Weekly newsletter #9
12月に入って、最近は2020年を総括するようなニュース記事が多くなってきたような気がします。今週は Airbnb や DoorDash といった大型上場が話題になっていますが、これらのスタートアップへの投資を主導したベンチャキャピタル企業の多くは好成績で今年を締め括ろうとしています。パンデミック発生直後から、資金調達が難しくなると想定されたスタートアップは、軒並み潰れていくのではないかと悲惨な状況が予想されていました。しかし、予想は大きく外れたと言って良いのではないでしょうか。前代未聞の失業者数や生活に困窮する人達が溢れているにも関わらず、株式市場や投資状況は活況な状態が続いています。ワクチン接種が始まり、パンデミックが終息の方向に向かっていく中で、この不均衡な状態はどのように変わっていくのでしょうか。違和感や不安感を抱えたまま2020年の年末を迎えることになりますが、予測不能なこの世界、歴史に残るこの時代をもう少し前向きに捉えて楽しんでいきたいと思います。不謹慎かな?
セコイアキャピタルは「ブラックスワン」を警告したが、代わりに2020年は過去最高の年の1つとなる
FireEye がハッキングツールの盗難を明らかに
FireEyeは、レッドチームが脆弱性診断やペネトレーションテスト(侵入テスト)に使うハッキングツールを盗まれたことは発表。国家レベルの支援を受けた高度なハッキングだったと言い、ロシアの関与を示唆している。
オラクルもベイエリアを離脱して本社をテキサスに移転
先週にHP Enterprises社のテキサス移転のニュースに続いて、オラクルもテキサスへの移転が発表されました。数日前にはイーロンマスク個人もテキサスへ引っ越すことを表明しています。これらは、リモートワークが常態化したことに加え、税制上のメリットを享受することが最も大きな理由だと考えられます。バイデン政権下では連邦税の引き上げも囁かれているだけに、カリフォルニア州からの脱出はまだ続く可能性があります。
イーロン・マスクは、カリフォルニア州との数ヶ月に及ぶ戦いの末にテキサス州に引っ越した
https://www.businessinsider.com/tesla-ceo-elon-musk-confirms-move-to-texas-2020-12
ヒュンダイは、ソフトバンクから11億ドルでボストンダイナミクス社の経営権を取得
6月に販売開始した四足歩行ロボットの「Spot」、YouTubeでバク宙を披露したりする人間型の二足歩行ロボットの「Atlas」など、高度なロボット技術を持つボストンダイナミックス社。2018年にGoogleからソフトバンクが傘下に収めた時にはちょっと興奮したのだが、2年足らずで売却してしまうのは非常に残念だ。ソフトンバンクを投資会社だと捉えれば仕方なくもないが、もう少し日本の製造業と共に相乗効果を出すようなことを期待したかった。
https://www.theverge.com/2020/12/11/22167835/hyundai-boston-dynamics-aquisition-consumer-robotics
FTCと48州は Facebookを訴え、InstagramとWhatsAppを分離するよう強制する可能性があります
FTC(連邦取引委員会)と48州の検事総長連合が、12/10にそれぞれ反トラスト法訴訟を起こしました。訴訟はInstagramとWhatsAppに対して、反競争的な買収を行ったことが主な対象です。10月にもGoogleが検索・広告市場の独占行為で米司法省から反トラスト法で提訴されている。GAFAが次々と訴えられ、強制的な解体に至らなくとも、法廷闘争をしている間に全く新しいスタートアップが台頭してきて、新陳代謝が起こるなんてこともあり得なくもない。
Apteraの未来型三輪車は太陽光発電で走行します
太陽光発電だけで最大45マイル、電気モーターと組み合わせると最大1,000マイルを達成できます。テスラのモデルSの最長走行距離が402マイルなので、遥かにそれをしのぐ性能です。Aptera社は2011年に一度破綻していながも、今回クラウドファンディングにて資金調達をして復活を遂げているという点も非常に興味深いところです。
Uberはフライングタクシー部門をJobyに売却
Uberの空飛ぶタクシー事業を行うUber Elevate社をJoby Aviation社に売却する。売却と同時にJobyに投資する形で関係性を維持するようだ。Uberは、同様に電動自転車シェアリング事業のJumpを電動キックボード会社のLimeに出資する形で事業譲渡している。今週初めには、自動運転部門もAurora Innovation社に売却と投資を行っている。現在収益が出ない事業を一旦売却するも完全に手放すのではなく、同時に売却相手に出資をする形で関係性を維持するしたたかな戦略がうかがえる。