Weekly Newsletter #211
AIの進化がもたらすヒューマノイドの未来 / NVIDIAに対抗するAI半導体スタートアップ / Databricksがサンフランシスコに10億ドル以上を投資
こんにちはMarvinです。米国は3月9日日曜日に夏時間に切り替わりました。いよいよカリフォルニア州の快適な気持ちの良い季節が来るのだと感じさせてくれます。
米国のDaylight Saving Time(夏時間, DST)の起源は、第一次世界大戦中の1918年にエネルギー節約策として導入されました。その後、一時廃止や地域ごとのバラバラな運用を経て、1966年の「統一時間法(Uniform Time Act)」 により全国的な適用ルールが制定されました。現在は3月第2日曜から11月第1日曜までが夏時間の期間と定められています。
しかし、近年では「廃止」の議論が活発になっており、2022年には「Sunshine Protection Act」(夏時間を恒久化する法案)が上院で可決されましたが、下院で採決されずに廃案となりました。国民、企業の間でも意見は分かれているようですが、個人的には、夕方まで明るい時間が確保できるのは、一日をお得に使える感じがして良いと思うんだけどなぁー・・・と、そんなことをつぶやきながら、窓を開けて心地よい日差しを感じつつ、今週の記事を書いています。
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AIの進化がもたらすヒューマノイドの未来
AI進化でヒューマノイドが急成長:対話や動作制御が飛躍的に向上し、介護や家庭向け活用が進む。
先端企業が市場をリード:TeslaやFigureが2025年以降の本格導入を目指し、量産化を進行中。
課題と今後の展望:コスト・技術・法律面の課題を克服し、2030年以降の家庭普及が期待される。
近年、AI技術の発展に伴い、対話型のヒューマノイドロボットが大きく進化しています。特に自然言語処理(NLP)では大規模言語モデルの導入により、人間と自然な会話が可能になりました。
米国のスタートアップのFigure社は2025年2月、視覚と言語とロボット動作を統合した新たなAIモデル「Helix」を発表しました。
ロボットというと倉庫や製造の現場で利用されるシーンを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、これは人間の音声指示を理解し、初めて見る物体でも即座に掴み、2体のロボットが協調して動くことを可能にしています。従来はロボットに新しい動作を教えるのに専門的プログラミングや多数の訓練データが必要でしたが、Helixにより事前学習なしに言葉でロボットに新技能を習得させることが現実味を帯びています。これらの技術的進展により、介護施設で高齢者と会話し見守るロボットや、家庭で日常雑談に応じて孤独感を和らげる、健康データを管理し服薬を促すなど、活躍の場を広げようとしているようです。
その他、米国テキサス大学発のスタートアップ Apptronik社や、Tesla社、カナダ Sanctuary AI社、などが、汎用人型ロボットを開発しており、今後の発展が期待される一方で、ヒューマノイド開発には莫大な研究開発費が必要で、スタートアップ単独による資金の確保、ヒューマノイドの社会実装に向けた法規制や倫理の整備がハードルとなっています。
NVIDIAに対抗するAI半導体スタートアップ
AI推論向け半導体の資金調達が活発化し巨額投資が続く
中東・ソフトバンクなどが新興企業を支援し市場拡大
NVIDIA支配に対抗し差別化戦略(省電力・高速処理)を強化
昨今のAIブームを背景にNVIDIAの独占状態に挑む半導体スタートアップが続々と台頭しています。NVIDIAはGPUによるAI計算で市場シェア約8割を占め、時価総額も2024年末に約3.3兆ドルと急騰しました。しかし、ChatGPT登場以降の需要拡大でコスト高や単一サプライヤ依存への懸念が強まり、マイクロソフトやMeta、OpenAIなど大手各社が社内開発や外部スタートアップのチップ導入を模索しています。この流れを受け、各スタートアップは差別化技術や巨額資金調達を武器にNVIDIAへの挑戦を加速しています。以下、その一部をご紹介します。
巨額資金調達で競争加速
Groq(米) – 2025年2月、サウジ政府系ファンドから15億ドルの投資コミットメントを獲得。超高速推論を強みに、Microsoftクラウドとも提携。
Tenstorrent(米) – 2024年12月、Samsung証券・LGエレクトロニクスなどから7億ドルの資金調達。RISC-Vベースのオープンアーキテクチャで、データセンターや自動車向けに展開。
消費電力の削減や大規模並列処理の最適化
Cerebras(米) – AI訓練向けのウェハースケールチップ「WSE-3」で、中国・中東市場へ進出。従来のGPUクラスタを1チップで代替可能と主張。
Mythic(米) – アナログ計算を活用した低消費電力AIチップ「M2000」シリーズを開発。エッジデバイス向けに、電力効率とコスト競争力を強化。
エッヂ市場向け
Hailo(イスラエル) – ジェネレーティブAI対応のエッジチップ「Hailo-10」を発表。ローカルPCや車載システムでクラウド不要のAI推論を実現。
今後、推論用チップは需要が飛躍すると予測され、各社が狙う市場も訓練一辺倒から推論ニーズへとシフトすると予想されています。さらに地政学リスクや輸出規制により、中国をはじめとする巨大市場でNVIDIAが十分供給できない場合の代替需要が生まれるとも想定され、さらに技術革新のスピードが速い分野だけに数年先には想像もつかないプレーヤーが台頭しているかもしれません。
Databricksがサンフランシスコに10億ドル以上を投資
新本社リースとAIサミット継続でダウンタウンを活性化。
AIサミット、当初は移転検討も市長の尽力でSF開催継続が決定。
620億ドルの評価も、Databricksは赤字。AIブームへの期待とリスクが混在。
クラウドベースのAIプラットフォーム企業であるDatabricksは、最近の100億ドルの資金調達ラウンドを経て、One Sansomeに15万平方フィートのリース契約を締結し、年間カンファレンスを今後5年間サンフランシスコで開催することを約束しました。
この発表に至るまでには紆余曲折があり、Databricksは当初、カンファレンスの開催地をラスベガスへ移す可能性を検討をしていました。しかし、サンフランシスコ市長 Daniel Lurie の働きかけにより、同市での継続開催が決まり、2024年の『Data + AI Summit』は2万人規模でしたが、2030年までには5万人規模に拡大すると見込まれているようです。
現在、Databricksは評価額620億ドル に達していますが、2024年には4億ドルの赤字 を計上しており、依然として黒字化には至っていません。一方で、サンフランシスコの不況が懸念される中、AIブームが市の経済活性化につながる可能性も期待されており、この投資がどのような効果をもたらすのか気になるところです。
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