインドスポット、つまり統制も監査もないままエージェントを増やしてしまう状態は、多くのCISO の悩みでもあります。NVIDIA CEO のJensen Huang 氏 はステージで
ServiceNow は本質的にAI エンタープライズオペレーティングシステムになりつつある
とコメントし、両社共同でProject Arc (NVIDIA OpenShell + ServiceNow Control Tower のデスクトップエージェント) を発表しました。
Microsoft とはAI Control Tower × Microsoft Agent 365 の統合を、Anthropic とはAction Fabric 経由でClaude エージェントをServiceNow ワークフローに繋ぎ込む仕組みを公表しています。
具体的なユーザー事例も提示されており、DocuSign はIT チケットの90% 自律解決 を目標として掲げ、Honeywell では サービスデスク会話の大半が消滅した と報告しています。
参考文献
ServiceNow brings Autonomous Workforce to every major business function - ServiceNow Newsroom
https://newsroom.servicenow.com/press-releases/details/2026/ServiceNow-brings-Autonomous-Workforce-to-every-major-business-function/default.aspxServiceNow just unveiled an AI workforce that can run your entire company - Fortune
https://fortune.com/2026/05/05/servicenow-knowledge-2026-autonomous-workforce-microsoft-nvidia-ai-announcements/ServiceNow Knowledge 2026 - From Workflows to an Autonomous Workforce - shashi.co
https://www.shashi.co/2026/05/servicenow-knowledge-2026-from.htmlServiceNow Knowledge 2026: Everything in a Nutshell - NowBen https://nowben.com/servicenow-knowledge-2026-everything-in-a-nutshell/
ServiceNow Knowledge 2026: AI Governance Takes Center Stage - Efficiently Connected
https://www.efficientlyconnected.com/servicenow-knowledge-2026-ai-governance-control-tower/Knowledge 2026: Welcome to Agentic Business - ServiceNow Blog https://www.servicenow.com/uk/blogs/2026/knowledge-2026-welcome-agentic-business
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