Weekly Newsletter#126
ChatGTPが作ったAIアバターを街に放って起きた事柄 / 生成型AIの競争が激化(AWSが生成型AIに参入、DatabricksもDolly 2.0を公開 / セコイアなどの米国VC、中国系AI企業への投資が明らかに / AIの顔認識で脳卒中を発見する
あっと言う間に4月も中頃となりました。4月は出会いと別れの季節ですが、我々のオフィスにも、1名が日本へ帰任、そして1名が日本から新たにやって来ました。コロナも明け、少し環境が変わり、新しい風を感じるのもいいものですね。
ChatGTPが作ったAIアバターを街に放って起きた事柄
ChatGPTが生成したアバターを仮想の街に解き放ち、アバター達を観察する実験が行われた
各AIアバターは、会話したり、恋愛したりと、独立した社会活動を行った
この結果は、生成型AIのChatbot意外の利用、汎用AIへの「小さな一歩」になる
スタンフォード大学とGoogleの研究チームが、大規模言語モデル(ChatGPTの元になったGPT3.5)を用いて作成したAIアバターを仮想の街に解き放ち、その後、各AIアバターがどのような行動を取るかの実験を行いました。この研究は、様々な性格特徴を持つ25のAIアバターを作成し、寮や学校、公園、カフェ、バー、住宅、店舗などがある「スモールビル」と呼ばれる仮想の街で、各AIアバターがどのように相互作用するかを観察したものです。その結果は、各アバターが「個人的で独立した社会行動をとった」とのことです。具体的には、あるAIアバターたちは来るべく次の選挙について話し合あったり、バレンタインデー・パーティを企画したり、そのパーティにカフェで出会った友人や自発的に招待したり、パーティー会場を飾りつけしたり、片思いを寄せている彼にパーティに誘ったりと、各AIアバターはその仮想の街で各々生きているように見えたとのことです。
この結果は、生成型AIが今のChatbotを超えてどのように使え得るかのヒントになる、所謂、汎用AIの実現に向けた「小さな一歩」なるとと研究者は見ているようです。
生成型AIの競争が激化(AWSが生成型AIに参入、DatabricksもDolly 2.0を公開
AWSが生成型AIに参入
顧客はAPIを経由して複数のAIモデルにアクセスし、自社のビジネスに組み込むことができる
DatabricksもDolly 2.0をリリース、商用利用できなかった前Versionの制限を解除
AWSが、生成型AIのビジネス組み込みの支援プログラムの計画を発表しました。Amazon Bedrockと呼ばれる新サービスでは、Amazonが開発したモデルTitanの他、AI21 Labs、Anthropic、Stability AI などのモデルが利用可能であり、顧客はAPIを通してテキストと画像のトレーニング済み基本モデルにアクセスし、また、基本モデルをカスタマイズできるようになるとのことです。また、スタートアップのDatabricksは、先月リリースしたDollyと呼ばれる大規模言語モデルのVersion 2をリリースしました。Dolly Version 1はトレーニングにChatGPTのデータを利用していたことから、OpenAIの条項に抵触するため商用利用が出来ないという問題があったのですが、このDolly 2.0ではそれを回避していることもあり、注目されています。
優れたモデルから自社モデルのチューニングを始められるこのようなモデルは、今後ますます流行りそうですね。OpenAI、Google、AWS、Databricksなどの新興企業と、この市場は活況です。
セコイアなどの米国VC、中国系AI企業への投資が明らかに
米国VC、機関投資家からの、中国系AIスタートアップへの投資が活発化
中国政府の検閲から、モデル作成に必要なデータが不足するのでは、との見方もあり
チップに加え、AIが新たな火種となるか・・
世界第2位のベンチャー・キャピタル市場である中国にも、ChatGPTが引き起こした生成型AIの波が押し寄せています。セコイアなどのVCや機関投資家たちの中国系AI企業への投資が活発となっています。米国政府は地政学的ライバルである中国に資するとして、半導体やAIへの投資に警戒感を強めてはいるのですが、現状、多額の資金が中国のAIスタートアップに流れている状況です。例を挙げると、セコイア・チャイナは、中国のAI開発者トップと言われるYang氏が設立したRecurrent AIへの、90億ドルの資金調達をリードしたと言われています。このYang氏はGoogleとMeta Platformsの AIラボで働いてた経歴もあり、この資金調達は色々な意味で注目されました。一方で、中国の厳格な検閲でインターネットコンテンツが制限されている中でAIモデルを開発する必要があるため、これらの中国系AI企業は西側モデルの能力に匹敵するデータを取得できないのではないか、との疑問・コメントも挙がっているようです。
いずれにしても、米国・中国間のバトルはAIにも派生してきそうです。
AIの顔認識で脳卒中を発見する
医療分野でのAI顔認識の利用が再注目されている
表情を分析することでの、脳卒中患者の発見が期待される
米国のジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが、特定の顔面筋肉の麻痺や異常な眼球移動などの特徴を認識する、画像解析アルゴリズムの開発を進めています。これは、不安神経症や偏頭痛だけでなく、脳の損傷を発見することで脳卒中の発見にも繋がるのでは、と期待されているようです。実験では、既に医師によって脳卒中と診断された40人の患者を含む数点のビデオをAIが解析し、70%の精度で正しい診断ができた、とあります。また、フロリダのバイオテクノロジー企業であるFDNAは、顔認識を使用して、幼児の稀な遺伝的状態(顔の特徴に関連する 1,500 の状態、または症候群のいずれかを示しているかどうかについて)を判定するFace2Geneというサービスを開始しています。
この画像解析の他にも、Metaによるタンパク質分子構造データベース作成、AIによる製薬プロセスの革新など、医療分野でのAI利用は益々加速しそうですね。
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実はポッドキャストも細々とやっています、試しに聞いてみてください。