Weekly newsletter #25
昨年、2020年のカリフォルニア州の森林火災における焼失面積は420万エーカー(東京都の6倍以上の面積)で過去最大の被害となりました。9月には写真(上)のように火災の煙や灰の影響で、ベイエリア一帯の空がオレンジ色に染まりました。なぜ今この話を持ち出すかと言うと、冬の時期は本来雨季なので、雨の日がそれなりに多いのですが、今年はほとんど雨が降っておらず、カリフォルニアの観測史上3番目に乾燥した雨季だったのです。さらに、カリフォルニアが使う水の 3分の2 を供給するというシエラネバダ山脈の積雪量が過去平均値の59%程度しかないという低い記録を観測しています。つまり、2021年も夏から秋にかけて大きな森林火災の被害に見舞われるかもしれないと言うことです。
今週カリフォルニア州知事は、火災を防止するための予算として、5億3600万ドルを支出する計画を発表しました。森林火災のリスクを下げるための植生管理(伐採、間伐、野焼きなど)や火災予防のための補助金、労働力の訓練にも投資し、約1,400人の消防士を新たに雇用するとのことです。
森林火災をセンサーを活用して検知する「Gridware」や気象情報や過去の火災データから機械学習を使って消防活動を支援する「Cornea」など、テクノロジーを活用して災害対策に挑むスタートアップも複数存在します。カリフォルニアの森林火災だけでなく、気候変動に伴う災害は今後ますます増える可能性があり、バイデン政権が推進する気候変動対策には、より多くのテクノロジー企業が尽力していく必要があるでしょう。
カリフォルニアの山火事と戦うために5億3600万ドルの計画を発表しました
Microsoftは、サーバーを冷却のために液体の中に沈めます
Microsoftは、データーセンターにあるサーバーを特殊な液体の中に沈めて冷却し、プロセッサの過熱による障害を防ぐと共に、冷却効率を高めて消費電力を削減させます。この液体は電子機器に無害で、沸点が華氏120度(摂氏50度)、沸騰して気化した液体は冷却タンクに集められ、再度液体に戻ってサーバを浸す。この循環ループの稼働には電力は不要で、従来の空冷式と比べると5〜15%の消費電力が削減できる。
https://news.microsoft.com/innovation-stories/datacenter-liquid-cooling/
暗号通貨は「CryptoClimateAccord」によりネットゼロを目指す
暗号通貨のマイニングによって消費される電力は膨大で、ビットコインだけで128テラワットで、世界の電力生産量の0.6%、ノルウェイ一国の電力消費量を超えるほどだ。「CryptoClimateAccord」は、これらの消費電力を全て再生可能エネルギーに移行することを目指す民間の業界団体による協定です。ビットコインのマイニングの大部分は中国に集中していると言われます。経済制裁を受けているイランでもマイニングが急増しています。このような背景を踏まえると暗号通貨に関わる全ての人々を同協定に参加させ、目標を達成することはかなり険しい道のりかもしれません。
ビットコインの電力消費量はグーグルの10倍 環境への影響は?(日本語記事)
https://www.theverge.com/2021/4/8/22373524/cryptocurrency-climate-accord-bitcoin-carbon-footprint
バイデンは、全米国民がブロードバンド接続できるように1,000億ドルの計画を推進しています
バイデン大統領は、ブロードバンドインターネットサービスを全ての米国民に手頃な価格で利用できるようにすることを計画しています。米国では、2,100〜4,200万人がブロードバンドインターネットにアクセス出来ていないと言われます。この数字は意外に聞こえるかもしれませんが、国土の広い米国では人口の少ない郊外の小さな町などへ光ファイバーを張り巡らせるには潤沢な資金が必要という訳です。公益事業と民間プロバイダーが競合しないようにすることも重要な課題であり、ケーブルプロバイダーの多くはこの政策に賛成の意向を示していないようです。
Verizonとホンダは、5Gとエッジコンピューティングにて運転をより安全にする
Verizonとホンダは、5Gとエッジコンピューティングを用いて、車と歩行者、インフラ間の通信を高速化する方法を研究し、衝突や危険を回避して安全を向上させることを目的としています。ホンダが開発した「Safe Swarm AI」を活用し、車両同士または他の道路利用者との通信を確立させ、位置、速度、車両センサーデータを共有して、ドライバーが検知するより前に車両がリスクを検知できるようになります。
Elon Musk のNeuralinkは、猿が脳に搭載したデバイスでゲームをする様子を公表
Neuralinkは、猿の脳にインプラントされたデバイスを使ってゲームをする様子を公開しました。最初はジョイスティックを使ってゲームする時の脳の活動が記録・分析され、次にジョイスティックがない状態で、脳の活動を読み取った脳内デバイスを介して正しくゲームがプレイされている様子が見れます。脳内でイメージした通りにゲームをコントロールしています。体に麻痺のある患者が考えただけでコンピュータをコントロールできるようになったり、様々な恩恵が受けられると期待されており、人間での治験が早く始まることを期待したいです。