Weekly Newsletter #219
OpenAI元CTOが挑む、人間のためのカスタマイズ可能なAI / ベイエリアのバイオテック企業、UnityとPliantが大規模レイオフ / サンフランシスコの低所得者基準、ついに10万ドル超え
こんにちは、Marvinです。5月のNewsletterは私がお届けいたします。皆さん、GWはいかがお過ごしでしたか?こちらに住んでいることもあり、普段から米国のさまざまなベンダーの方々とお話しする機会がありますが、意外と日本のゴールデンウィークが海外でも知られていることに驚かされます。もちろん、あくまで私の個人的な感覚で、何か統計情報があるわけではありませんが・・。
そんなGW期間中の日本からも多くの方がご参加されておりましたが、4月29日から5月1日までサンフランシスコで開催されたRSAカンファレンスに初めて参加してきました。同カンファレンスには約45,000人もの人が参加したそうです。テーマは「多様な声、一つのコミュニティ」で、AI、クラウドセキュリティ、ゼロトラストが特に注目されていました。
AI関連セッションは100以上に及び、特に生成AIを巡る新たな攻撃や防御策が議論され、マイクロソフトはAI活用のクラウド統合防御「Defender for Cloud」を発表、シスコは「XDRプラットフォームへのAI統合新機能」を公開しました。
ゼロトラスト関連では企業の約8割が何らかの取り組みを始めていると報告されており、特にアイデンティティ管理とマイクロセグメンテーションの実装事例が紹介されていました。また、スタートアップ部門では、200社以上の応募からオープンソース脆弱性管理を提供する「ProjectDiscovery」が最優秀賞を獲得しました。
セキュリティに万能策はない・・・、今後もゴール無き旅は続きそうですね。
以前のNewsletterを見逃してしまった方は下記からアクセス!!
Weekly Newsletter #217 “すべての仕事”を自動化?物議を醸す新興企業/データセンター直結の原発電力、規制当局が待った/ NVIDIA、米国初のAIチップ生産へ大規模投資
OpenAI元CTOが挑む、人間のためのカスタマイズ可能なAI「Thinking Machines Lab」
Thinking Machines Labは、20億ドルのシード資金調達を目指しており、これはスタートアップ史上最大級の規模
OpenAIや他の主要AI企業からのトップ人材が集まり、強力なチームを構築
AIのアクセス性とカスタマイズ性を高めることを目指し、研究成果の公開を通じてAIの理解と改善の促進を狙う
Thinking Machines Lab、史上最大級のシードラウンドに挑戦
2025年5月、OpenAIの元CTOであるミラ・ムラティ氏が設立したAIスタートアップ「Thinking Machines Lab」が、20億ドルのシード資金調達を目指していることが報じられました。 同社は、新しいタイプのAIに挑戦する注目のスタートアップです。彼らの目指すものは、一言でいえば「人間中心でカスタマイズ可能なAI」。つまり従来の“一般向けAI”とは異なり、人それぞれのニーズに合わせて調整できる、協力的なAIを作ろうとしています。「AIをもっと人間中心に」という強い理念のもとに設立されており、業界でもトップクラスの研究者が集結していることで大きな話題を呼んでいます。
元OpenAIの精鋭チームが集結
Thinking Machines Labは、OpenAI、Meta、Anthropicなどから約30人の研究者やエンジニアを採用しており、そのうち約3分の2が元OpenAIのメンバーです。 特に、ChatGPTの開発に関与したジョン・シュルマン氏やアレック・ラドフォード氏などがアドバイザーとして参加しています。
ベイエリアのバイオテック企業、UnityとPliantが大規模レイオフを発表
Unity Biotechnology 臨床試験の失敗と資金難により、全従業員の解雇を発表し、事業の縮小を進めている
Pliant Therapeutics 主要な臨床試験の中止を受けて、全従業員の45%にあたる約75人を解雇する計画を発表
バイオテック業界全体の再編 資金調達の困難さや臨床試験のリスクが浮き彫りに
Unity Biotechnology、全従業員を解雇し事業再編へ
2025年5月5日、サウスサンフランシスコに拠点を置くUnity Biotechnologyが、全従業員を解雇すると発表しました。 同社はかつて7億ドルの評価を受け、ジェフ・ベゾス氏やピーター・ティール氏からの投資も受けていましたが、臨床試験の失敗や資金難により、事業の縮小を余儀なくされました。 特に、糖尿病性黄斑浮腫(DME)を対象とした主力候補薬UBX1325の第2b相試験「ASPIRE」の結果が期待を下回り、同社の市場評価は約1,900万ドルにまで下落しました。 Unityは、資産売却や合併、完全な事業終了などの戦略的選択肢を検討しており、CEOを含む一部の幹部はコンサルタントとしての役割を継続する予定とのことです。
Pliant Therapeutics、45%の人員削減を発表
同様に、Pliant Therapeuticsも主要な臨床試験の中止を受けて、全従業員の45%にあたる約75人を解雇する計画を発表しました。 同社は、特発性肺線維症(IPF)を対象とした主力候補薬bexotegrastの第2b/3相試験「BEACON-IPF」を安全性の懸念から中止し、その結果、企業価値は7億6,000万ドルから約1億500万ドルにまで減少しました。 Pliantは、今後の開発戦略を再評価し、他の適応症への展開や追加の用量検討試験を検討しています。
これらの動きは、ベイエリアのバイオテック業界が直面する資金調達の困難さや臨床試験のリスクを浮き彫りにしています。 特に、2020年から2021年にかけての豊富な資金調達環境から一転し、現在はより厳しい財務状況に直面しており、業界全体での再編が進んでいるようです。
サンフランシスコの低所得者基準、ついに10万ドル超え
低所得基準の急上昇、単身者でも低所得基準が10万ドルを超える時代に
AI産業の影響、テック企業の成長による人口増加と住宅需要の拡大
深刻な経済格差と住宅問題、政策による対応が急務に・・・
最後は地元の記事を。10万ドルって、日本円に換算すると1,400万円超・・・。
日本よ、頑張れ!!!頑張りましょう!!!
100,000 USD × 143.78 = 14,378,000 JPY ※2025年5月6日現在
ベイエリアの高所得地域で「低所得者」の定義が大幅上昇
カリフォルニア州住宅・コミュニティ開発局(HCD)の2025年の最新報告によると、サンタクララ郡、マリン郡、サンマテオ郡、サンフランシスコ郡において、単身者が「低所得者」とされる基準が初めて10万ドルを超えました。
AI産業の成長が生活費を押し上げ
この急激な所得基準の上昇の背景には、ベイエリアを中心に急成長するAI産業による高所得者の流入が影響しています。 テクノロジー企業の成長に伴い人口が増加し、住宅需要が大きく増える一方で、住宅供給は停滞しています。 その結果、家賃や住宅価格が急騰し、一般的な生活コストが大幅に上昇しています。
深刻化する経済格差と住宅問題
低所得の基準が高騰する状況は、ベイエリアにおける経済格差の深刻さを浮き彫りにしています。 中低所得者層にとって住みやすい地域が減少し、住宅確保がますます難しくなっています。 今後、地域の政策担当者は、住宅供給の促進や生活支援策などの課題に真剣に取り組む必要が出てきそうです。
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