Weekly Newsletter #84
世界最大規模の週四日勤務トライアルが英国で始まる / 配車サービス大手のDidi Grobal(滴滴出行)がニューヨーク証券取引所からの上場廃止、それが意味するものは? / Microsoft HoloLensのリーダーがセクハラで辞任へ / 大規模な炭素除去工場がアイスランド稼働へ
ベイエリアは夏らしくなってきました。特に今週後半は38℃以上となる地域もあり、Heat advisory:猛暑警報が出されるほどでした。日差しが強いので帽子や日焼け止めは必須アイテムです。
今、私の住んでいるアパートのプールが改修工事の最中でして(決して高級アパートに住んでいる訳ではありません、ベイエリアでは至って普通なのです)、これ迄の工事の進捗率からすると夏前にプールが再開するのかが疑わしくなってきました。何なら自ら手伝いたいくらいですw
世界最大規模の週四日勤務トライアルが英国で始まる
イギリスで週四日勤務のトライアルが開始、異業種70社から3300人が参加する世界最大規模
トライアル中は、(生産性が変わらない限りは)これまで通りの報酬が確約される
これまで数カ国で週四日勤務トライアルが試されたが、生産性の低下は無く福利厚生向上に大きく寄与する結果であった
「生活の質・労働時間の短縮・成果」に寄与する働き方の提供が、企業の競争力に直結する時代に
イギリスで週四日勤務のトライアルが始まりました。金融サービスからレストランまで、異業種70社から3300人が参加する世界最大規模のトライアルとなります。このトライアル中、労働者は生産性が変わらない限りはこれまで通りの報酬が確約されています。実はこれまで、アイスランド・スペイン・スコットランドなどの複数の国で週四日勤務が試されていました。これらの結果はポジティブなものであり、生産性の低下は無く、従業員のメンタルヘルスや福利厚生に大きく寄与するものでありました。
今回のトライアルには、製造業などの一般的には従業員が休暇を取り難い業種からも参加社があったことは注目すべきでしょう。多くの企業は「生活の質・労働時間の短縮・成果」、これらにフォーカス出来る働き方を提供することが、自身の競争力に繋がると気づいたようです。
配車サービス大手のDidi Grobal(滴滴出行)がニューヨーク証券取引所から上場廃止、それが意味するものは?
配車サービスのDidi Grobal(滴滴出行)がニューヨーク証券取引での上場廃止を決定
その後、中国当局のセキュリティー調査が完了し、中国国内での新規ユーザ登録禁止が解除される
中国当局による、米国進出の中国系IT企業への取り締まり方針に注目が集まる
配車サービス大手のDidi Grobal(滴滴出行)がニューヨーク証券取引所からの上場廃止を決定しました。同社は昨年6月に米国で上場し、その直後に中国当局よりサイバーセキュリティーの監査を受け、結果、中国国内での新規ユーザ登録が禁止(アプリストアからの削除)が課せられていました。今回の上場廃止の発表後、中国当局のセキュリティー調査が完了し、中国国内での新規ユーザ登録禁止が解除されることとなりました。Didiと同様に、貨物アプリFull Truck Alliance・オンライン求人会社Kanzhunも、昨年度の米国上場後にセキュリティー監査が入りアプリストアからの削除が課せされていますが、中国当局は監査が終了しつつあるため、アプリストアに戻すことを許可するのようです。
Full Truck AllianceもDidiと同様に米国での上場を廃止し、香港での上場を目指しているとの記事もありました。一方で、この動きを中国当局の方針が変わったことの表れと受け取るところもあり(米国上場を廃止したから中国国内でのアプリが許された訳ではない、と受け取る記事もあり)、今後の成り行きに注目です。
MicrosoftHoloLensのリーダーがセクハラで辞任へ
マイクロソフト幹部でHoloLens開発者のアレックス・キップマンが辞任
同氏に対しては、セクハラや言葉の暴力に対する申し立てが複数あった
同氏がリードしていた拡張現実プロジェクトは仕切り直しとなるが、MicrosoftMeshなど、同社のメタバース注力は継続される模様
マイクロソフトの長年の幹部(トップテクニカルフェロー)であり、HoloLensの共同作成者であるアレックス・キップマンの退社が報じられました。同氏に対しては、セクハラや言葉の暴力など、複数の申し立てがあったとあり、この退社はハラスメント辞任と言えるようです。彼が率いていたHoloLens(拡張現実プロジェクト)は、ハードウェアチームは「Windows+ Devices」グループに参加し、プレゼンスとコラボレーションチームはMicrosoftTeams通信プラットフォームの組織に組み込まれまれるとあります。
HoloLensプロジェクトは、昨年度に米軍より獲得した220億ドルの契約に対する従業員からの反対活動や、HoloLensチームの多くが2021年に会社を辞め40人以上がMeta移籍したなど、ゴタゴタが絶えない印象もあります。一方で同社は複合現実通信プラットフォームであるMicrosoftMeshなど、デバイスに依存しないソフトウェアにも進出しており、メタバースに対するMicrosoftの本気度が伺えます。次世代インターネットとも呼ばれるメタバースに引き続き注目です。
大規模な炭素除去工場がアイスランドで稼働へ
アイスランド郊外で大規模な炭素除去工場が稼働
巨大なファンから空気を吸い込み、直接、CO2を取り込み、石に変える
現在のコストは1トンあたり600〜800ドル、2030年までに100〜150ドルを目指す
このプラントは年間4000トンのCO2を取り込むが、より大きな、100万トンクラスのプラントも計画されている
アイスランド郊外で大規模な炭素除去工場が稼働します。大型ファンから空気を吸い込み、CO2分子と結合するフィルターで取り込み、取り込んだ二酸化炭素を水と結合させ、そして玄武岩と反応させることで最終的には石となるそうです。この工場は毎年4000メートルトン(車の年間排出量の900台分)のCO2を回収します。また、このプラントより遥かに大きな工場も計画されており、年間100万トンのCO2を削減出来るプラントが米国南西部に建設予定です。スコットランドとノルウェーでも同様の取り組みが計画されており、年間50万トンから100万トンのCO2回収を目指しています。このプラントの中心企業であるClimeworksは、現在の炭素1トンあたり600ドルから800ドルのコストを約100ドルから150ドルに削減すると見積もっています。
仮に100ドルなれば、年間100万トン削減するプラントは1億ドルのコストとなります。多くの企業がカーボンオフセットを求めているので、よいビジネスモデルとなりそうな気がします。因みに、パリ協定で定めた「上昇を2℃未満に抑える」には数十億トンのCO2を削減する必要がありますので、100万トン規模のプラントが数千箇所で稼働するとWorkしますね。そのコストは数千億ドルですので、現実的な気がしてきました。
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