Weekly Newsletter#109
イーロン・マスク - 半年後には脳に直接チップを埋め込む / AIの学習データを使い果たしてしまう? / Snap - 週四日のオフィス勤務を要請 / AWS re:Inventのトピック - 企業間データ共有・サプライチェーンの見える化
今週のベイエリアは雨降りの日が多く、肌寒い日が続きました。この雨は水不足にはありがたいことなのですが、普段、雨が降らないベイエリアですので、あちらこちらで大きな水たまり(ちょっとした池のようなものも)が出来上がっていました。このような光景を見ると、日本の道路システムは優れているなぁ、と感じますw
イーロン・マスク - 半年後には脳に直接チップを埋め込む
脳インプラントベンチャーのニューラリンクが、最新情報をアップデート
脳インプラントで、盲者の視力回復や、脊髄損傷者の全身機能の回復、が可能とのこと
半年後には人体実験が開始予定、イーロン・マスク氏自身も導入予定
イーロン・マスクが率い、脳インプラント技術を研究する健康技術ベンチャーのニューラリンクが、今週のイベントで最新情報を発表しました。同社の脳インプラントで、生まれつき目の見えない人の視力を回復することや、脊髄の損傷で体が動かない人の「全身機能」を回復させることが出来る、との発表でした。また、同社は人体試験に必要なほとんどの書類を FDA に提出済みであり、6ヶ月後には人体実験を開始出来る見込みであり、イーロン・マスク氏は準備が整えば自身にインストールつもりであると述べました。2016年に設立されたニューラリンクは、人間の脳を(神経信号を解析する)コンピューターに接続する「ブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)」の開発に取り組んでおり、今回の発表ケースの他に、人間の思考でロボットやスマホを操作することや自閉症や統合失調症が解決出来るとも述べています。
冒頭のYoutubeは脳インプラントしたサルが思考でピンポンゲームをしている様子です。同社の技術には懐疑的な意見もあるようですが、確かにブレイクスルーを感じますね。
AIの学習データを使い果たしてしまう?
大規模言語モデルで利用される訓練データを、2026年には使い果たしてしまう可能性がある
従来の高品質データ(書籍やニュースサイトなど)だけでなく、低品質データ(SNSなど)の活用が期待される
GPT3に代表される大規模言語モデルはAI研究で最もホットな分野であり、優れ記事やプログラミングコードさえも作成出来るようになりました。この技術に派生し、画像や動画を作成する「生成型AI」も多く登場しています。優れた言語モデルを作るには膨大なデータを必要であり、現在は主にWikipediaやニュース記事、化学論文、書籍などのテキストを使用してモデルをトレーニングしているのですが、そのAI訓練データが将来的には不足するのでは、早ければ2026年には使い果たすのでは、との懸念を研究者達が指摘しています。AIの訓練データには高品質と低品質の2つのカテゴリーがあり、現在の大規模言語モデルは高品質データを使っています。一方の低品質は、SNSに代表されるWebサイトのコメントなどであり、高品質データより数では遥かに上回っています。研究者たちは、この低品質モデルを如何に活用出来るか、また高品質データの寿命を如何に延ばすか(通常は一回だけ使用している)、これらの研究を始めています。
訓練データを使い果たてしまう、の発想はなかったですね。AIが訓練データを作り出すSynthetic dataの分やが再注目されそうです。
Snap - 週四日のオフィス勤務を要請
SNS大手のSnapが週四日のオフィス勤務を命じる
同社のビジネスは今季第3四半期が史上最低を記録、苦境に立たされている
「一緒に過ごすことが、パフォーマンスの最大化、全体の成功に導く」とCEOが発信
SNS大手のSnapが、従業員に2月から少なくとも80%の時間をオフィスで働くよう求めました。同社は8 月に従業員の約 20% を解雇し、また不動産の大幅な削減など、可能な限り多くの経費削減を進めてきましたが、広告費の減少と競争の激化もあり、今季第3四半期の売上が史上最低となりました。同社CEOは「直接一緒に過ごす時間を増やすことで、私たちの可能性を最大限に発揮できると信じている。私たち一人一人が個人の利便性のために犠牲にするかもしれないものは、私たちの全体的な成功という点で刈り取ることができると信じています。」と述べ、このポリシー変更への理解を求めました。
テック業界はオフィスバックする企業とリモートワークを継続する企業に分かれていますが、双方がどうなるのか、注目です。
AWS re:Inventのトピック - 企業間データ共有・サプライチェーンの見える化
AWS re:inventにて多くの新機能が発表
企業間のデータ共有ソリューションが発表、企業がデータをセキュアに共有出来る
サプライチェーン管理ソリューションも発表される
先週開催されたAWS re:Inventで新サービスが発表されましたが、個人的に気になったトピックをご紹介します。1つは企業間でデータを安全に共有出来るようにするAWS Clean Roomsです。これにより、例えば、「顧客のロイヤリティデータを持つ企業」と「ユーザーが広告をクリックする行動に関するデータを持つ企業」とが協力することで、ユーザーの生の識別データを共有することなく(安全に)、ユーザー行動の新たな洞察を生み出すことが出来る、とのことでした。このデータ共有モデルはSnowflakeなどが先行していますが、AWSの参入で市場は激化するでしょう。
もう1つはサプライチェーン管理ソリューションです。パンデミックやウクライナ戦争で、世界はサプライチェーン問題を抱えていますが、組み込みのコネクタを介して既存ERPに接続することで、サプライヤー、在庫、ロジスティクスなど、サプライ チェーンの統一されたビューを提供するとのことです。
AWSはやっぱり凄いですね。
実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。