Weekly newsletter #22
2月17日の夜にカリフォルニアで発生した2人の死亡事件とその後の出来事は、インターネットで話題になり、警察による取り締まりのきっかけとなりました。最近、カリフォルニアではアジア系アメリカ人の高齢者が襲われる事件が多発しています。コロナウイルスが中国から広まったと考える人々が、人種差別的な行為を行っているのです。サンフランシスコからほど近いオークランドのチャイナタウンでは、高齢者が後ろから押し倒されて死亡。また、2人の若者に暴力を振るわれた人もいました。これらは無関係な出来事ですが、アメリカではアジア人に対する外国人恐怖症が増えていることを示しています。人種差別は今に始まったことではありませんが、ここ数年でより顕著に、そして明白になってきています。
今アメリカではアジア系住民に対して人種偏見によるヘイトクライムが増加し、多くの暴力事件が発生しています。しかし、今回お伝えしたいのは、上記の文章がGPT-3で作成されたものだということです。GPT-3とは、OpenAI が開発した自然言語処理(NLP)のAIモデルで、非常な自然な文章生成を実現してくれるのです。以前に前バージョンのGPT-2と翻訳機能のDeep-Lを組み合わせて、お手製の日本語文章作成システムを同僚エンジニアが作ってくれました。
今回は、お手製ではなく、Copy.ai というスタートアップが正式にサービスとして提供しているもので、1週間のフリートライアルを使って作成してみました。多言語にも対応しており、なんと日本語で入力/出力が可能です。Blog Intro ツールを使って、下記のようにBlogのタイトルと書き出しに必要な最低限の情報を入力しました。そして、Create ボタンをクリックすると数秒で文章の候補が複数提示されます。一番トップに表示された文章を上記に採用しましたが、いかがでしょうか?
文章としては、あまり違和感はないと思います。しかし、“2月17日の夜に発生した事件”は、今年に発生した事件ではないように思われます。この日付で最近の関連報道を探しても、それらしいものが見つかりません。恐らく数年前に起こった事件を参照しているものだと想像されます。“2人の若者に暴力を振るわれた人も・・” というのもいつ発生したものかは分かりません。アジア系住民に対するヘイトクライムは最近始まったものではなく、何十年前から存在していたものなので、GPT-3で生成した文章は間違ってはいないのですが、正確性には少し欠けるかもしれません。時制を絞ったり、適切なキーワードをインプットするなどの工夫がもう少し必要かもしれません。
そして、GPT-3はインターネット上の膨大なテキストを利用して学習しています。インターネット上には、虚偽や誹謗中傷、偏見を伴う情報がたくさん含まれていることから、この言語モデルはバイアス(偏り)が大きく、危険視する学者もいます。今はまだ手放しでAIを信じて、盲目的に利用するという訳にはいかないかもしれないですが、それも時間が解決する問題なのでしょうか。いずれにしろ、我々はこれらの新しいテクノロジーを積極的に利用し、自ら判断し、取捨選択する必要性があるということは間違いありません。皆さんも是非 Copy.ai を試してみてください。
Copy.aiのAI利用記事作成システムは「使える」レベルの驚異的な出来
Facebookは「ニューラルリストバンド」のプロトタイプを披露
Facebookが買収したCTRL-Labsの技術を使ったリストバンドは、筋肉で発生する微弱な電気を検出し、細かい指の動きなどを捕らえて、仮想空間上で正確に再現することができます。物理的なキーボードがなくともタイピングが出来たりする訳ですが、特に新しく触覚フィードバックが追加されているという点が気になります。タイピングした際などの微妙な感触って大事ですからね。まだリリース時期などは発表されていませんが、ゲームだけでなく応用範囲が広がることに期待したいです。
Amazonは今年の夏、オンデマンド医療サービス「Amazon Care」を全米に拡大します
Amazon Careは元々130万人にも上る従業員向けの医療サービスとして提供されていました。アプリを介してライブチャットやビデオで医師や看護師が診察をし、対面ケアが必要な場合は専門医が自宅に派遣され、処方箋が配達されたりもします。これが他の企業へのサービスとしても利用可能になります。既に自社で実績を積み上げてきたサービスだけに他社への展開も混乱なく実現可能なのでしょう。
Amazon、Google、Microsoft が独自チップを設計している理由
ハイパースケーラーと呼ばれるクラウドプロバイダーは、クラウドビジネスの拡大に伴い、コンピュータチップを購入するのではなく自ら設計することを追求し始めています。AWSはEC2では、Graviton Processor というArmベースのカスタムプロセッサーを提供しており、従来のものと比較して最大40%優れた価格性能を発揮しているという。これらの背景には、パフォーマンス性能だけでなく、拡大するデータセンターの省電力化も大きく関わっている。カーボンクレジットを購入して温室効果ガスの排出量を相殺するだけでなく、膨大な量のチップの省電力化を図るのもかなり重要なポイントになってきているようだ。
Google, Microsoft, Qualcomm がNVIDIAのArm買収に抗議
カリフォルニアに世界初の3Dプリンターで作られた住宅コミュニティが誕生します
Mighty Buildingsは、ロボットと3Dプリンターを使用してカリフォルニア州に1,500万ドルの住宅コミュニティを構築する。3Dプリンターを使用した工法は、建築廃棄物を99%削減でき、工程も短いため建築コストは40%安価になると言う。電力はソーラパネルとテスラのパワーウォールバッテリーを採用する。いつかこういう住宅がスタンダードになっていくのでしょうか。
https://www.businessinsider.com/mighty-buildings-3d-printing-community-homes-california-2021-3
Rivianは2023年末までに1万台以上のEV充電スタンドを設置する
Amazonが支援する電気自動車を開発するRivianは、急速充電可能な充電スタンドを全米に1万台以上設置する。Teslaが2万を超えるスーパーチャージャーの独自ネットワークを構築したのと同じようなアプローチです。今後、電気自動車の更なる普及にはこのようなインフラ整備が絶対的に必要となりますが、日本はどうなってるんでしょう?
https://techcrunch.com/2021/03/18/rivian-to-install-more-than-10000-ev-chargers-by-end-of-2023/