Weekly Newsletter #218
AIが“仮想社員”に? Anthropic社CISOが警鐘/OpenAI、Chrome買収に興味? – Google裁判で意外な発言/ イーロン・マスクのxAI、史上2番目の大型資金調達へ
サンフランシスコの遠景(O-DAN)
皆さんおはようございます!
来週はいよいよ、サンフランシスコで世界最大級のセキュリティカンファレンス RSA Conference 2025 が開幕します。日本からご参加予定のお客様も多くいらっしゃると伺っており、私たちネットワンUSAメンバーも現地でアテンドの準備を着々と進めています。
ちなみにサンフランシスコ市内の様子ですが、先週末は冬に逆戻りしたかのような冷たい風が吹き、一時は真冬のコートを引っ張り出したくなる寒さでした。ただ、天気予報によれば来週に向けて徐々に春らしい暖かさが戻ってくる見込みとのことです。RSA期間中は比較的過ごしやすい陽気になりそうなので、どうぞご安心ください。
一方で、ダウンタウン周辺では、一時期は減少傾向にあったホームレスの方々の数がまた増えつつあり、エリアによっては治安面で注意が必要な状況も見受けられます。特に夜間の外出や人気の少ない通りはなるべく避け、タクシーやライドシェアの利用をおすすめします。
道中はくれぐれもお気をつけて、そしてRSAではぜひ充実した滞在をお楽しみください!
それでは今週も、シリコンバレー発の注目ニュースをお届けします。
先週のニュースレターを見逃した方はこちら
Weekly Newsletter #217:“すべての仕事”を自動化?物議を醸す新興企業/データセンター直結の原発電力、規制当局が待った/ NVIDIA、米国初のAIチップ生産へ大規模投資
AIが“仮想社員”に? Anthropic社CISOが警鐘
Photo:O-DAN
🌏今週のニュースのポイントを3行で
Anthropic社CISO「来年にはAIの“仮想社員”が社内ネットワークを動き回り始めるかもしれない」
仮想社員は自分専用のアカウントや記憶を持ち、現在の自動化エージェントよりはるかに高い自律性を持つ
企業はこのAI社員に備え、サイバーセキュリティ戦略を見直す必要があると専門家が警鐘
Anthropic社のCISOの話では、なんと来年にはAIが「仮想社員」として社内ネットワークを動き回るかもしれないそうです 。例えばフィッシング対策ではすでに自律エージェントが働いていますが、それを一歩進めたAI社員は自分の「記憶」や役割、そして社内アカウントとパスワードまで持ち、人間の従業員のように振る舞う存在になるとのこと 。
便利そうですが、セキュリティ担当にとっては頭の痛い話です。もしAI社員が暴走して社内の重要システムに侵入しちゃったら、一体誰の責任になるのか・・(人なら即懲戒ものですがAIでは?)
AnthropicのCISOは、企業はこうしたAIに備えてセキュリティ戦略を見直す必要があると警鐘を鳴らしています 。Anthropic自身も自社の大規模言語モデルClaudeを外部攻撃に耐えられるようテストしたり、安全性の監視を強化したりと対策中とのこと 。SF映画さながらの光景が、本当に現実のオフィスで見られる日も近いかもしれませんね。
OpenAI、Chrome買収に興味? – Google裁判で意外な発言
🌏今週のニュースのポイントを3行で
Googleの反トラスト訴訟にて、OpenAIがChromeブラウザの買収に興味を示す発言
裁判ではGoogleにChrome売却や検索インデックス開放などの是正措置案が浮上
Chromeを得たOpenAIはChatGPTをブラウザに統合し、一気に莫大なユーザー基盤を得る可能性
米国で進行中のGoogleに対する反トラスト裁判で、意外な名前が飛び出しました。OpenAIのプロダクト責任者が「もしGoogleがChromeブラウザを手放すなら、OpenAIが買いたい」と法廷で述べたのです 。Googleは検索独占で違法と判断されており、その是正措置としてChromeの分離や検索インデックスの共有などが検討されています 。そんな中で出たこの発言。現在ChromeではGeminiによる回答が検索結果に表示されていますが、これが将来、ChatGPTに置き換わる日が来るのでしょうか。
Chromeを手に入れれば、OpenAIは一夜にして莫大なユーザー基盤を獲得し、ブラウザ体験にChatGPTを組み込めるわけです 。それだけChromeのユーザー規模は大きいということですね。ただ、独禁問題を解決したはずが今度はAI企業がブラウザを独占?なんて新たな課題も生まれかねません 。もちろん現時点では「もしも」の話ですが、法廷の場でこんな構想が語られるとは驚きです。本当にChromeが「ChatGPTブラウザ」になる未来が来たら面白いですね。
イーロン・マスクのxAI、史上2番目の大型資金調達へ
🌏今週のニュースのポイントを3行で
イーロン・マスク氏のxAIが約200億ドルの資金調達交渉中。評価額は約1200億ドル規模
実現すれば史上2番目の大型ラウンド(最大は先月OpenAIの400億ドル調達)
調達資金はX社(旧Twitter)の約200億ドル負債の圧縮にも充てられる見通し
イーロン・マスク氏が率いるAI企業「xAI」が超大型の資金調達を計画しているようです 。xAIは昨年マスク氏が設立した新興AI企業で、SNS大手X(旧Twitter)との統合も視野に入れているようです。その額、なんと200億ドル(約2兆7千億円)とも言われ、実現すればスタートアップ史上2番目の巨額調達とのこと。
ちなみに過去最大は先月OpenAIが実施した400億ドル(約5.4兆円)の調達です 。桁違いですね・・!
報道によればxAIの評価額はX社との事業を合わせて約1200億ドルに達し 、集めた資金はX(旧Twitter)の巨額な買収借入金の返済にも充てられそうです 。実際、X社は買収時の債務で利払いだけでも月2億ドル(約250億円)ものコストがかかっているとか 。それにしてもマスク氏の周辺には相変わらず巨額の投資マネーが集まりますね。AIブームの勢いもありますが、こんな超大型資金がポンと集まるあたり、改めてマスク氏の影響力の大きさを感じます。この調達でxAIとXの連携が進むと、どんな新サービスが生まれるのか注目ですね。
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