Weekly Newsletter #220
MicrosoftがGoogle提唱のAIエージェント規格「A2A」を採用 / IBM、自律型セキュリティ運用「ATOM」と予測型インテリジェンス「PTI」を発表 / Stripeが決済向けAI基盤モデル発表、Nvidiaとの提携を強化
こんにちは、Marvinです。5月11日は母の日でしたね。5月の第2日曜日に祝われる記念日です。20世紀初頭、亡き母を追悼したいという女性の想いからカーネーションを贈ったことが始まりとされています。現在では米国でも文化としてすっかり定着しており、アメリカ人の約8~9割がこの日を祝うそうです。
ビジネスの観点から見ると、母の日は小売業界にとって重要な商戦となっており、直近3年間の消費額は毎年300億ドルを超えています。
US Consumers Set To Spend $33.5B This Mother's Day, Despite Waning Sentiment
米国の母の日の過ごし方もさまざまです。家族そろってレストランでブランチやディナーを楽しむ家庭が多く、約6割の人が母の日に食事の外出を計画しているとの調査もあります。また、自宅でカジュアルなホームパーティーを開き、料理やお酒を囲んで母親をねぎらう過ごし方も一般的です。日本の母の日に比べると、米国では自宅や外食先で家族が集い、よりカジュアルに感謝を伝える文化が根付いているのかもしれませんね。
以前のNewsletterを見逃してしまった方は下記からアクセス!!
MicrosoftがGoogle提唱のAIエージェント規格「A2A」を採用
MicrosoftがGoogle提唱のAIエージェント通信仕様「A2A」に対応
Azure AI基盤上で他社エージェントとの協調動作が可能に
オープン標準採用でAIエコシステムの相互運用性を強化
Microsoftは5月7日、Googleが提唱するAIエージェントの通信規格「Agent2Agent (A2A)」を自社のAI開発基盤に取り入れると発表しました。Azure AI FoundryやCopilot StudioでA2Aをサポートし、異なるクラウドやアプリのAIエージェント同士が目標やタスクをやり取りできるようにします。従来、AI同士はサイロ化(孤立)していて、他のAIと連携して動くには独自APIの実装や調整が必要でした。しかし、A2Aは共通言語(プロトコル)を提供することで、Google製とMicrosoft製のAIエージェントが“目標”や“進行状況”を共有しながら、連携できるようにします。
例えば、下記のようなイメージです。
あるCopilotが「レポート作成」を担当
別のAIが「情報収集」
もう一つのAIが「フォーマット整形」
なお企業の65%がAIエージェント技術を試験導入中で、この市場規模は2025年の約78億ドルから2030年には約526億ドルに達するとの予測もあります。Microsoftがこの「標準化」に加わったことで、業界全体が一気に本格化・拡大する起爆剤になり得るかもしれません。
IBM、自律型セキュリティ運用「ATOM」と予測型インテリジェンス「PTI」を発表
ATOMは、AIエージェントを活用して脅威の検出から対応までを自動化し、セキュリティ運用の効率化と迅速な対応を実現
ATOMは、Google CloudやMicrosoftなどの主要クラウドプロバイダーのセキュリティツールとも連携可能で、既存のセキュリティインフラを活かしながら自律型運用を実現
PTIは、業種特化型のAIモデルを活用し、100以上のデータソースから脅威情報を収集・分析して将来の攻撃を予測
2025年4月IBMは、セキュリティ運用の自律化を目指す新技術「Autonomous Threat Operations Machine(ATOM)」と「X-Force Predictive Threat Intelligence(PTI)」を発表しました。
IBM Uses Agentic AI for Autonomous Security Operations: RSAC 2025
IBM Delivers Autonomous Security Operations with Cutting-Edge Agentic AI
ATOMは複数のAIエージェントを統合し、脅威の検出から対応までを自動化することで、セキュリティチームの負担を軽減し、迅速な対応を可能にします。一方、PTIは業種特化型のAIモデルを活用し、100以上のデータソースから脅威情報を収集・分析。これにより、将来の攻撃手法やパターンを予測し、事前の対策を講じることを可能とします。さらに、ATOMはGoogle CloudやMicrosoftなどの主要クラウドプロバイダーのセキュリティツールとも連携可能で、既存のセキュリティインフラを活かしながら自律型運用を実現します。これらの技術は、セキュリティ運用の効率化と高度化を推進し、企業のサイバーセキュリティ対策に新たな可能性をもたらすと言われています。
Stripeが決済向けAI基盤モデル発表、Nvidiaとの提携を強化
数百億件の決済データを学習した独自のAI基盤モデルを発表。不正検知率が一晩で64%向上した事例も。
ステーブルコインを担保とした多通貨プリペイドカードを、Rampなどのスタートアップと提携して提供予定。
複数の決済プロバイダーを統合管理できる「Orchestration」機能も発表。Nvidiaは自社課金基盤をStripeへ6週間で移行完了。
Stripeは年次イベント「Stripe Sessions」で、決済×AIを軸にした複数の新サービスを発表しました。特に不正検知精度を大幅に高めたAIモデルは、金融業界における即効性のあるユースケースとして注目されます。
Stripe Unveils AI Foundation Model for Payments, Reveals ‘Deeper Partnership’ with Nvidia
Stripe unveils AI foundation model for payments, reveals ‘deeper partnership’ with Nvidia
また、多通貨カードや決済オーケストレーション機能は、国際展開企業にとって実務的な恩恵が大きいと考えられています。
多通貨カード(Multi-currency Card)とは?:複数の通貨を同時に扱えるプリペイド型・デビット型の決済カードです。例えば、米ドル・ユーロ・日本円を1枚のカードにチャージしておき、現地通貨で自動的に支払いが行われる。
決済オーケストレーション(Payment Orchestration)とは?:複数の決済プロバイダー(例:Stripe、PayPal、Adyen、Squareなど)を一元的に管理・切り替えられるプラットフォーム機能。
NvidiaがStripeを選んだ背景には、同社の信頼性と拡張性があると考えられ、今後のエンタープライズ領域での採用も加速しそうです。エンジニアにとってはAIとの連携設計が重要なスキルになり、営業にとっては「高度化された金融基盤」としての提案価値が高まりそうです。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございます!励みになりますので、ぜひLikeボタン (♡) をお願いします!
今回は取り上げなかったけれど面白かったニュース