東京オリンピックが始まりましたね。開会式の米国でのTV視聴者数は、NBCの過去33年間で最も少ない1,670万人に留まったようです。2016年のリオオリンピックの開会式より37%減少、2012年のロンドンオリンピックより59%減少しました。この視聴者数には、Webサイトのストリーミングや携帯アプリで視聴した人数も含まれており、こちらはリオの時より72%も増加しているそうです。ここで式典の内容をどうのこうのと言うつもりはありませんが、明らかに人々の視聴スタイルが変わってきていることだけは確かです。オリンピックの放映権や広告費などの商業面のあり方については、再考するタイミングに来ているのではないでしょうか。
さて、ここでFacebookのマークザッカーバーグが、FBの未来について語るインタビュー記事(ポッドキャストはこちら)をご紹介したいと思います。
彼が目指すビジョンは「メタバース」を実現することです。メタバースとは、1992年に出版されたニール・スティーブンソンのSF小説「スノウ・クラッシュ」の中に登場する言葉で、物理的な現実、拡張現実、仮想現実がオンライン空間で融合された状態を意味します。2018年にスピルバーグによって映画化された「レディ・プレイヤー1」をご覧になった方もいるのではないでしょうか。現実と仮想空間が混在し、文化や経済、社会規範や価値観が新たに構築されたデジタル世界として描かれています。Epic GamesのFortnite、ROBLOX、どうぶつの森などが、メタバースの要素を持っていると言われます。ゲームの世界で自分のアバターが独自の世界を構築し、第三者との社会的繋がりや創作活動、そこで生み出された物を暗号通貨を使って売買したり、資産形成するような経済活動が既に行われています。最近では、Fortnite内で行われたトラヴィス・スコットのコンサートイベントに1,230万人も集客したことで話題になりました。
ザッカーバーグは、現在の2次元のソーシャルプラットフォームを3D空間にしていくことをイメージしています。FBは、VRヘッドセットのOculusを製造していますが、VRやARだけでなく、PCやモバイル端末などあらゆるものからアクセスでき、友達が遠隔地からテレポーテーションしてくるような感覚でホログラムで現れるような世界を作りたいと思っています。現在のOculusのVRヘッドセットは、まだ不恰好で重いということをザッカーバーグも認めています。普通のメガネにスーパコンピュータを搭載するような技術レベルが必要で、今後10年間の技術的な課題だと語っています。
まだSF的な話に聞こえるかも知れませんが、日々の技術変革やパンデミックによる価値観や環境の変化は、このメタバースの世界に一歩づつ近づいているようにも思えます。少なくともシリコンバレーの著名な起業家やエンジニアは、本気でSFの世界を実現しようとしています。
もう数年するとオリンピックは、仮想空間で視聴するもの、いやデジタル空間で競技しているかも知れません。
Alphabetは 産業用ロボットベンチャー「Intrinsic」を設立
Alphabet傘下の X(旧Google X)の「ムーンショット」と呼ばれる複数あるプロジェクトの中から独立することになった Intrinsic は、産業用ロボットをより安価で柔軟にプログラミングできるようにすることを目的に設立された。従来の産業用ロボットは、比較的簡単な作業でも何百時間ものハードコーディング作業が必要だったが、IntrinsicはAIのディープラーニングと強化学習を使用して、自ら試行錯誤して最適な作業方法を短時間で導き出す。これにより、1つのロボットが複数のタスクをこなしたり、複数のロボットの共同作業が可能になる。
CEOのブログでは、多くの商品製造が特定の国に依存しており、輸送時のCO2排出量問題や製造業における労働者不足の解決策として産業用ロボットの高度化を定義している。今まさに米国は「バイ・アメリカン」政策により、米国内での製造品を優先して製造業を復活させたいと考えており、絶好のタイミングでのスタートとなるだろう。産業用ロボットは、ファナックをはじめとした日本勢も強い分野だけに要注意ですね。
Google Cloud と Palo Alto Networks が IDS をクラウド化
Google Cloudは、クラウドネイティブな侵入検知システム「Cloud IDS」として、Palo Alto Networks の侵入検知機能(IDS)を採用すると発表。Palo Alto Networks のIDSは、次世代ファイアウォール「VMシリーズ」をベースに、セキュリティインテリジェンスチームの「Unit 42」が脅威分析や調査を実施し、既知または未知の脅威に対して異常検知を行う。この脅威分析エンジンは、1日あたり約15兆件のトランザクションを処理しているという。
また、Google Cloudのセキュリティ分析プラットフォームである「Chronicle」に昨年買収したLookerとBigQueryを統合することも発表。Cloud IDSは、このChronicleとの連携を予定してるが、当初はSplunk 、Exabeam、Devo、Palo Alto Networks XSOARなどの既存の SIEM(セキュリティ情報・イベント管理)や SOAR(セキュリティオーケストレーション・自動応答)と連携する。
さらに Autonomic Security Operations にて、企業のSOC(セキュリティオペレーションセンター)やMSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー)と連携してセキュリティ運用を支援。大手保険会社と提携して Risk Protection Program を提供するなど、全方位的にクラウドネイティブなセキュリティへのアプローチを実施する戦略のようだ。
MicrosoftがCloudKnoxを買収してゼロトラストセキュリティを強化
Microsoftのセキュリティ関連の買収が続いている。先週の脅威インテリジェンスのRiskIQを5億ドルで買収したのに続き、クラウドのID管理機能を提供するCIEM(クラウドインフラストラクチャ権限管理)のCloudKnoxの買収を発表。
CloudKnoxは、Azure Active Directory のクラウドIDとアクセスサービスを強化し、ハイブリッドまたはマルチクラウドの特権アクセスの可視性、監視、分析により、セキュリティ侵害の防止とコンプライアンス確保を支援します。Azure Active Directoryに加え、365 Defender、Azure Defender、Azure Sentinel などの他のクラウドセキュリティサービスとの統合も計画。
Microsoftは、1月の決算発表時点でセキュリティ事業が1年間で100億ドルを突破し、前年同期比で40%以上の売上増を示しており、急速に成長している。
ZoomがクラウドコールセンターのFive9を147億ドルで買収
Zoomは、クラウドコールセンター会社の Five9 を約147億ドルで買収する。Zoomは 2年前のIPOで約90億ドルで評価されていますが、それを上回る買収金額になる。Zoomはビデオ会議だけでなく、Zoom Phoneと合わせて240億ドルのコンタクトセンター市場に参入することになる。Five9の成長率がZoomよりも劣っていることもあり、買収発表後のZoomの株価は4%下落した。さて、今後どうなるでしょうか。
SugarCRMは カスタマーサービスにリアルタイム感情分析を利用
SugarCRMは、営業やサービス担当者と顧客とのやり取りを追跡し、必要なタイミングやチャネルで顧客情報にアクセスできるCRM(顧客関係管理)ソフトウェアを提供する。新たに自然言語処理(NLP)とAIを用いて、顧客の心理状態をスコアリングし、最適な対応をサポートする感情分析機能を追加した。顧客の意図する感情や状態を声のトーンやテキスト(チャットなど)などから感情分析を行うという。
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