Weekly Newsletter #212
次の公民権を得るガジェットはなんだ!? / カリフォルニアはワインだけじゃない!科学で造るウイスキーの世界 / 45年で増加した『Atmospheric River』が示す気候変動のリアル
ヒンヤリとした冬の空気から、気持ちのいい春の香りを感じられる日が増えてきました。ただ、この時期は花粉症の人々にとって、つらい季節の始まりでもあります。日本だけでなく、米国でも地域によってピークシーズンや原因となる植物は異なりますが、花粉症に悩まされる方は多くいらっしゃいます。
私も花粉症に悩まされている一人ではありますが、毎年この季節になると、鼻はまるで水道の蛇口のように止めどなく流れ、目は砂漠の砂嵐に巻き込まれたかのごとくかゆみと戦っています。英語では「My nose is running.」と言いますが、鼻が走るとは、どこへ向かっているのでしょうか。
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次の公民権を得るガジェットはなんだ!?
スマートフォンやスマートウォッチがすっかり公民権を得た後、新たなガジェットとして注目されていた『AI Pin』の開発元であるHumaneを、HPが2025年2月に買収すると発表しました。HumaneはApple出身のスタッフが立ち上げたスタートアップで、画面を持たず衣服に留めて使うバッジ型のAIデバイスを開発していました。小型プロジェクターを内蔵し、音声アシスタントやAIを通じて情報を提供することをコンセプトとしており、2023年末に同社の製品が正式発表された際には大きな話題を呼びました。ただ、初期ロットのレビューでは音声認識の精度や投影ディスプレイの使い勝手など課題が多く、発表時の高い期待に対して、ユーザーの評価はかなり厳しいものだったと記憶しています。
このAI Pinと並んで当時話題を集めていたのが『Rabbit R1』です。こちらの企業は現存しており、先日下記のサイトにて取り上げられていました。新たなAIエージェントのデモを公開し、Androidアプリを操作する様子を披露しました。
この新しい「汎用Androidエージェント」は、LAM Playground(汎用ウェブエージェント)の進化版で、実際にAndroidタブレット上でアプリを操作します。ただし、R1デバイス自体は一切使用されず、ラップトップ上のプロンプトボックスに入力した指示がタブレットで実行される形になっています。Rabbitは、今後「クロスプラットフォームのマルチエージェントシステム」についてさらに詳細を発表すると予告しています。
前置きが長くなりましたが、要は、「おぉーーー!」と世の人々を感嘆させるようなガジェットがでてくるのを期待しているんだーって、この想いをお伝えしたかったんです。
カリフォルニアはワインだけじゃない!科学で造るウイスキーの世界
カリフォルニア州へ訪れる方の多くが、その目的として『ワイン』を挙げるのではないでしょうか。実際、カリフォルニア州は世界的に有名なワインの名産地の一つであり、ナパバレーやソノマをはじめ、多数のワイン産地が広がっています。特にナパには数百ものワイナリーが点在し、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなどが高く評価されています。
しかし今日ご紹介するのは、そんなカリフォルニア州のワインではなく、『ウイスキー』で有名なスタートアップ企業のお話です。
Endless West(エンドレス・ウエスト) は、、革新的な技術でウイスキーやワインなどのアルコール飲料を生産している注目のスタートアップ企業です。従来の醸造や熟成プロセスに依存せず、最新の科学技術を駆使した独自のアプローチが話題を呼んでいます。
記事の日付の通り、最近設立されたスタートアップではなく、Endless Westは2016年に設立され、2021年・2022年と大型の資金調達を成功させ、順調に成長を続けています。また、SIP Awardsをはじめとした国際的な酒類コンテストでも2023年~2024年に高評価を得ており、その品質は業界内でも確かな評価を築きつつあります。
もしサンフランシスコを訪れる機会があれば、ぜひその革新的な味わいを体験してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、私は一切アルコールが飲めません・・・。
45年で増加した『Atmospheric River』が示す気候変動のリアル
最後はローカルなニュースを。近年の研究で、カリフォルニアなどで発生する「Atmospheric River」は、過去45年間で頻度と強度が増加していると言われています。
1980年以降、これらの種の嵐の発生頻度は2%から6%増加し、それらが浸水させる平均的な面積も最大9%拡大していると言われています。この変化は、気候変動と関連している可能性が指摘され、研究の主著者であるノースカロライナ大学の大気科学者、レクシー・ヘニー氏は、研究では直接的な原因を特定していないものの、これらの研究結果は「温暖化する大気中でAtmospheric Riverがどのように変化するかといういくつかの予想と大まかに一致する」と述べています。
2023年初頭には、かつて存在したトゥーレア湖が、一連の強烈な大気リバーによる降雨によって再出現しました。この現象は、近年におけるAtmospheric Riverの強度を示す一例と言えます。日本でも過去に無い大雨が頻繁に発生しており、これらも気候変動と深く関係していると考えられています。Atmospheric Riverの影響は太平洋を挟んで日本にも及び、地球規模の気候変動の現実を改めて感じさせます。
今回は取り上げなかったけれど面白かったニュース