Weekly newsletter #41
多くの企業が従業員にワクチン接種を義務化
感染力の高いデルタ株が猛威を奮っている中、ワクチン接種に対する考え方が少し変わってきたようです。現在の米国のワクチン接種率は 69.9%(18歳以上で1回以上)で、接種スピードは鈍化したままです。ワクチン接種をしない人の権利も尊重するという姿勢だったものが大きく崩れてきています。ワクチン接種を義務化すべきだという考え方を支持する人が64%に達しており、連邦政府は、企業が従業員に対してワクチン接種を要求することを合法だとし、連邦政府職員にはワクチン接種の証明を義務付ける方針を表明しました。
各企業の対応方針も明らかに変わってきており、雇用条件や取引先にもワクチン接種を求めるなど、ワクチン未接種の人々には厳しい対応が迫られています。
Google・・・オフィス出社にはワクチン接種が必要。在宅勤務を10/18まで延長
Facebook・・オフィスに出社する人は全てワクチン接種が必要
Netflix・・・作品のキャストや撮影に関わる全ての人にワクチン接種を要求
Walmart・・10/4までに全従業員のワクチン接種、新入社員も接種が条件
Morgan Stanley・・ワクチン未接種の社員と顧客は本社への立入り禁止
Washington Post・・オフィスに入る社員、契約者、ゲスト全てに接種証明を求める
Uber・・・オフィス出社にはワクチン接種、マスク着用が必要
Twitter・・社員にワクチン接種を義務付け。NYとサンフランシスコオフィスを閉鎖
Walt Disney・・米国内の社員と時間給社員、新入社員の全てワクチン接種を義務化
論争や規制にも関わらず、顔認証スタートアップへの投資が増加
顔認証システムは、プライバシー侵害の懸念から複数の州で公共の場の使用が規制されている。また、白人以外の人種の認識率の低さが問題となって、Black Lives Matter 以降、Amazon、IBM、Microsoftなどは顔認証システムの販売を停止している。しかし、顔認証への投資は2020年に6億2,200万ドルだったのに対し、2021年には半年で既に5億ドルを超えている。
そのうちの1社であるイスラエル発のAnyVisionは、ビジョンファンドなどから2億3,500万ドルを調達している。Paravisionは2,300万ドル、ClearviewAIは3,000万ドルを調達しているが、いずれも過去に何らか社会的な論争を生むような行為があった。また、多くの中国系の顔認証企業が、新疆ウイグル自治区への人権侵害問題に関連づけられて米国市場から排除されているため、それ以外の企業に投資が集まっている側面もあるようだ。顔認証技術の活用用途は広く、市場が大きいと言えども、倫理的な問題に加え、政治的な問題を解決していく必要性は避けられない。
二足歩行ロボットの「Cassie」は1回の充電で5Kmを走る
オレゴン州立大学で開発され、Agility Robotics社にて製造された二足歩行ロボット「Cassie」は、1回の充電で5Km、53分間走り続けることに成功。バイオメカニクスやロボット制御の専門知識に加え、深層強化学習アルゴリズムを使用して自ら走ることを学んだという。
オレゴン州立大学工学部のDynamic Robotics研究所では、かつて世界初の人間の歩行を再現したロボット「ATRIAS」やAgility Robtics社の人型ロボット「Digit」を生み出している。
Teslaがスーパーチャージャーを他社のEV車にも開放
Teslaは、今年後半には自社のスーパーチャージャーを他社のEV車でも利用可能にすると発表。欧州や中国では、標準化された充電コネクタを使用しているため、Teslaアプリを使うだけで充電が可能。しかし、北米では独自コネクタを使用しているため、他社のEV車にはアダプターが必要となる。
Teslaは、すでに世界中に約3,000カ所のステーションと約27,000個のコネクターを設置しており、他社との差別化を図っていたが、全てのEV車に開放することで、利用効率が高まり、コスト低減、収益性を高められると見られている。また、バイデン政権のインフラ投資政策の一環として、50万カ所の充電ステーションの建設が計画されており、補助金を獲得してネットワークをさらに広げるチャンスにもなりそうだ。
DeepGenomicsは、AIにより生物学を情報医薬品に変える
Deep Genomicsは、AI技術を新薬の発見や開発に至るあらゆる側面に適用させるスタートアップで、ビジョンファンドなどから1億8,000万ドルの資金調達をした。同社は、タンパク質を作るための命令を伝える分子であるRNAに焦点を当てており、「AI Workbench」と呼ぶ独自の技術を持つ。これは、ディープゲノミクス医薬品の開発プロセスをソフトウェアのバグを修正するためにパッチを当てることに例えている。遺伝子治療薬は、RNAと結合して細胞のタンパク質生成機構から問題部分を遮断するなどして、RNAの読み取り方法が変わることによって、突然変異の修正を行う。プログラムにパッチを当てるように重要なタンパク質の量を調整させるようなことが可能となる。
遺伝子治療薬の分野では、多くの競合が存在するが、同社の遺伝子パッチは恒久的な変化を与える治療法ではなく、深刻な問題が発生した場合には治療を中止して副作用を元に戻すことができるという。昨今注目されていたCRISPR編集による遺伝子治療は、CRISPRの特許がすでに10年経過しており、技術的にはコモディティ化が進んでおり、RNAを使った技術は、使用のたびに学習して機能向上されるため、その価値は時間の経過とともに増加するという。
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