Weekly Newsletter #204
CESで浮き彫りになる米中の分断 / TikTokの裁判は最高裁までもつれ込むか? / AIスタートアップのAnthropicが600億ドル相当の資金を調達
みなさんコーヒーはお好きですか?私はいうと毎朝必ず最初に飲むのがコーヒーというほど欠かせない飲み物です。日本にいた時は、『珈琲焙煎処 縁の木』でいつも豆を購入していました。シリコンバレーに住むようになってからも色々な焙煎所を試しています。
先日、フラッと立ち寄ったMoonwake Coffee Roastersがとても美味しかったのでご紹介。こちらは焙煎所が併設されていて、毎週火曜日に焙煎されたての豆が店頭に並びます。すごく人気なので週末に行くとすべての豆が売り切れていることもしばしば。確実に入手するには水曜日に出向く必要があります!
ちなみにドリップコーヒー(英語ではPouroverと言います)を店内で召し上がることもできるのですが、なんと1杯 10ドルちかく(1500円ぐらい)します。日本と比べるととても高く感じますが、シリコンバレーにお越しの際はお立ち寄りいただいてはいかがでしょうか。
CESで浮き彫りになる米中の分断
次期トランプ政権の実現が本格化する中で、アメリカと中国の分断が強まっているように感じます。
先週ラスベガスで開催されたCESには非常に多くの方々が世界中から参加されました。その中でも中国の存在感は大きかったものの、少なくない中国人が米国のビザを却下されたとのことです。
また、CESに参加した中国企業の中にはアメリカにルーツがあることを強調したり、製造拠点を中国以外に移していたりする企業も増えているようです。
例えばネットワークルーターを製造するTP-Linkは、本社はカリフォルニアにあることを強調し、TP-Linkの製造は中国ではなくベトナムで全製品を自社製造しているため、他の製品よりも安全だと強調。
CESに出展した別の中国企業、アモイ・ビエナトーン・メディカル・テクノロジーは、売上の80%をアメリカに依存しているということもあり、ミネソタ州に流通・修理センターを設立。その理由として、修理のために製品を製造国である中国に送ることを避けるためと説明しています。
アメリカのAIを使う中国企業
AIについてもアメリカと中国の分断はあきらかです。実際、アメリカで開発されたAIモデルの中には中国で利用することが規制当局の承認を受けられていないものもあります。中国企業のテス・ギフトはChatGPTを利用する上で中国の規制を回避するためにルーマニアに子会社を設立し、同社の創業者テス・ラン氏はChatGPTを利用する理由としては、「(中国のAIモデルが)提供する回答は政治的な影響を受けており、客観性や正確性に欠けるため」と述べています。
アメリカと中国の競争はハードウェア、ソフトウェア、AIにいたるまで様々なかたちで激化してきていると感じます。個人的には中国人のご近所や友人も多いので、アメリカに住んでいても分断しているという感じではないのですが、そこは個人でのつきあいと政治的なものが異なるというところなのでしょうね。
TikTokの裁判は最高裁までもつれ込むか?
米中の対立という観点からはTikTokの動向も見逃せません。先週は多くのメディアでTikTokがアメリカで禁止されるのか否かについて報道していました。TikTokが親会社であるバイトダンスとの関係を断ち切らないとアプリの禁止措置が取られる可能性があり、そうなるとアップルおよびグーグルはそれぞれのアプリストアからTikTokを削除しなければならなくなります。
既存のユーザーが継続して利用できるのか、アメリカ国内からのアクセスも禁止されるのかについてはどうやら意見が分かれているようです。(調べたかぎり、継続してアプリが利用できると言っているものと、既存のユーザーも動画の視聴ができなくなると言っているもの両方が見つかりました)
こうした動きに合わせてイーロン・マスクがTikTokを買収する可能性があるといった噂も沸き起こっています。
なお、バイトダンスはTikTokの他にも動画編集ソフトCapCutも所有していますが、こちらもアメリカの法律で禁止されてしまうのでしょうか? TikTokがファーウェイ同様、米中の分断の象徴になってしまうのか。結論は(早ければ)今月中に出るでしょう。
AIスタートアップのAnthropicが600億ドル相当の資金を調達
最後は分断ネタから離れましてAIスタートアップの話をします。以前こちらのニュースレターでAnthropicの評価額が400億ドルに引き上げられる可能性があるという記事を半年前(2024年9月)に取り上げました。今度はさらにそこから1.5倍の600億ドルの評価額となる20億ドルの資金調達に向けて交渉を進めています。600億ドルの評価額はSpaceX、OpenAI、Stripe、Databricksに続いて5番目に価値の高いスタートアップになるとのことです。
AnthropicはAmazon、Googleと密接に活動していることで有名で、実際Anthropicにおける開発はAmazonおよびGoogleのクラウド上で行われており、両社ともにAnthropicに多額の投資をしています。特にAmazonは昨年11月にも40億ドルを投資してAnthropicにはすでに合計80億ドルもの金額を注ぎ込んでいます。
一方、AnthropicのライバルOpenAIは、Microsoftと親密であることで知られていて、現在の評価額はなんと1,570億ドル。
どちらもまさにAIバブルといった様相で、Anthropicの売り上げ見込み約8億7500万ドルに対して、600億ドルという評価額がつけば、年間売上高の68倍以上の価値がつくことになります。このバブルは2025年も続くのか、泡となってはじけるのか、いずれにしてもAIに対する話題は本年も継続されることは間違いなさそうです。
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