Weekly Newsletter #94
画像生成AIのDALL-Eを試してみました / オラクルが中国政府のTikTok介入を監視 / 中国の大手テック企業、アリババとByteDanceがアルゴリズムを政府に共有 / 米中チップ戦争の次の主戦場はソフトウェア?! / アマゾン(AWS)とMicrosoft - 石油・ガス会社とのプロジェクトへのスタンスは?
https://labs.openai.com/s/Qv30fxNNP2DTn697v9DKV7eq
以前にこのNewsletterでご紹介した、文章から画像を生成するAIの「DALL-E」を試すことが出来ました。「An impressionist oil painting of misunderstood Japanese culture(誤解された日本文化を描いた抽象派の油絵)」というお題をDALL-Eにインプットしてみたところ、冒頭の画像が生成されました。日本的な木造建築の前に着物(笹笠も被っていますね)を着た女性と、2名の若い男女が話している様子に見えます。男性は青い上下のスーツに赤いネクタイをしていて、なんだか車掌さんのようにも見えます。日本的な田舎の情景と、着物姿の女性、スーツを着た男性と、確かに日本文化を誤解してるようです。サムライが丸の内に出勤する姿を作ってくるのかと想像していたのですが、ちょっと違いましたw
オラクルが中国政府のTikTok介入を監視
オラクルが中国政府の介入を検査すべくTikTokのアルゴリズムのモニタリングを開始
アルゴリズムが期待したコンテンツを生成するか(不当に規制していないか)をチェック
クラウド市場で苦戦するオラクルの思惑もあるか・・
オラクルが中国政府からのTikTokへの介入兆候の監視を始めました。これは、TikTokのアルゴリズムとコとンテンツモデレーション・モデルを監視することで、TikTokが中国当局からの干渉を受けていないことを米国議員に示すための取り組みのようです。TikTokは以前、天安門事件、チベット独立、禁止された宗教団体の法輪功などに言及したビデオを検閲するよう、コンテンツモデレーターに指示を出していたことがあり、このような動きが中国当局からの介入の一例と捉えられていました。今回のオラクルによる取り組みにでは、TikTokの現在のアルゴリズムがコンテンツをどのように表示するかを監視し、「結果が期待に沿ったものであること(コンテンツが操作されていないこと)」を確認しているとのことです。
プライバシー懸念と国家セキュリティーリスクから、今年6月より米国ユーザーのデータは全て米国内のオラクルクラウドに保存されるようになりました。今回の取り組みは、より具体的なアクションをオラクルが取る事でTikTokへの批判を回避する目的が第一ですが、オラクルはビックユーザであるTikTokをケアすることでクラウド市場でのプレゼンスを底上げしたい、との思惑も見え隠れします。
中国の大手テック企業、アリババとByteDanceがアルゴリズムを政府に共有
アリババとByteDanceがユーザーデータの収集に使うアルゴリズムを中国当局に開示
ユーザーデータ・プライバシーへの規制から開示に至った
中国当局内での、このアルゴリズムの取り扱いに注目が集まる
アリババとByteDanceが自社のアルゴリズムを中国当局に共有しました。これは、ユーザーデータとプライバシー保護から生まれた新たな規制への対応として、ユーザーデータの収集に利用されるアルゴリズムを、中国当局への開示・共有するに至ったようです。これらのアルゴリズムは、ユーザー毎の「お勧めの製品・サービス」や「お勧めビデオ」の選定に使われるので、アリババやByteDanceにとっては企業の命運を左右する極秘データとなりますが、中国当局の厳しい要求に直面し、開示に至った模様です。
目的はユーザープライバシーの保護ですが、仮に中国当局がこれらのアルゴリズムを使うような事になると、また大きな事柄となりそうです。
米中チップ戦争の次の主戦場はソフトウェア?!
米国当局がチップ設計ソフト(EDA)の輸出制限を発令
中国へのチップ製造機輸出制限に続く処置であり、中国包囲網が強化される形に
しかしソフトウェア故に完全な取り締まりは難しいか(海賊版を利用)
チップ製造の能力は国力に大きく寄与することから、現在、米中でチップ戦争が発生しています。このNewsletterでも度々ご紹介していますが、米国は様々な規制をかけ、中国チップメーカの締め出しを行っています。今回の記事は、EDA(電子設計自動化)ソフトウェアの規制に関わるものです。今週、米国商務省が中国を含む複数の国に対する、EDAの輸出制限を発令しました。このEDAは、今日の半導体エコシステムの3角形(①TSMCのようなファウンドリー、②ARMのような設計会社、③今回のEDA)の一角であり、EDAが無いとチップの製造が著しく困難となります。またEDAはシェアの70%が西側諸国の企業(2つがアメリカ、1つがドイツ)であるため、中国にとり大きな打撃となる可能性があります。しかし、今回の規制はチップ製造機器のようなハードではなくソフトウェアへの規制であるので、海賊版の利用など、抜け道があるのではとも言われているようです。
なり振り構わずな米国当局の規制ですが、今後の成り行きに注目です。
アマゾン(AWS)とMicrosoft - 石油・ガス会社とのプロジェクトへのスタンスは?
アマゾン(AWS)とMicrosoft、炭素排出削減を掲げながらも石油会社への技術提供を継続、これがダブルスタンダードと批判を受ける
Googleは2年前に技術提供を停止、この開いたスロットに2社が入っていた
2社はSDGsな取り組みを石油会社と行っているが、その効果は未だ相対的に弱い
アマゾンもMicrosoftも、どちらも炭素排出量削減に向けた長期目標を掲げています。アマゾンは 2040 年までに事業から温室効果ガスを排除することを約束し、マイクロソフトは 2030 年までに排出量よりも多くの二酸化炭素を大気から除去することを誓約しています。しかし一方で、エクソンやシェブロンなどの石油会社の油田データの分析や、掘削作業の効率化の支援も行なっており、これがダブルスタンダードであると避難されています。つまり、石油会社へのテクノロジー支援が旧世代エネルギーからの移行を阻害している、というわけです。両社はこれらの非難に対してコメントしており、Microsoftはシェブロンとともに農業廃棄物を燃料に変換するプロジェクトに取り組んんでいたり、AWSは石油会社のメタン漏れの特定に役立っていると言い、石油会社をより効率的にすることが、SDGs(持続可能性)に繋がるのだと言います。
どちらも具体的な数値として結果が出ているものでもないので、ちょっと苦しい言い訳にも聞こえていまいます。一方で、Googleは従業員の反対から、2年前より石油会社へのAI提供を中止しています。この時に、AWSとMicorosoftはGoogleからこのビジネスを受け継いだので、簡単に辞めますとは言えないのかもしれません。
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