Weekly newsletter #46
米国西部を中心に大規模な山火事が続いています。州都サクラメント近くのレイク・タホはリゾート地としても有名なのですが、今週、避難命令が発令され周辺道路が避難する車で埋め尽くされる姿がニュースで伝えられていました。本記事のトップにある写真は、レイク・タホから更に北東へ200マイル程離れたWinnemucca周辺のI-80を走行中の写真なのですが(夏休みに行ってきたYellowstoneの帰り道ですw)、灰で太陽光が遮られ昼間なのに辺りはオレンジ色となり、車の中にいても喉が痛くなる程に大気状況が悪く、地球では無い何処を、まるで火星でもドライブしているような感覚になりました。
私の住むベイエリアでは今の所それほど影響は無いのですが、それでも時折風向きが変わると灰で空が白んでしまい太陽が霞み、何となく匂いも感じる事があります。先週土曜は娘の学校で保護者同伴のイベントの予定だったのですが、エアコンディション悪化のため延期となってしまいました。気候変動は「待った無し」ですね、本当にそう感じます。
次期iPhoneで衛生通信が可能になる!?(コードネームはStewie)
早ければ来月にはリリースされるとされる次期iPhoneに衛星通信機能が加わる模様です。これによりユーザーは4Gや5Gが届かない僻地であっても通信が出来る様になるのですが、どうやらこの通信機能は当面、僻地で事故に遭ってしまったユーザに向けた、限定した利用シーンとなるようです。
「緊急テキストメッセージ」機能は救命隊等への通報機能なのですが、これはSMSやiMessageと並ぶ第3のプロトコルとして新たに実装され、既存メッセージアプリに統合されて提供されるようです。また同様の用途である「事故レポート」機能は、飛行機の墜落や船の沈没など、重大な緊急事態を報告するためのツールとなるようです。これらの機能はメディカルIDやアプリと連携して、年齢や身長・体重、ユーザー投薬状況(お薬手帳)などを医療隊に伝えることも可能であり、また事故に遭ったことを家族に通知することも出来るとのことです。Appleは自社での衛星通信網の構築を目指しているようなのですが、当面は既存のNWに頼るようでして、このニュースで衛星通信サービス大手のグローバルスター社の株価が64%も上昇しました。
アメリカの荒野をドライブしていると、「もしもここで車が故障したら我々はどうなってしまうんだろう。スマホも通じないし、、」と感じる事がよくあるのですが、このような機能はありがたいですね。
米司法省がGoogleの広告ビジネスに対し訴訟を検討か??
米司法省がGoogleのデジタル広告事業への調査を加速しているようで、年内にも法的アクションを起こしそうな気配です。司法省は、同社が通信事業者や電話メーカーとの独占契約で、デジタル広告の競合相手を不当に締め出していると考えているようです。(実際、GoogleはiPhoneのデフォルト検索エンジンをGoogleにするよう、Appleに年間150億ドルを支払っています。日本円で1兆6000億円超、凄すぎますね。。)また訴訟ではGoogleとFacebook との違法な取引も対象となるようでして、広告主とWebsite発行者とで行われる「広告スペース売買オンラインオークション」を両社が不当に介入したことが言及されるようです。Google は広告にはアマゾンやコムキャスト等の競合がいるとして独占状況にはない、 またFacebookとは競合していると反論しているようです。
この動きはバイデン政権が推し進める独占禁止法の積極的な施行スタイルに司法省が応じたものでもあり、巨大プラットフォーマーへの規制・解体への動きはまだまだ続きそうです。彼らのサービスは私たちの生活に欠かせないものとなりましたが、これらを縮小(解体)した先にどのようなInnovationが生まれるのか、私たちの生活がどう変わり得るのか、GoogleやFacebook に代わる物は何なんだろうと想像すると、何だかウキウキします。
Appleの課金ポリシーが変更か- アプリ会社独自で課金が可能に
独占禁止法に関連するトピックをもう1つ。Appleプラットフォーム上での課金ルールの変更がなされる見込みです。現在iPhoneアプリ上では、サインアップ時にAppleプラットフォーム外に誘導することが禁じられており、事実上、Appleの支払いシステムの強制使用がアプリ開発会社に課せられています。そしてApple課金プラットフォームを使う対価に売上の最大30%をアプリ開発者から徴収しています。これは流石に不当な介入でしょう、と日本の公正取引委員会より指摘されていまして、その指摘に答える形で今回の変更となったようです。ただこの変更はデジタルな雑誌・新聞・本・音楽・ビデオ等の購入、またはSubscriptionアプリを対象としており、これ迄に繰り広げるられている「Fortnite」メーカーのEpic Games Incが提起した反トラスト訴訟のケースには適応されないようです。
個人的には、SpotifyとかNetflixのような超有名なアプリであれば直接契約する事に不安を感じませんが、新しい系の無名なアプリの場合はAppleに入ってもらった方が安心感を感じてしまいます。エンジニアの私でさえそうなので、クリエータエコノミーが謳う仲買を排除する理想には、まだまだ遠いのかなと。理屈ではBlockchainで安全と解るのですが、、。
バイデン政権がTech系人材の確保を目的とした「U.S. Digital Corps」を設立
バイデン政権が有望で若いTech技術者の獲得に向けた「U.S. Digital Corp」を設立しました。このプログラムでは、コロナウイルス対策や経済復興、サイバーセキュリティ、政府サービスの合理化など、バイデン政権の主要課題に焦点を当てた2年間のフェローシップを通じて、キャリア初期の技術者に政府とのネットワーキング機会を提供するとのことです。実は政府機関でのダイバーシティはまだまだ課題があるようでして、働いている30歳未満の若者はたったの3%、女性は4分の1なのだそうです。ですので、この取り組みは有望な若者の獲得と同時にダーバーシティを広げたいと言う意図もあるようです。先ずは30名前後から初めるこの取り組みは、プログラム終了後はGSA(米国共通役務庁)やVeterans Affairsなどの5つの政府関連機関への配属が予定されているようです。
米国政府は常々有望な若者を採用したかったのですが、資金力があり高い給料を支払えるTech企業と競合していました。一方で、気候変動やサイバーセキュリティなどの国家課題に取り組みたいと考える若者も多いはずですので、これは上手い具合のマッチング施策になるのだと思います。気候変動などの超重要課題に備え、有望な若者を獲得するこのような取り組みは素晴らしいですね。きっと未来は明るいでしょう。
クールな舗装で気候変動に対抗する?!
最後に気候変動に関する話題をもう1つ。道路の舗装を工夫することで気候変動に対抗しようという試みをご紹介します。これはMITのコンクリート・サステナビリティ・ハブによる研究結果なのですが、道路の材料を変更する事で温暖化を緩めることが出来たようです。従来からある材料を使った道路では放射熱が空中温度が上げているというデータがあるですが、このCool Pavement(クール舗装)は太陽放射の反射率が高く熱の放出が少ない素材を使うことで、この放射熱を抑制出来たとのことです。ボストンとフェニックスでの実証実験では、それぞれ1.7°Cと2.1°Cの温度低下を、温室効果ガスにおいてはボストンで3%削減、フェニックスで6%削減したようです。
これは中々凄いな、直ぐにでも全ての道路をCool Pavementにすべきだ!、と感じたのですが、実際はそれ程単純では無いようです。と言うのも、このCool Pavementの戦略は、地域の気候・交通・建物構成に応じて検討する必要があるようでして、例えば、「夏のエアコン使用量は減るが、一方で冬は暖をとるために増加してしまう、地域全体で見ると増えてしまった。」このようなケースも想定されるので、 綿密な検討が必要となるようです。でも地域によって有効となるので、これはこれで素晴らしいですよね。
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