Weekly Newsletter #205
米国、TemuとAmazonが利用する貿易の「抜け穴」を制限 / Amazonがドローン配送プロジェクトを一時停止 / バイデン政権のAIチップに関する最後の動き
アメリカで子供の誕生日パーティーをするときの定番中の定番は、Chuck E. Cheese (チャッキーチーズ)です。ゲームセンターが併設されているレストランでして、中には誕生日パーティー用の席がいくつも用意されていて、同時に複数の子供たちのパーティーが開催されています。
(誕生日パーティー以外でも利用可能です)
アメリカ人のパパ友に聞いてみたところ、彼が子供の時からあるそうで、昔から定番だったそう。
店内のゲームは店舗によってかなり異なります。今回伺ったお店はシューティングゲームやレースゲームが多めでした。他の店舗ですと乗り物が充実していたり、プリクラのように写真が撮れたりといった機械が置いてありました。
私も童心に帰ってインベーダーゲームを子供たちと一緒に楽しみました。他にもジュラシックパークやゾンビを倒すシューティングゲームも楽しそうだったのですが、息子は怖がって遊ぼうとせず、、、今後の伸び代に期待することにしました(がんばれ、我が子よ)
今週はどのニュースでもTikTokのBan(禁止措置)のことばかり取り上げられていまして、その他のニュースを探すことが難しいほどでした。先週のニュースレターでTikTokの件はお伝えしましたので、今週は別のものをピックアップしたいと思います!ちなみにTikTokはアメリカ国内は一時的に使えなくなり、その後1日ほどで回復しました。アクセスすると以下の画面が出現してトランプ大統領次第なんですってメッセージがでており、回復後はありがとうトランプ大統領って書かれていました。
関連リンク:
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米国、TemuとAmazonが利用する貿易の「抜け穴」を制限
ShienやTemuといったEコマースサイトをご利用されたかたも多いかと思います。アメリカでも大変人気でAmazon同様多くの方が利用しています。人気の理由の一つが商品価格が異常に安いことが挙げられますが、今後は一部制限されることになりそうです。
アメリカにはデミニマスと呼ばれる貿易規定があり、800ドル以下の個人輸入品には関税や税金が免除されることになっています。ShienやTemuといったEコマースサイトは国外から個人に送られる荷物を対象とすることで、この規定を利用することができます。このような輸入品の数は急増しており、2024年には、1日あたり400万個の免税品が処理されており、これは2023年の1日あたり280万個から増加していると米国税関・国境警備局は発表しています。
さらなる抜け道
アメリカの関税法では、アメリカに輸入した商品であっても、国外に再輸出する場合は関税を支払う必要はありません。そこから、アメリカの個人宛てに個別の荷物として送ることができてしまいます。そのためアメリカからメキシコやカナダの倉庫に輸入品を送ることで関税を回避する販売業社も増えています。
アメリカ政府の対応
こうした状況を制限するべく、米国税関・国境警備局は商品に特定の関税が課される場合、企業が800ドル以下の小包を輸入することを禁じる規則を提案しました。つまり、これまで関税を回避してきた販売業者は今後関税を支払わなければならないことになります。なお、この影響を受けるのはShienやTemuといった中国企業だけでなく、Amazonも同様です。Amazonは昨年11月、「Amazon Haul」をアメリカ国内で開始しましたが、こちらもShienやTemuと同様の手法をとって関税や税金を回避しているとされているからです。11月に立ち上げたばかりのサービスですが今後の対応にも要注目です。
なお、1月20日に次期トランプ政権が誕生します。そのため、上記の行政措置の規則が修正または撤回される可能性も十分あります。ただ、中国やその他の国々に関する関税にはおおむね賛成の立場を示していることから、行政措置は施行される見通しのようです。
個人的にはShienやTemuを利用したことはないですが、価格を調べてみると驚くほどの低価格です。Amazonで購入するよりも半額以下で購入できるものも多く、実際どのように低価格を実現しているのかずっと不思議に思っていました。今回紹介した行政措置によって低価格ではなくなってしまうのか気になるところです。
Amazonがドローン配送プロジェクトを一時停止
空飛ぶ配送の夢の実現にはもう少し時間がかかりそうです。
Amazonが最新モデルのドローン2機の墜落事故を受けて、商業用ドローンによる配送をすべて一時停止することを決めました。MK30型という最新モデルではあったものの小雨に関連するソフトウェアの問題があり、墜落してしまったそうです。
事故が起きたのはアメリカ オレゴン州でしたが、テキサス州やアリゾナ州で実施していた配達も停止し、ソフトウェアの問題解決に取り組むとのことです。
一方、ヨーロッパではイタリアとイギリスでのドローン配送サービスを準備しており、2030年には世界で5億個の荷物を配達するという目標が立てられています。
Amazonのドローンが墜落事故を起こしたのは今回が初めてではありません。2021年にも5件の事故が発生しました。何度もこうした事故を起こしながらもハードウェアを更新し、ソフトウェアの問題を解決しながら挑戦し続ける姿勢は見習いたいものです。先週のニュースレターでは自動運転を取り上げましたが、こうしたモビリティの世界はまだまだ発展の余地があり、今後の期待も高まりますね。
バイデン政権のAIチップに関する最後の動き
1月20日に次期トランプ政権が誕生し、バイデンからトランプに大統領が変わります。この土壇場の最後の週になって、バイデン政権がAIチップに関する新たな輸出規制を発表しました。 この規制は、中国のAI開発を遅らせ、アメリカ政府の管理を強化することを目的としていると報じられています。
ところが、MicrosoftやAmazonなどのAI/クラウドを代表する企業は、この規則に反対の立場を表明しています。この新たな規則が、特定の国において、これらの企業やその顧客がアクセスできるAIチップの数を制限することにつながるからです。この規則の目的は、最大のAIデータセンターをアメリカ国内に構築させることにあります。そのため、クラウドプロバイダーやAI開発者がアメリカ以外の場所に大規模な施設を建設したい場合は、特別なライセンスを申請する必要があり、AIチップの少なくとも50%をアメリカに、さらに25%以上を第一級同盟国(Tier 1)に保管することに同意しなければなりません。
このように規制が厳しくなりすぎるとアメリカではなく中国のようなライバル国の代替技術の使用を促してしまう恐れがあるとのことです。OpenAIの最高グローバル問題責任者クリス・リーハンもこうした懸念を指摘しており、おそらくOpenAIもこの規制に反対するとみられています。
この規則はまだ施行されておらず、120日間の意見公募期間を経て最終決定される予定です。そしてお伝えしたとおり20日にはドナルド・トランプが大統領に就任します。新政権がこの規則を維持するかどうかは不明です。トランプ氏のチームが商務省を引き継ぐことで、この規則が今後1~2週間のうちにどのような方向に向かうのかが明らかになるでしょう。
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