Weekly newsletter #21
この写真(上)のコラージュが、クリスティーズのオークションハウスで6,900万ドル(約70億円)で落札されました。正直、凡人の私には理解し難いですが、なぜコピー可能な(単なる)319MBのjpegファイルが、70億円もの値がつくのか? アートとはそういうものだと言われればそれまですが、値段のあまりの大きさに驚きを隠せません。このデジタルファイルは、先日ご紹介した「NBA TOP SHOT」 というNBAのベストショット映像をコレクター取引するサービスでも用いられていたNFT(Non Fungible Token:代替不可能なトークン)が添付され、その所有権を証明できるというものです。ブロックチェーン技術により正当な所有権が主張でき、再販可能な資産と考えれば、芸術的価値だけでなく新たな投資資産として保有する人達が増えてくるというのも不思議ではありません。インターネット上では音楽や映像などが簡単にコピーされ、著作権保護が不十分な部分もありましたが、ストリーミングやサブスクリプションという新しい形のビジネスモデルが生まれました。今度は、NFTによって作品の権利や所在を証明することが出来るようになり、オリジナルの価値が担保されることで、新たな資産化やマネタイズのモデルが形成されつつあるということなのでしょう。
最近では「クリエーターエコノミー」という言葉も生まれてきているように、様々なデジタルプラットフォームを使って、有名なアーティストだけでなく、個人が自らの能力や作品をブランディングしてマネタイズしていく経済圏が出来てきています。このデジタルアートの高値が象徴するように、価値のマネタイズ化に注目が集まっているのは事実です。そして、それを可能にするテクノロジーの出現こそが新たな価値を生み出しているとも言えます。引き続き、ブロックチェーン技術には注目していきたいと思います。
ということで、私もこの機会にiPadで絵でも書いて一攫千金を狙ってみますかねw
BeepleはNFTを6900万ドルで販売しました
配送ロボットはペンシルベニア州では「歩行者」扱いになりました
ペンシルベニア州の州法で、自律型の配送ロボットは「歩行者」と扱われることになりました。自律配送ロボットは歩道では時速12マイル、車道では時速25マイルで移動可能。カリフォルニア州では、安全性を考慮して試験運用を除いてはまだ許可されていませんが、複数の州で規制が緩和されつつあります。街中でロボットが動き回る光景が当たり前になる日はそう遠くはないようです。
Teslaはテキサスの電力網に「メガバッテリー」を構築しています
テキサス州は先般の大寒波の影響で停電が続き、独立した電力網の問題が露呈しました。風力や太陽光で発電した余剰電力を蓄えるためのバッテリー技術は非常に重要になってきており、テスラのバッテリー事業は、いずれ自動車事業と同規模以上になるとも言われています。カリフォルニア州に建設中のテスラのメガパック・プロジェクトは世界最大規模になる予定です。
最近、イーロンマスクがテキサス州に移住したことは知られていますが、テスラの最新車両を生産する工場も建設中ですし、SpaceXの大型ロケット「Starship」の離発着試験をしているのもテキサス州南端のボカチカという湾岸地区でした。色んな意味でテキサス州からはしばらく目が離せませんね。
量子コンピューティングのスタートアップ「IonQ」がSPAC上場を計画
IonQは、量子コンピューティングで商業化を目指すスタートアップで、NY証券取引所にSPAC(特別買収会社)上場を申請しています。商用化はもう少し先という印象の量子コンピューターですがSPACとはいえ上場するとなると注目が集まります。2023年には過冷却不要で室温で稼働する小型のデバイスを完成させる計画です。現在すでにAzureやAWS (Amazon Braket) でも量子コンピューターへの接続サービスが提供されていますが、このIonQの初期のデバイスが提供されているとのことです。
Dropboxがドキュメント共有スタートアップDocSendを買収
Dropboxがドキュメントを安全に共有、追跡可能にするDocSendを1億6500ドルで買収。リモートワークが当たり前になり、あらゆるものがデジタル化される中で、この買収は自然な流れだと感じられます。日本でも印鑑がなくなりつつあるが、アメリカにおけるサインも電子署名という形でデジタル化が進んでいます。ドキュメントの認証、閲覧コントロールはこれまで以上に重要性を増していくかもしれません。
https://venturebeat.com/2021/03/09/dropbox-to-acquire-document-sharing-platform-docsend-for-165m/
Amazonは、手のひら認識支払い利用の店舗を拡大します
手のひらの表面積や静脈パターンなどで認証を行う「Amazon One」を採用した Amazon go などの実店舗が12店舗に拡大。スマホのアプリをかざすだけで買い物ができる時代から、スマホも要らないまさに手ぶらで買い物が出来る時代になりつつあります。アメリカでは、顔認証がプライバシーの観点から敬遠される傾向にありますが、手のひら認証の場合は顔と比べて個人特定が難しく、心理的な抵抗感も低いため、これは意外に普及するかもしれませんね。